【特商法処分】美容クリームの通販定期購入でMIO、Meilie、WELLVYに業務停止命令(6カ月)。3社まとめて処分公表の背景と行政の執行方針を読み解く(消費者庁 2026年3月27日)

2026年3月27日、通信販売の定期購入に関する特定商取引法(特商法)の行政処分が3社まとめて公表されました。
処分を受けたのは、美容クリーム等を販売する通信販売業者、株式会社MIO(東京都渋谷区)、株式会社Meilie(東京都目黒区)、株式会社WELLVY(東京都目黒区)の3社および各社の代表取締役です。
いずれも6か月間の業務停止命令および業務禁止命令が科されました。

通販定期購入に対する特商法での行政処分は、2026年3月16日に株式会社ピュレアスに対して出されており、立て続けの処分となっています。
今回の3社への適用条項は「誇大広告(第12条)」と「最終確認画面の表示違反(第12条の6第2項)」。
広告画面での化粧品の効能(しみ、しわ、たるみ等)表示と、一回限りと見せかけて定期購入契約となる販売条件の表示および、最終確認画面の表示が違反認定されています。

本記事では、3社の処分内容を概観し、広告の構成が極めて酷似している3社同時公表の背景にある行政の執行方針を読み解きます。

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特定商取引法違反の通信販売業者【株式会社MIO、株式会社Meilie及び株式会社WELLVY】に対する
業務停止命令(6か月)及び指示並びに当該業者の代表取締役に対する業務禁止命令(6か月)について
(消費者庁 2026年3月27日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/045634
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【事業概要】3社の概要

株式会社MIO株式会社Meilie株式会社WELLVY
本店
所在地
東京都渋谷区東京都目黒区東京都目黒区
代表
取締役
遠藤 真吾渡部 将吾石川 隼秀
設立2025年3月11日2025年6月11日2024年12月16日
取引
類型
通信販売hakualead.com/shop通信販売lumierecosme.com/shop/通信販売churumi.com/shop/

3社はいずれも2024年末〜2025年に設立された新興事業者です。3社は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為をしており、通信販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認定されました。

【認定した違反行為】

株式会社MIO株式会社Meilie株式会社WELLVY
処分年月日2026年3月23日2026年3月26日2026年3月26日
対象商品美容クリーム等
「ハクアリード ホワイトニング&モイスチャライジング エッセンシャルクリーム」
美容クリーム等
「ルミエルヴァレシア クリーム」
美容クリーム等「CHURUMI薬用クリーム」
違反表示期間少なくとも
2025年7月1日〜 同年8月12日
少なくとも
2025年10月9日〜 同年11月11日
少なくとも
2025年11月19日〜 同年12月23日
違反条文①誇大広告 (優良誤認)
第12条
しわ・タルミに関する 効能表示
誇大広告 (優良誤認)
第12条
しみに関する 効能表示
誇大広告 (優良誤認)
第12条
しみ・しわに関する 効能表示
違反条文②誇大広告 (有利誤認・ 事実相違) 第12条
初回単発購入で、2回目以降の購入義務付けや、解約には違約金の支払いが義務付けられるなどの契約上の制約なしと誤認させる表示
誇大広告 (有利誤認) 第12条

初回単発購入で、2回目以降の購入義務付けや、解約には違約金の支払いが義務付けられるなどの契約上の制約なしと誤認させる表示  
違反条文③最終確認画面 誤認表示 第12条の6 第2項
初回価格のみを強調し、定期購入条件を不明瞭化
処分内容業務停止命令(6か月)及び指示 代表取締役への業務禁止命令(6か月)

各違反条文における3社の違反パターンは類似していますが、販売条件表示(誇大広告)の認定類型に差があります。MIOには「有利誤認」および「事実相違」の両方が認定されているのに対し、Meilie・WELLVYには「有利誤認」のみが認定されており、「事実相違」の認定は見送られています。

(1)誇大広告(優良誤認)(特定商取引法第12条):商品の効能表示
MIO
あたかも、本件商品を3日間塗布するのみで皮膚に生じたしわやタルミを完全に消すことができるかのような表示。

【表示例】

(消費者庁公表資料より抜粋)

Meilie
あたかも、本件商品を塗布するのみで皮膚に生じたしみを完全に消すことができるかのような表示。

【表示例】

(消費者庁公表資料より抜粋)

WELLVY
表示① あたかも、本件商品を塗布するのみで皮膚に生じたしみを消すことができるかのような表示。
表示② あたかも、本件商品を3日間塗布するのみで皮膚に生じたしわを完全に消すことができるかのような表示。

【表示例】

(消費者庁公表資料より抜粋)

消費者庁は、3社に対し特定商取引法第12条の2の規定に基づき当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めました。WELLVYは資料を提出せず、MIOおよびMeilieからは資料が提出されたものの、いずれも当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められませんでした。

(2)誇大広告(有利誤認・事実相違)(特定商取引法第12条):商品の販売条件表示
MIO(有利誤認・事実相違)、MeilieWELLVY(有利誤認)
あたかも、本件商品の販売条件が、1,980円(税込2,178円)のみを支払うことによって商品1本を購入することができ、2本目以降の購入を義務付けられるなどの契約上の制約がないかのような表示。

