事業者団体のコンプライアンスの取組、会員企業の要望がカギ (平成26年度「景品表示法」と「特定商取引法」の法令遵守に関する調査 東京都)

ご存知の通り、平成26年12月に景品表示法が改正され、法令違反事業者への措置権限が都道府県にも付されるとともに、事業者に対しても表示管理体制の強化が義務化されることとなりました。
自治体としても事業者のコンプライアンスへの取り組み状況を把握し、施策検討を図ろうとしています。
東京都は事業者のコンプライアンス(法令遵守)への取組みを探るため、「景品表示法」と「特定商取引法」に対する取組を中心に、都内の事業者団体約550機関に対しアンケート調査を実施しました。

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◆事業者団体のコンプライアンスの取組 (2015年4月8日 東京都)
調査対象:
東京都に所在する事業協同組合を中心とする中小企業団体及び全国組織の事業者団体
計549機関(一部民間企業)。
※抽出に当たり、消費者との接点がある「景品表示法」「特定商取引法」に関わりがある等を考慮。
調査方法:郵送法によるアンケート調査査(※9月下旬よりフォームメールでの回答も可能とした)
調査期間:平成26年9月2日~10月3日
調査の回答数:総返信数259機関(回収率47.2%)
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●景表法・特商法への取り組みは約50%、以前からの対応が多い
回答のあった259 機関において、「取り組んでいる」は50.6%、一方「取り組んでいない」が42.1%。
取り組んでいる131団体においては、取り組み開始時期は「5年以上前から」が71.8%で最多、「一年以内」は4.6%にとどまっている。

●取組内容は「情報提供」「自主基準」「研修会・講習会」
具体的な取り組み内容としては、「会報などにより会員企業に情報提供している」が、景表法(65.6%)・特商法(23.7%)ともに1位。以下「自主基準を策定している」景表法(58.0%)・特商法(13.7%)、「研修会・講習会を実施している」景表法(42.7%)・特商法(14.5%)が続いている。
また、相対的に特商法は景表法より取組率が低く、「無記入」が67.9%となっている。

●自主基準は「公正競争規約」と「ガイドライン」
「自主基準を策定している」の回答について策定状況では、景表法では「公正競争規約」57.9%、「ガイドライン」39.5%、「申し合わせ」26.3%となっている。
特商法では「ガイドライン」61.1%、「申し合わせ」27.8%、「倫理綱領等」27.8%となっている。

●今後注力したい取組内容は「情報提供」「会員に対するモニタリング」「研修会・講習会」
「取り組んでいる」団体について、今後力を入れていきたい取り組み内容としては、「会報等による情報提供をする」が、景表法(58.0%)・特商法(22.9%)ともに1位。以下「研修会・講習会を実施する」景表法(48.1%)・特商法(19.1%)、「会員に対するモニタリング活動をする」景表法(20.6%)・特商法(4.6%)が続いている。
また、今後の取り組みにおいても相対的に特商法は景表法より取組意向が低く、「無記入」が66.4%となっている。

●団体の法令遵守取組のきっかけは外部からの要請
法令遵守の取組のきっかけとしては、「上部団体または国からの要請があったため」44.3%、「会員企業の要望があったから」43.5%が上位理由となっている。
「ニュース等で社会情勢の変化を感じたため」など、自主的な理由は24.4%に留まる。

一方、法令遵守に取組んでいない団体の取組んでいない理由は、「会員企業に対応を任せている」53.2%、「業界として問題が発生していない」34.9%が上位となっている。
また、今後の取組意向は、「会員からの要望があれば取り組みたい」39.8%、「取り組む予定はない」21.8%となっている。

都が実施した調査にも関わらず、549機関に対して総返信数259機関(回収率 47.2%)と、回収率は決して高いとは言えない状況で、かつ、取組団体も約半数という結果から、まだまだ事業者のコンプライアンス意識は低いことが浮き彫りとなっています。

しかし、既に取り組んでいる団体においては5年以上前からが7割を超え、既に定着しており、意識の高い業界とそうでない業界が二分されているといえます。

景表法については、消費者庁長官及び公正取引委員会の認定を受けた業界の自主ルールとして公正競争規約(景品表示法第11条に基づく協定又は規約)があるため、取り組みやすいといえます。

また、拡大するネット通販事業を行うに当たっては、特商法も外すことのできない法律です。

事業者の表示管理体制が義務化された景表法の法改正。
自社のみでの取り組みが困難な中小規模の事業者においては、事業者団体への加盟やコンプライアンス対策への要望を積極的に行うなどされてはいかがでしょう。

今回のアンケート調査の結果より、様々な取組を実施している団体の中でも、特に独自の取組や会員企業等全般に対する働きかけなどを積極的に行っている11機関の取組が紹介されています。

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事業者団体のコンプライアンスの取組
(2015年4月8日 東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/03/60p3n300.htm
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<関連記事>
・景表法改正、広告表示の適正管理のための7つのポイン+1
(消費者庁 平成24年8月8日)

・景表法改正「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(案)」(消費者庁 平成24年8月8日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。