健康食品通販86品目中79品目に表示違反の疑い(平成30年度東京都健康食品試買調査)

東京都では、毎年、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品の試買調査を行い、不適正な表示・広告を行った事業者に対し改善等を行っています。
成分検査による医薬品成分の検出も確認しています。

平成30年度の調査では、消費者への注意喚起として、以下の事例が示されています。
【不適正な事例】
「アレルギー症状を緩和する」
「細胞の再生を促進する働きがある」
「白血球を活性化する」

広告表示違反の傾向について、確認してみましょう。


———
健康食品の不適正な表示・広告にご注意!平成30年度健康食品試買調査結果
(2019.3.26 東京都福祉保健局生活文化局)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/26/14.html
———


●試買品目数の83%が法令違反の疑い
今回調査で購入した健康食品130品目のうち108品目で、試買品目数の83%に製品表示や広告に法令違反又は違反の疑いあり。
購入方法別では、店舗購入44品目中29品目、ネット購入86品目中79品目と、ネット購入品目の92%が不適正な表示・広告となっている。
前回29年度調査では、店舗購入46品目(内、違反品目25品目)、ネット購入79品目(内、違反品目76品目)で、ネット購入品の違反品目割合はやや低下したが、依然、高い割合となっている。

また、9製品からATPを含む製品、シルデナフィルを含む製品、タダラフィルを含む製品等、医薬品成分が検出された。
インターネットで注文した1製品について、製品が届かなかった事例あり。

注目されている製品テーマ(購入品目の多いもの)として、特に店舗では「男性機能向上」、ネットでは「免疫力増強」、「ダイエット効果」、「抗糖化・エイジングケア」、「健康茶」。

●表示違反が多い法律は、医薬品医療機器等法が突出
医薬品医療機器等法が81件と突出している。次いで、食品表示法(衛生事項)50件、特定商取引法49件、食品表示法(品質事項)45件、となっている。

製品テーマ別では、主に以下の法律での違反が目立つ。
男性機能向上:食品表示法(品質事項・衛生事項)、医薬品医療機器等法
免疫力増強:医薬品医療機器等法、食品表示法(保健事項・品質事項・衛生事項)、特定商取引法
抗糖化・エイジングケア:医薬品医療機器等法、食品表示法(保健事項・品質事項・衛生事項)、特定商取引法
ダイエット効果:医薬品医療機器等法、景品表示法、特定商取引法、食品表示法(品質事項・衛生事項)

今回の調査で、違反又は違反の疑いがあるとみなされた表示です。
——-
●製品についての不適正な表示・広告の事例
健康増進法:
・著しく事実に相違する又は人を誤認させるおそれのある表示
「お腹快調!爽やかな朝をあなたに!」「自然免疫細胞活性化」
「余分な吸収が減り食後の急上昇を防ぐ・糖が気になる方やメタボを気にする方に」
「食事制限や気のすすまない運動・そんなことをしなくてもなりたい自分になれる・食べる前に飲むだけ」
(これら文言だけではなく、写真・絵なども含めた表示全体から判断)

景品表示法:
・優良誤認に該当するおそれのある表示
「国内唯一の○○」「他社の○○よりも優れた結果が得られる事を約束」
「他のどの乳酸菌よりも○○効果が優れています」等と合理的根拠無く表示し、商品が他社の商品よりも優れているかのように消費者の誤認を招くおそれのある表示
・有利誤認に該当するおそれのある表示
「キャンペーン」「今だけ」「期間は○月○日まで」と表示期間中に限り特別価格であるかのように表示しながら、実際は期間限定でなく、消費者の誤認を招くおそれのある表示

医薬品医療機器等法:
・疾病の治療又は予防を目的とする効能効果に該当
「高血圧・低血圧を改善する」「認知症対策」「血流を良くし、冷え性、肩こりの改善」
「アレルギー症状を緩和する」「尿出し促進、デトックス、女性の膀胱炎にも◎」
・身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果に該当
「細胞の再生を促進する働きがある」「白血球を活性化する」
「生理痛などでお悩みの方やスッキリと生理を終わらせたい方に」

●法令で義務付けられている表示についての不適正な事例
食品表示法:
・一括表示の欠落
・原料原産地名表示が不適正
・食品添加物以外の原材料と食品添加物が混在している
・新旧混在の表示
・表示文字が小さい
・栄養成分表示が正しく記載されていない
栄養成分ごとに定められている単位で表示されていない。
栄養強調表示をしているにもかかわらず、栄養成分表示に強調している成分の表示がない。
・栄養機能食品の必要表示事項が正しく記載されていない
・表示禁止事項が記載されている
保健機能食品以外であるにもかかわらず、含有成分に関して特定の健康の増進効果が期待できる表示を行っている。

特定商取引法:
・返品に関する事項が正しく記載されていない
消費者都合の返品について、返品の可否・条件・送料負担を明瞭に記載する必要がある。
返品連絡について、ショッピングサイトのガイドでは「到着後 3 日以内」、会社概要では「到着後 5 日以内」と矛盾している。
・いわゆる定期購入の場合の表示が不十分である。
解約条件(次回発送の○日前までに連絡)が定期購入の申込ページに記載されていない。

不適正な表示・広告を行った事業者に対しては改善等を指導しており、他の自治体が所管する事業者については当該自治体に通報し、指導等を依頼しています。

他にも東京都では、インターネット広告表示監視事業により発見された不当表示に対して改善指示を行ったり(※)、消費者庁では、国と地方、地方の間での調査情報、被疑事案情報の共有を図ることを目的とした『景品表示法執行NETシステム』を、2012年4月から運用しています。

(※)平成29年度インターネット広告24,000件監視結果公表(東京都)

<関連記事>

・東京都サイバー薬事監視の取組(1)【ネットショッピングモール(B to C)編】
・平成29年度健康食品試売調査(東京都)

======================================
◆広告法務コンサルティング・社員教育◆
販促・広報戦略、商品表示・広告チェック社内体制構築等、
社外専門家としてのノウハウとサポート
詳細はこちら
======================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。

登録はこちら

————————————————————-

関連記事

  1. JAROへの苦情、健康食品6割減。審査事案の3分の1がアフィリエイトサ…

  2. トクホ広告46件の広告中3件に違反の恐れ。広告自主基準を改定(許可表示…

  3. 「ブロリコ」措置命令で見直されるか?健康食品の成分の研究コンテンツによ…

  4. 虚偽誇大広告の「あたかも認定」に注意! 健康食品ガイドライン (消費者…

  5. JAROへの苦情、コロナ関連半減、定期購入トラブル、健康食品から化粧品…

  6. 通販広告実態調査 調査方法が大きく変更。一般消費者の目線重視(JADM…

最近の記事

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。