令和元年度食品表示法違反「指導」件数は169件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が57.3%

食品表示法が2015年4月1日に施行され、5年が経過し、加工食品、添加物、生鮮食品、全ての表示について、経過措置期間(基準の施行後、新ルールに基づく表示への移行のための猶予期間)が2020年3月31日までに終了し、移行完了となっています。

毎年6月と12月の半期ごとに公表されている、食品表示法の食品表示基準による国(消費者庁、国税庁及び農林水産省による)の指導件数(※)について、令和元年度の指導件数は、169件でした。

上半期(2019年4月~2019年9月)は83件、下半期(2019年10月~2020年3月)は86件で、前年度同期比で上半期は4件減少、下半期は45件減少、年間で49件減少しています。

注:食品表示法では、次に掲げる項目全てに該当する場合は、業者名・違反事実等の公表はせず「指導」に留めています。
1)食品表示基準違反が常習性がなく、過失による一時的なものであること。
2)違反事業者が直ちに表示の是正(表示の修正・商品の撤去)を行っていること。
3)事実と異なる表示があった旨を、社告、ウェブサイトの掲示、店舗等内の告知等の方法を的確に選択し、速やかに情報提供しているなどの改善方策を講じていること。

(※)
令和元年度上半期食品表示法の食品表示基準に係る指導の件数等について
(2019年12月 消費者庁、国税庁及び農林水産省)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_191211_0002.pdf

令和元年度下半期食品表示法の食品表示基準に係る指導の件数等について
(2020年6月 消費者庁、国税庁及び農林水産省)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/assets/representation_cms_214_200619_03.pdf

また今回は、消費者庁が農林水産省、財務省並びに都道府県・保健所等と連携して全国一斉に行っている食品表示の取締りについて、令和元年度夏期・年末(総括)の結果概要も確認します。


●令和元年度の「指導」は169件、うち、生鮮食品75件、加工食品103件
前年比で49件減少、生鮮食品27件減少、加工食品32件減少している。

●生鮮食品では「原産地の誤表示・欠落」が上半期83.9%、下半期77.3%。加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が上半期61.0%、下半期52.3%

令和元年度における指導の分類(上半期、下半期)

更に詳しい品目別の違反内容の内訳は以下の表のとおりです。

国内で製造又は加工された全ての加工食品(輸入品以外の全ての加工食品)に、原材料の原産地を表示するよう義務づける食品表示基準の改正が、2017年9月に施行され、2022年4月に完全施行となる予定です。
2019年度の指導103件のうち、「原料原産地の誤表示・欠落」は14.7%程度となっています。

・新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/

もう一つ。
消費者庁は農林水産省、財務省並びに都道府県・保健所等と連携し、食品表示法、景品表示法及び健康増進法の規定に基づき、夏期と年末に全国一斉に食品表示の取締りを行っています。
令和元年度夏期・年末(総括)一斉取締りの結果概要です。

【令和元年度夏期・年末(総括)一斉取締りの結果概要】
《食品表示法の措置件数》
夏期:
「命令」「指示」ともに0件。「命令及び指示以外の措置」1,941件。
年末:
「命令」「指示」ともに0件。「命令及び指示以外の措置」2,029件。

《監視指導施設数、違反件数等》
夏期:
監視指導延べ施設数356,205。うち、表示違反施設数2,040。
食品表示法「命令及び指示以外の措置」1,731件。食品衛生法「命令以外の措置」4件。
年末:
監視指導延べ施設数243,148。うち、表示違反施設数2,224。
食品表示法「命令及び指示以外の措置」1,952件。食品衛生法「命令以外の措置」0件。
夏期:
収去検体数15,658。 うち、違反検体数320。
表示違反措置、食品表示法「命令及び指示以外の措置」210件。
年末:
収去検体数9,789。 うち、違反検体数84。
表示違反措置、食品表示法「命令及び指示以外の措置」77件。

————————–
食品表示法:
食品衛生法、健康増進法、JAS法に規定されていた食品表示に関する規定を統合し、平成27年4月から施行。
命令 :
食品表示法第6条第1項の指示を、正当な理由なく履行しない事業者に対する行政処分(食品表示法第6条第5項)、「食品表示法に基づく命令等の指針」に照らし、食品の回収又は営業停止等を行う行政処分(食品表示法第6条第8項)
指示 :
「食品表示法に基づく指示及び指導並びに公表の指針」に照らし、指導に該当しない場合に行う行政指導(食品表示法第6条第1項)
収去 :
食品衛生監視員が食品を分析に供するために、法令に基づき無償で持ち去る行為
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表示管理体制をしっかりと見直しましょう。

また、食品表示基準に関する通知やQ&Aも随時改正されていますのでチェックしておきましょう。
・食品表示基準に係る通知・Q&Aについて
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html#m01-17

≪参考記事≫
食品表示法の食品表示基準に係る国による指導状況
平成30年度食品表示法違反「指導件数」は218件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が60%
・平成29年度下半期食品表示法違反「指導件数」は124件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が51.3%
・平成28年度上半期食品表示法違反「指導件数」は135件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が53.2%
H27下半期食品表示法「指導件数」164件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が48.9%
新制度施行後初。H27上半期食品表示法指導状況

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。