(合)BRONXに勝訴的和解。続く、「お試し価格からの定期購入」に対する適格消費者団体の差止請求 (京都消費者契約ネットワーク 平成29年6月2日)

先日お伝えした(株)モイストに対する「特定非営利活動法人埼玉消費者被害をなくす会」の広告表示の削除を求める申入れに続き、「お試し価格からの定期購入」に対する適格消費者団体の動きが活発です。

「サン・クロレラ販売訴訟」を起こした適格消費者団体の「京都消費者契約ネットワーク(KCCN)」が、今回は、合同会社BRONXに対して健康食品販売サイトの定期購入の表示の差し止めを求めた訴訟で、2017年6月2日に勝訴的和解をしたと発表しました。
KCCN は2017年1月11日に京都地方裁判所に差止請求訴訟を提起していました。
(消費者庁においても、消費者契約法第39条第1項に基づき内容が公表されています)

表示の差し止めを求めた内容は、以下の通りです。

表示媒体:
合同会社BRONXウェブサイト

対象商品:
「Natural Original Smoothie(ナチュラルオリジナルスムージー)」

問題となる表示:
対象商品が、「980円」と表示されている直前に、「980円」の表示の少なくとも半分以上のポイントで、3280円での、さらに4回の購入が義務付けられ、最低支払総額が1万4100円となることを表示せずに、対象となる商品が「980円」であると示す表示。

※「お試し価格表示差止請求事件 概要(2017年1月11日)」より抜粋
適格消費者団体NPO法人京都消費者契約ネットワーク(KCCN)


法律上の問題点:
本件商品を「キレイ痩せコース」で購入した場合、最低5ヶ月(5回)の継続購入及び、2回目以降は通常価格3280円での購入が契約内容となっているにもかかわらず、同社ウェブサイトの記載では、あたかも1回だけ、特別価格980円で購入できるかのように消費者を誤認させる。 →有利誤認(景品表示法30条1項2号)に該当する。

和解条項:
・申し込み画面に「キレイ痩せコース」で購入する場合の総額が1万4,100円(税別)と表示し、当該表示の直後に、申込画面から入力確認画面に進むためのハイパーリンクを貼った表示を表示する。
・入力確認画面に定期購入と2回目以降の価格が通常価格であることを明示し、これらの
条件を反映させた契約内容を表示する。

《改善された表示》

グリーンスムージー≪公式通販≫Natural Original Smoothie
http://naturaloriginalsmoothie.com/

上記サイトでは、2017年6月30日をもって販売終了と記載されています。

今回の和解の成立について、KCCNでは「ウェブサイトの表示を、消費者の誤認を招かない表示に是正させたものであり、当NPO法人の勝訴的和解といえる。」とし、「本訴訟により消費者の誤解を招く表示をしている事業者のホームページ広告の問題性が明らかとなり、その1つが、景品表示法を遵守するものに是正されたことには大きな社会的意義がある」としています。
ただし、今後の課題として、「本訴訟により解決したのは、社会に存在する問題の氷山の一角であり、消費者庁をはじめとする各行政機関は,本件と同様の問題のあるお試し価格表示について、速やかかつ徹底的に措置命令で対応すべきである」と訴えています。

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健康食品関連 申し入れ・差止請求 合同会社BRONX
(京都消費者契約ネットワーク(KCCN) 2017年6月2日)
http://kccn.jp/mousiir-kenkoushokuhin.html#mousiir-laver-bronx

京都消費者契約ネットワークと合同会社 BRONX との間の裁判上の和解について
(消費者庁 2017年6月30日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_qualified_consumer_organization/release39/pdf/release39_170630_0001.pdf
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≪関連記事≫

・クロレラ訴訟と消費者契約法改正の行方。「適格消費者団体」とは?

・ダイエットサプリの痩身効果表示に景表法措置命令。折込チラシ、同梱広告にも注意!

・お試し価格を設定して定期購入契約を行う際の注意ポイント「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂

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  1. 2017年 10月 04日

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。