健康食品通販79品目中76品目に表示違反の疑い(29年度東京都健康食品試買調査)

東京都では、毎年、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品の試買調査を行い、不適正な表示・広告を行った事業者に対し改善等を行っています。
平成29年度の調査では、消費者への注意喚起として、以下の事例が示されています。

【不適正な事例】
「糖尿病の予防として利用されていました」
「物忘れ・認知症の予防に」
「細胞をダメージから守ったり元気な状態へ修復する」
「滋養強壮効果」

広告表示違反の傾向について、確認してみましょう。

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健康食品の不適正な表示・広告にご注意!平成29年度健康食品試買調査結果
(2018.3.27 東京都福祉保健局生活文化局)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/03/27/12.html
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●試買品目数の81%が法令違反の疑い
今回調査で購入した健康食品125品目のうち101品目で、試買品目数の81%に製品表示や広告に法令違反又は違反の疑いあり。
購入方法別では、店頭購入46品目中25品目、ネット購入79品目中76品目と、ネット購入品目の96%が不適正な表示・広告となっている。
前回28年度調査では、店頭購入45品目(内、違反品目17品目)、ネット購入80品目(内、違反品目67品目)で、ネット購入品だけでなく、店頭購入品でも違反品目割合が上昇した。

また、11製品から医薬品成分が検出された。

注目されている製品テーマ(購入品目の多いもの)として、昨年度に引き続き、特に「美白・美容・美肌」「男性機能向上」「ダイエット効果」「抗糖化・エイジングケア」。

●表示違反が多い法律は、医薬品医療機器等法が突出
医薬品医療機器等法が71件と突出している。次いで、特定商取引法60件、景品表示法52件、食品表示法(衛生事項)34件となっている。

製品テーマ別では、「美白・美容・美肌」では医薬品医療機器等法、景品表示法、特定商取引法、「男性機能向上」では医薬品医療機器等法、食品表示法(衛生事項・品質事項)、特定商取引法、景品表示法、「抗糖化・エイジングケア」では特定商取引法、医薬品医療機器等法、景品表示法での違反が目立つ。

今回の調査で、違反又は違反の疑いがあるとみなされた表示です。
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●製品についての不適正な表示・広告の事例
健康増進法:
・消費者に誤認を与える恐れのある表示
「飲むエイジングケア」「紫外線対策をしたい、内側からケアしたい」「原材料の○○は、毛髪の成長を促進することが知られています」
「塩分・糖分が気になる方へ」「細胞をダメージから守る」

景品表示法:
・表示の裏付けとなる合理的根拠が無く消費者に優良誤認させる表示
「面倒な白髪染めから卒業したい方におすすめ!一日カップ一杯飲むだけ」、
「××対策の全てを濃密配合-有用成分○○が女性の分泌バランスを整え規則正しいリズムに」
等の表示により、広告全体として、商品を摂取するだけで、表示された効果が得られるかのように消費者の誤認を招く表示(優良誤認)
・競争事業者と比較してより安い価格で販売しているかのように消費者を誤認させる表示
「当社×粒 ○○円 A社□粒 △△円」と他社の販売価格との比較広告を行っていたが、
実際は、取引条件の違う販売価格の比較であり、消費者の誤認を招く表示(有利誤認)

医薬品医療機器等法:
・疾病の治療又は予防を目的とする効能効果に該当
「風邪などの感染症予防」「抗炎症作用」「糖尿病の予防」「物忘れ・認知症の予防」
「血圧正常化」「生活習慣病に」「リウマチの症状に悩まされている方に」
・身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果に該当
「活性酸素の働きを弱め、免疫力を向上させる」「毛包幹細胞の成長促進」
「細胞に活性を与える」「滋養強壮効果」

●法令で義務付けられている表示についての不適正な事例
食品表示法:
・一括表示の欠落
・食品添加物以外の原材料と食品添加物が混在している
・新旧混在の表示
・表示文字が小さい
・栄養成分表示が正しく記載されていない
・栄養機能食品の必要表示事項が正しく記載されていない
栄養機能食品であるにもかかわらず、栄養成分表示が「推定値」となっている。
・栄養機能食品の表示禁止事項が記載されている
栄養機能食品として機能を表示する成分以外の成分の機能が表示されている。

特定商取引法:
・返品に関する事項の表示が不明瞭である
—消費者都合の返品について、返品の可否・条件・送料負担を明瞭に記載する必要がある。
・いわゆる定期購入の場合の表示が不十分である。
申込みの最終段階の画面上において、契約の主な内容(契約期間(回数)、各回ごとの代金・送料、契約期間内の支払総額)がすべて表示される必要がある。

不適正な表示・広告を行った事業者に対しては改善等を指導しており、他の自治体が所管する事業者については当該自治体に通報し、指導等を依頼しています。

他にも東京都では、インターネット広告表示監視事業により発見された不当表示に対して改善指示を行ったり(※)、消費者庁では、国と地方、地方の間での調査情報、被疑事案情報の共有を図ることを目的とした『景品表示法執行NETシステム』を、2012年4月から運用しています。

国や自治体の行う不適正表示の調査内容をチェックして、自社の広告を再確認することをお勧めします。

(※)平成28年度インターネット広告24,000件監視結果公表(東京都)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。