消費者庁は11月2日に、住宅トラブルの解決サービスを提供する会社(株)ARSおよび、(株)リュウセンが供給する日常生活における各種トラブル解決サービスに関する表示に対し、景品表示法の措置命令を行いました。
自社ウェブサイト及び、自社とは無関係の事業者が運営するものであるかのように装った比較サイトにおいて、拠点数、受注実績、取材実績、No.1表示、同業他社比較等の表示で優良誤認表示とみなされました。
No.1表示、作業員の現場到着時間、同業他社比較については、不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。
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株式会社ARS及び株式会社リュウセンに対する景品表示法に基づく措置命令について
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_171102_0001.pdf
(平成29年11月2日 消費者庁)
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●株式会社ARS
【対象役務】
1)「電気の110番救急車」電気トラブル解決サービス
2)「クラピタル」鍵トラブル解決サービス
3)「クラピタル」水まわりトラブル解決サービス
4)「クラピタル」ガラストラブル解決サービス
5)「クラピタル」害虫トラブル解決サービス
6)「街の電気屋さん」電気トラブル解決サービス
7)「街の鍵屋さん」鍵トラブル解決サービス
8)「街の水道屋さん」水まわりトラブル解決サービス
9)「街のガラス屋さん」ガラストラブル解決サービス
10)「街の害虫駆除屋さん」害虫トラブル解決サービス
11)「ライフ救急車」電気トラブル解決サービス
12)「ライフ救急車」鍵トラブル解決サービス
13)「ライフ救急車」水まわりトラブル解決サービス
14)「ライフ救急車」ガラストラブル解決サービス
15)「ライフ救急車」害虫トラブル解決サービス
【表示媒体・期間】
自社ウェブサイト
自社とは無関係の事業者が運営するものであるかのように装ったウェブサイト
表示期間:
平成27年5月29日~平成29年2月25日
【違反内容】
・拠点数に係る表示
自社ウェブサイトにおいて、1)~5)及び11)~15)の各役務について、あたかも、当該10役務を提供する拠点が全国各地に1,000か所または1,000か所以上と多数存在するかのような表示をしていた。実際には1,000を大きく下回っていた。(最大236)
・受注実績、取材実績に係る表示
自社ウェブサイトにおいて、
A) 1)~5)及び11)~15)の各役務について、あたかも、当該10役務の年間受注実績等が10万件又は10万件以上であるかのような表示をしていた。実際には10万件を大きく下回っていた。(最大21,290件)
B) 1)、3)~5)、6)、8)~10)、11)、13)~15) の各役務について、あたかも、当該12役務に官公庁や有名企業からら多数の受注実績があるかのような表示をしていた。実際には一部又は大部分からの受注実績がなかった。
C) 1)~5)及び12)~14)の各役務について、あたかも、当該8役務にテレビ番組からの取材実績があるかのような表示をしていた。実際には一部又は大部分からの取材実績がなかった。
・「最大手」「業界No.1」「日本一」等の表示
自社ウェブサイトにおいて、
A) 1)~5)の各役務について、あたかも、当該5役務に係る業界において、自社が最大手、顧客満足度が第1位の事業者であるかのような表示をしていた。当該5役務の質及び技術力が高いことから、各役務を利用しようとする一般消費者が所在する地域において自社の顧客満足度が第1位であるかのような表示をしていた。
B) 1)~5)の各役務について、あたかも、当該5役務に係る業界において、自社が技術力、年間受注実績が第1位の事業者であるかのような表示をしていた。
C) 12)、14)の各役務について、あたかも、当該2役務に係る自社の顧客満足度が継続して高水準を達成しているかのような表示をしていた。
実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、A)とC) の表示については当該資料は提出されなかった。
B)の表示については 同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
・作業員の現場到着時間に係る表示
自社ウェブサイトにおいて、1)~15)の各役務について、あたかも、当該15役務について、同業他社と比較して作業員が最も早く現場に到着し、また、最短15分での到着も期待できるかのような表示をしていた。
実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、前者の表示については当該資料は提出されなかった。
後者の表示については 同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
・比較サイトにおける同業他社との比較表示
実際にはARSが運営しているにもかかわらず自社とは無関係の事業者が運営するものであるかのように装った比較サイトにおいて、
A) 1)、6)、11)の各役務について、あたかも、当該サイト運営事業者が、50を超す電気トラブル解決サービス提供事業者から選定した15事業者のサービス内容を客観的に比較した結果、1)が第1位、6)が第2位、11)が第3位として評価されたかのように示す表示をしていた。
B) 5)、10)、15)の各役務について、あたかも、当該サイト運営事業者が、50を超す害虫トラブル解決サービス提供事業者から選定した15事業者のサービス内容を客観的に比較した結果、1)が第1位、6)が第2位、11)が第3位として評価されたかのように示す表示をしていた。
実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、当該資料は提出されなかった。
表示例:比較サイト「電気のトラブルお助け隊」
●リュウセン
【対象役務】
1)「クラピタル」パソコントラブル解決サービス
2)「街のパソコン屋さん」パソコントラブル解決サービス
3)「ライフ救急車」パソコントラブル解決サービス
【表示媒体・期間】
自社ウェブサイト
表示期間:
平成27年8月23日~平成29年2月25日
【違反内容】
・拠点数に係る表示
1)、3)の各役務について、あたかも、当該2役務を提供する拠点が全国各地に1,000か所または1,000か所以上と多数存在するかのような表示をしていた。実際には1,000を大きく下回っていた。(最大158)
・受注実績、取材実績に係る表示
A) 1)、3)の各役務について、あたかも、当該2役務の年間受注実績等が10万件又は10万件以上であるかのような表示をしていた。実際には10万件を大きく下回っていた。(最大2,336件)
B) 1)~3) の各役務について、あたかも、当該3役務に官公庁や有名企業からら多数の受注実績があるかのような表示をしていた。実際には一部又は大部分からの受注実績がなかった。
C) 1)、3)の各役務について、あたかも、当該2役務にテレビ番組からの取材実績があるかのような表示をしていた。実際にはいずれのテレビ番組からも取材実績はなかった。
・「最大手」「業界No.1」「日本一」等の表示
A) 1)の役務について、あたかも、当該役務に係る業界において、自社が最大手、顧客満足度が第1位の事業者であるかのような表示をしていた。
B) 1)の役務について、あたかも、当該役務に係る業界において、自社が技術力、年間受注実績が第1位の事業者であるかのような表示をしていた。
C) 2)の役務について、あたかも、当該役務の質及び技術力が高いことから、当該役務を利用しようとする一般消費者が所在する地域において自社の顧客満足度が第1位であるかのような表示をしていた。
実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、A)とC) の表示については当該資料は提出されなかった。
B)の表示については 同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
・作業員の現場到着時間に係る表示
1)~3)の各役務について、あたかも、当該3役務について、同業他社と比較して作業員が最も早く現場に到着し、また、最短15分での到着も期待できるかのような表示をしていた。
実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、前者の表示については当該資料は提出されなかった。
後者の表示については 同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
メディアやアフィリエイター等が運営するランキングサイトにおいては、その表示内容に広告主が関与していなければ、景表法の規制対象とはなりません。しかし、事業者自ら又は、第三者に依頼してサイト上の評価自体を変動させて、高い評価を得ているかのように偽装したり、その掲載内容について優良・有利誤認につながる表示を行った場合は、景表法違反となります。
≪参考記事≫
・口コミ代行業者を使ったランキング操作は、景表法違反のおそれあり
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