先日の記事では、平成26年度のJAS法違反「指導件数」が減少していることをお伝えしました。
今回は、JAS法違反「指示」や食の安全に関する警察の処分といった悪質な事件の発生状況について取り上げます。
こちらは、全体的には減少していますが、産地偽装表示事犯は増加しています。
●JAS法の品質表示規準に関する指示件数、国は横ばい、都道府県は大幅減少
農林水産省や都道府県では、JAS法に基づき食品の違反表示に対して、常習性や故意性などがある場合、改善指示を行い、その事業者名をホームページなどで公表しています。
この指示件数について、20年度の118件をピークに、減少傾向となっていましたが、24年度は54件で増加に転じ、26年度は34件と再び減少しました。
措置者の内訳では、国が14件→14件で横ばい、都道府県は37件→20件で減少しています。
また、「指示」に従わない場合の改善措置の命令は1件となっています。
農産加工品販売業者(たけのこ水煮)について、「中国産」を「国産」と表示した違反内容で、福岡県から出ています。
JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準、加工食品品質表示基準に関する指示の実績(※1)
(平成27年3月31日現在)
注:同一事業者に対して複数の食品に対する改善指示を同時に実施した事例があることから、全体の件数と品目毎の件数の合計とは一致しない。
●食品衛生関係事犯は減少、産地偽装表示の検挙事件は増加
食の安全に係る事犯について、悪質なものや国民の生命・身体に影響を与えかねないものなどについては、警察により摘発され処罰を受けます。
警察庁の発表(※2)によると、食の安全に係る事犯(食品衛生関係事犯及び食品の産地等偽装表示事犯)の検挙状況は前年と比較して、検挙事件数、検挙人員は減少、検挙法人数は横ばいでした。事件数は37事件(-3事件)、検挙人員は77人(-3人)、検挙法人数は17法人となっています。
検挙事件内訳は、食品衛生関係事犯は20 事件(-6事件)、28人(-16 人)、3法人(-6法人)と減少しましたが、食品の産地等偽装表示事犯は17事件(+3事件)、49人(+13 人)、14法人(+6法人)と減少しています。
また、産地等偽装表示事犯の内訳は、不正競争防止法違反(16事件)、農産物検査法違反(1事件)であり、これらは知的財産権侵害事犯にも計上されています。
具体的な検挙事例は以下のとおりです。
1 米穀販売会社役員らによる米の原産地等偽装に係る不正競争防止法違反及び米トレーサビリティ法違反事事件
米穀販売会社役員(78)らは、平成 25 年4月頃、中国産米を混入させた精米の納品書に「弁当米(国産)」等と記載し、国産米 100%であるかのように商品の原産地について誤認させるような表示をして、精米合計約 13 万 7,000 キログラムを販売した。
26 年9月までに、3法人7人を不正競争防止法違反(誤認惹起行為)及び米トレーサビリティ法違反(虚偽記録作成)で検挙した(三重)。
2 食品加工・販売店経営者らによるわかめの原産地偽装に係る不正競争防止法違反、JAS法違反事件
食品加工・販売店経営者(51)らは、平成 25 年 12 月頃から 26 年1月ころまでの間に、中国産わかめを使用した加工食品を詰めた箱等に「本場鳴門生わかめ」等と記載して、その原産地について誤認させるような表示をし、合計 43 箱等(内容量合計約280.5 キログラム)を販売した。
26 年5月、3人を不正競争防止法違反(誤認惹起行為)及びJAS法違反(表示基準違反)で逮捕した(徳島)。
(※1)
JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準、加工食品品質表示基準に関する指示の実績 (2015年6月 消費者庁 農林水産省)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1452.pdf
(※2)
平成26年中における食の安全に係る事犯の検挙状況について
(2015年2月 警察庁生活安全局 「平成26年中における生活経済事犯の検挙状況等について」より)
http://www.npa.go.jp/safetylife/seikeikan/h26_seikeijihan.pdf
≪参考記事≫
・食品の表示違反動向(JAS法:H25年度、警察庁:H25年)
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