口コミ・インフルエンサーマーケティングの法規制(第30回インターネット消費者取引連絡会(平成30年9月))

前回の記事では、消費者庁が公表したアンケート調査から、一般消費者による「口コミ」や「レビュー」、SNSやブログなどで多くのフォロワーを持つ「インフルエンサー」に対する消費者トラブル、それに対する事業者の消費者保護の取組について確認しました。

消費者に支持され、消費行動や購入意思決定に大きな影響を与える口コミやインフルエンサーは、今後も一層重要なメディアとしてマーケティング活用が期待されます。
他方で、不適切な投稿による消費者トラブルが社会問題化すれば、法規制も強まります。

今回は、口コミサイト・インフルエンサーマーケティングに関連する法令について、しっかりと確認しておきましょう。

商品・サービス全般》
口コミサイトの事業者によるステマ行為は、景品表示法に抵触するおそれあり。
消費者による口コミ情報は、景品表示法の規制対象外であるが、商品・サービスを提供する事業者が優良・有利誤認となる内容を自ら書き込んだり、口コミ投稿代行事業者に口コミを書き込ませた場合は、商品・サービスを提供する事業者は景品表示法の規制対象となる。

不当表示とみなされる内容:
優良・有利誤認表示(例)
•飲食店経営者が、自らの飲食店で提供している料理について、実際には使用していない食材をあたかも使用しているかのように口コミを書き込むこと。
•店舗経営者が、口コミ投稿代行事業者に口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価を変動させて、高評価に見せかけること。
•事業者が宣伝記事を執筆依頼し、依頼を受けたブロガーが十分な根拠がないにもかかわらず商品の優良さを示す記事を掲載すること。

《食品・健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品》
美容健康商品の販売サイトでのレビューや、アフィリエイト広告の虚偽誇大表示に注意。
健康増進法:食品・健康食品
薬機法:健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品

アフィリエイトサイトでの虚偽誇大表示は、広告主である販売事業者だけでなく、表示内容の決定に関与しているアフィリエイターやアフィリエイトサービスプロバイダーも、健康増進法、薬機法の規制対象となる。

販売サイトにおける購入者による商品の効能効果に関するレビューや口コミは、禁止されている。(薬機法)

不当表示とみなされる内容:
虚偽誇大表示(例)
「飲むだけで10kg痩せた」「たった1週間で別人に」などの文言、激やせの体験談など。

《医業、歯科医業、病院、診療所》
患者等の体験談は誤認を与えるおそれがあるため、医療に関する広告としては認められない。
医療法では、限定的に認められた事項以外は、原則として広告は禁止されている。
広告の内容が虚偽誇大なもの等、違反等があった場合には、医師や医療機関だけではなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者又は一般人等も医療法の規制対象となる。

個人のウェブサイト、SNS の個人のページ、口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が掲載依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、医療法の規制対象外。

具体的なケースで判断に悩む場合は、フィデスにご相談ください。

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第30回インターネット消費者取引連絡会
平成30年9月19日(水)10時~12時
テーマ:口コミサイト・インフルエンサーマーケティング
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/policy_coordination/internet_committee/#m30
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≪関連記事≫

・アフィリエイトサイトの表示規制。消費者庁の本気度

・アフィリエイトサイトの表示も規制対象!ブレインハーツの通販サイトに景表法措置命令

偽装比較サイトで優良誤認景表法措置命令。トラブル解決サービスARS

口コミサイト情報削除、他人のサイトにリンクを張る行為の判例追加。
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。(経済産業省 平成27年4月)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。