健康食品の機能性表示制度検討会(安全性確保についてのポイント)(平成26年5月 消費者庁)

昨年12月から消費者庁で始まった健康食品の機能性表示制度検討会は、2014年5月2日の第5回会合から機能性表示に関する検討に入っています。

今回の記事では、第4回会合までの健康食品の機能性表示の安全性確保についてのポイントを整理しました。

《機能性表示制度における安全性確保について》


●保健機能成分を中心とする食品の安全性について、事業者が自ら評価する
評価内容
食品そのものの安全性について:
(1) 食経験に関する情報の評価
(2) 食経験よりも摂取量が増加する等、食経験に関する情報では十分ではない場合は、安全性試験に関する情報の評価 (特定保健用食品の安全性評価に必要な情報を参考に)

保健機能成分と医薬品等の相互作用について:
(1)保健機能成分と医薬品との相互作用 の有無
(2)保健機能成分を複数含む場合、保健機能成分同士の相互作用の有無

※保健機能成分は、量のコントロール・検証のために、分析可能であること、また、錠剤・カプセル・液状等の食品/その他の加工食品/生鮮食品の食品形状の違いにも留意することとしている。

●機能性を表示する食品の品質管理の実効性を担保するため、事業者は規格を設定し、それに基づいて登録検査機関等で製品分析を行い、安全性を確認する
製品分析内容
(1) 保健機能成分量の分析
(2) 安全性に関わる成分の量の分析
(原材料に由来する混在物や製造過程に由来する不純物等であって、特に管理すべき成分)

●安全性評価、生産・製造及び品質の管理方法についての情報開示を行う
安全性評価についての情報開示項目(容器包装への表示):
保健機能成分名
1日摂取目安量
1日摂取目安量当たりの保健機能成分の含有量
摂取上の注意(医薬品等との飲み合わせ、過剰摂取を防止するための注意喚起等)
表示及び製品の安全性については国による評価を受けたものではないこと
疾病の診断、治療、予防を目的としたものではないこと
医薬品を服用している者は医師・薬剤師に相談した上で摂取すべき旨  等

※事業者が評価した安全性に関する情報を全て情報開示することは困難であることから、容器包装への表示以外の情報開示についても検討

生産・製造及び品質の管理方法についての情報開示項目(案):
(1) 保健機能成分及び安全性に関わる成分の量に関する規格
(2) 施設や作業員の衛生管理体制
(3) 異物混入や他製品との混同の防止体制
(4) 製品の均質性とその管理体制
(5) 規格外製品の出荷防止体制
(6) 製造・品質等の記録文書やサンプルの保管体制
(7) 原料の基原の保証試験の方法及び製品の崩壊性試験の結果並びに当該試験の頻度
(8) 製品分析の結果  等

※HACCP、ISO、FSSC、GMP等の取組状況も含めて、広く情報開示。
情報開示項目については、食品形態の特性に応じた項目。特に錠剤、カプセル、液状等製品については、過剰摂取されやすい形態である等の特性を踏まえる。

●健康被害等の情報収集体制、緊急時の対応体制整備を行う
・ 消費者の健康影響に関する相談等について、対応部署、相談体制を構築し、併せて消費者へ周知
・ 消費者からの相談について処理経過を含め記録し保存するとともに、社内共有体制を構築 等
・ 保健所等へ報告する場合にあっては、併せて消費者庁へも報告 等
・ 消費者に確実に伝えるべき次の事項は、容器包装へも表示
消費者対応部局(お客様相談室等)の連絡先(電話番号等)
体調に異常を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談すべき旨

健康食品機能性表示 健康被害情報収集体制

 
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健康食品の機能性表示に向けて事業者が行うべき事項は、安全性の評価、品質管理及びそれらの情報開示、「健康被害」報告制度と、一見、規制緩和とは思えない内容です。

しかし、消費者庁の「事故情報データバンクhttp://www.jikojoho.go.jp/ai_national/」によると、健康食品の事故情報は2009年4月以降、約2700件寄せられているというデータがあり、健康食品による健康被害状況を鑑みると必要な措置だと理解できます。

 

次回は、健康食品の機能表示に関する対応方針案についてお伝えします。

 

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第5回食品の新たな機能性表示制度に関する検討会(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index19.html#m03
【参考資料1】
食品の新たな機能性表示制度における安全性の確保について(これまでの議論)
[PDF:http://www.caa.go.jp/foods/pdf/140502_sanko_1.pdf]

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。