先日の記事では、平成25年度のJAS法違反「指導件数」が横ばいであることをお伝えしました。
JAS法違反「指示」や警察の処分といった悪質な事件では、食品衛生関係事犯は増加、産地偽装表示事犯は減少しています。
●JAS法の品質表示規準に関する指示件数、国は減少、都道府県は増加
農林水産省や都道府県では、JAS法に基づき食品の違反表示に対して、常習性や故意性などがある場合、改善指示を行い、その事業者名をホームページなどで公表しています。
この指示件数について、20年度の118件をピークに、減少傾向となっていましたが、24年度は54件で増加に転じ、25年度は51件と再び減少しました。
措置者の内訳では、国が23件→14件で減少、都道府県は31件→37件で増加しています。
また、「指示」に従わない場合の改善措置の命令は1件となっています。
農産加工品販売業者(たけのこ水煮)について、「中国産」を「国産」と表示した違反内容で、福岡県から出ています。
JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準、加工食品品質表示基準に関する指示の実績(※1)
(平成26年3月31日現在)
●食品衛生関係事犯は増加、産地偽装表示の検挙事件は減少
食の安全に係る事犯について、悪質なものや国民の生命・身体に影響を与えかねないものなどについては、警察により摘発され処罰を受けます。
警察庁の発表(※2)によると、食の安全に係る事犯(食品衛生関係事犯及び食品の産地等偽装表示事犯)の検挙状況は前年と比較して、検挙事件数は減少しましたが、検挙人員・法人数は増加しました。事件数は40 事件(-1事件)、検挙人員は80人(+7人)、検挙法人数は17法人(+3法人)となっています。
検挙事件内訳は、食品衛生関係事犯は26 事件(+5事件)、44人(+22 人)、9法人(+6法人)と増加しましたが、食品の産地等偽装表示事犯は14事件(-6事件)、36人(-15 人)、8法人(-3法人)と減少しています。
また、産地等偽装表示事犯の内訳は、不正競争防止法違反(13 事件)、JAS法律違反(1事件)であり、これらは知的財産権侵害事犯にも計上されています。
具体的な検挙事例は以下のとおりです。
1 米穀販売会社役員らによる米の原産地等偽装に係る不正競争防止法違反事件
米穀販売会社役員らは、平成 24 年10月頃から 25 年3月頃にかけて、産地や品種の異なる精米を混合して詰めた米袋に「単一原料米」等と印字したシールを貼付し、商品の原産地及び品質について誤認させるような表示をした上、販売するなどした。25 年6月までに、1法人7人を不正競争防止法違反(誤認惹起行為)で検挙した(大阪)。
2 焼肉店経営者らによる牛生レバー提供に係る食品衛生法違反事件
焼肉店において牛の生の肝臓を客に提供する場合は、食べる際には肝臓の中心部まで十分に加熱しなければならない旨などを焼肉店側が客に伝えなければならないにもかかわらず、焼肉店を経営する会社役員らは、平成 25 年8月、上記情報を伝えることなく、牛の生の肝臓を提供した。同年 10 月、1法人4人を食品衛生法違反(食品の規格基準違反)で検挙した(京都)。
(※1)JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準、加工食品品質表示基準に関する指示の実績 (2014年5月 消費者庁 農林水産省)
(※2)平成25 年中における食の安全に係る事犯の検挙状況について
(2014年2月 警察庁生活安全局 「平成25年中における生活経済事犯の検挙状況等について」より)
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