「メーカー希望小売価格」「通常価格」による二重価格表示に注意!スーパーマーケット サンプラザの割引表示に景表法措置命令(消費者庁:2019年7月8日)

消費者庁は7月8日に、大阪府の食料品スーパー(株)サンプラザが供給するパンの価格表示に対し、景品表示法(有利誤認)の措置命令を行いました。
消費者庁及び公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所の調査による事案です。

29店舗で販売されたメーカー7社の各種パンについて、値引き販売での「メーカー希望小売価格」及び「通常価格」といった二重価格表示が問題となりました。

本事案から「希望小売価格」などを比較対照価格とする二重価格表示について、景表法の考え方をチェックしておきましょう。

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株式会社サンプラザに対する景品表示法に基づく措置命令について
(2019年7月8日 消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/release/2019/pdf/fair_labeling_190708_0003.pdf
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【違反内容】
対象商品:
パン(製造業者:(株)オイシス、(株)神戸屋、敷島製パン(株)、第一屋製パン(株)、フジパン(株)、(株)米麦館タマヤ、山崎製パン(株))の各商品

販売店舗:
サンプラザ
「パストなかもず店」「天美我堂店」「さつき野店」「喜志店」「小山店」「太子店」
「八尾南駅前店」「山中田店」「誉田店」「埴生店」「古市南店」「八尾沼店」「島泉店」
「三日市駅前店」「三宅店」「柏原店」「羽曳が丘店」「富田林店」「河内長野店」
「八尾跡部店」「はびきの伊賀店」「河南町芸大前店」「三国ヶ丘東店」「北野田店」
「三原台店」「光明池店」「美原余部店」「大和八木店」「田原本店」

表示媒体:
新聞折込チラシ、プライスカード

表示期間:
2017年7月~2018年7月

表示内容:
新聞折込チラシ
例えば、「菓子パン・食パン 全品メーカー希望小売価格より 3割引」と表示することにより、あたかも、対象商品にはメーカー希望小売価格が設定されており、対象商品を当該メーカー希望小売価格から3割割り引いて販売するかのように表示していた。
実際には、対象商品にはメーカー希望小売価格は設定されていなかった。

【表示例】

プライスカード
例えば、「パン3割引の日 神戸屋 スマイルモーニング 表示価格は3割引後の価格です メーカー希望小売価格125円を 4枚 本体価格88円」
「パン3割引の日 神戸屋 スマイルモーニング 表示価格は3割引後の価格です 通常価格125円を 4枚切 本体価格88円」
と表示することにより、あたかも、「通常価格」と称する価額は、当該店舗において対象商品について通常販売している価格であり、対象商品を当該通常販売している価格から3割割り引いて販売するかのように表示していた。
実際には、対象商品にはメーカー希望小売価格は設定されていなかった。また、「通常価格」と称する価額は、当該店舗において対象商品について販売された実績のないものであった。

【表示例】

消費者庁は、不当な価格表示についての景品表示法上の考え方を、以下のように示しています。
◆不当な価格表示についての景品表示法上の考え方
(平成12年6月30日公正取引委員会 改定 平成28年4月1日消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf

希望小売価格に対する一般消費者の認識とは?
製造業者等により小売業者の価格設定の参考となるものとして設定され、あらかじめ、新聞広告、カタログ、商品本体への印字等により公表されているものであり、このことから、小売業者の販売価格が安いかどうかを判断する際の参考情報の一つとなり得るもの。

比較対照価格とする希望小売価格の要件:
「製造業者等により設定され、あらかじめ公表されている価格」となります。
希望小売価格(参考小売価格)は製造業者等が設定する価格ですので、小売業者が勝手に設定をしてはいけません。
【希望小売価格を比較対照価格に用いる際、不当表示に該当するおそれのある価格表示(抜粋)】
1)希望小売価格(参考小売価格)が設定されていない場合(撤廃されている場合を含む)に、小売業者が設定した任意の価格
2)プライベートブランド商品について小売業者が自ら設定した価格
3)製造業者等が専ら自ら小売販売している商品について自ら設定した価格
4)特定の小売業者が専ら販売している商品について、製造業者等が当該小売業者の意向 を受けて設定した価格

今回の事案では、1)の点が問題となったと考えられます。

二重価格表示を行う際は、その比較対象価格がどのような価格であるのか、消費者が誤認しないよう注意が必要です。

更に詳しい解説は以下の記事をご確認ください。

【景表法】二重価格表示の注意点~希望小売価格~
【景表法】二重価格表示の注意点~セール時の価格表示~

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≪参考記事≫
・セール時の二重価格表示に注意!イオン子会社「SPORTS AUTHORITY」のチラシに景表法措置命令

・寝具の店頭表示価格 販売実績のない二重価格に景表法措置命令!

・消費者が有利誤認したという結果は問わない。(有)ミート伊藤の特売日表示に景表法措置命令

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。