【違反指摘表記例】
・「今日を逃すと正直かなり損です…赤字覚悟キャンペーン」(MIO・Meilie)
・「このチャンスを逃すと9,109円も損することに… 11,088円(税込) 通常価格 同じ商品なのにこんなに差が‼ 1,98
円 特別価格」(MIO・Meilie)
・「詐欺広告にありがちな『最低○回は購入しないといけません』という購入回数のお約束はありません!」(MIO・Meilie)
「もちろん!「最低○回は購入が必要」という定期回数縛りは一切ナシ! 1回限り! 定期回数のお約束なし」(WELLVY)
※通常価格表示は、MIOは11,088円(税込)、 Meilieは11,000円(税込)、WELLVYは10,989円(税込)

【表示例:MIO/Meilie/WELLVY】

(消費者庁公表資料より抜粋)

(3)最終確認画面における誤認表示(特定商取引法第12条の6第2項)
あたかも、本件商品の販売条件が、1,980円(税込2,178円)のみを支払うことによって商品1本を購入することができ、2本目以降の購入を義務付けられるなどの契約上の制約が課せられることがないものであるかのような表示。

【違反指摘表記】

前記(2)の広告内のボタンを押下。

【広告内のボタン表示(遷移前)】
「▼最安値でご案内▼ 送料無料&定期回数縛りなし「塗って3秒のシワ消し体験」特別価格はこちら」(MIO)
「送料無料 本日無料 「塗って一瞬でシミ消せる」 特別価格はこちら」(Meilie)
「定期回数の縛りなし・送料無料 アンケートを送信して特別価格でGET」(WELLVY)

                         

自動的に遷移するチャットボットページ内の定期購入契約の最終確認画面の申込ボタンの直上に、
本件定期購入契約の販売条件のうち、最初に引き渡す商品の販売価格等のみを分離して強調する形式で表示。
【申込ボタンの表示】
「初回限定!! 1,980円 今すぐ申し込む!」(MIO)
「高品質をお得に購入! 初回限定特別価格で今すぐ購入する!!」(Meilie)
「本ページ限定の1,000円OFFを利用して 本ページ限定価格で申し込む! ここをクリック!」(WELLVY)

【表示例:MIO/Meilie/WELLVY】

(消費者庁公表資料より引用)

実際の契約内容:
(2)の広告から自動的に遷移するチャットボットページおよび、(3)の最終確認画面の申込ボタンを押下することにより申し込むことができる定期購入契約の内容は、
2回目以降のお届け予定日の15日前の期限までに所定の方法に従った解除の連絡をしなければ、継続する期限の定めのない定期購入契約であった。
2回目の商品を購入せずに解除をする場合には、1万円以上の支払いが義務付けられるなどの契約上の制約が課せられたものであった。
当該契約を締結した者は、2回分の商品4本の対価として合計2万円以上を支払うか、最低でも商品1本の対価として合計1万円以上を支払いうこととされており、1,980円(税込2,178円)のみを支払うことによって商品1本を購入することはできなかった。

【処分の内容】
(1)業務停止命令
停止対象業務(3社共通):
 1)通信販売に関する商品の販売条件について広告を行うこと。
 2)通信販売に関する商品の売買契約の申込みを受けること。
 3)通信販売に関する商品の売買契約を締結すること。

停止期間:
MIO :2026年3月24日から2026年9月23日まで(6か月間)
Meilie ・WELLVY :2026年3月27日から2026年9月26日まで(6か月間)

(2)指示
1.前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む。)して、業務再開までに役員・従業員へ周知徹底すること。
2.3社との間で本件売買契約を締結した全ての相手方(MIO:2025年7月1日から2026年3月23日までの間、Meilie:2025年10月9日から2026年3月26日までの間、WELLVY:2025年11月19日から2026年3月26日までの間)に対し、消費者庁のウェブサイトに掲載される、業務停止命令及び本指示をした旨を公表する公表資料を添付して、文書により通知し(MIO:2026年4月23日までに、Meilie ・WELLVY :2026年4月27日までに)、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛てに文書により報告すること。
(契約の相手方に発送する予定の通知書面の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ消費者庁長官宛てに文書により報告し承認を得ること。)
3.誇大広告の内容を消費者に周知すること。
4.今後、3社が行う通信販売について、特定商取引法の各規定を遵守すること。

(3)代表取締役に対する業務禁止命令
各社の代表取締役(MIO:遠藤 真吾、Meilie:渡部 将吾、WELLVY:石川 隼秀)に対し、業務停止命令の範囲内の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の役員に就任することも含む)を6か月間禁じる命令が下されています。3名はいずれも、各社の停止対象業務の遂行に主導的な役割を果たしていたと認定されています。

極めて深刻な消費者被害状況

3社は設立時期が近く、いずれも2024年末から2025年に設立されたばかりにもかかわらず、設立時点から大量の消費者相談が寄せられています。今回の事案に関連するPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された相談件数は以下のとおりです。

・MIO:6,829件(2025年3月11日〜2026年2月28日)
・Meilie:5,616件(2025年6月11日〜2026年2月28日)
・WELLVY:6,396件(2024年12月16日〜2026年2月28日)

相談の主な内容は「安価で1回限りと思っていたが2回目が届いた。定期購入と分からなかった。解約したい」といったもので、通販定期購入トラブルの典型的なパターンです。
消費者庁は、消費者を誤認させる手法が類似する3社の処分をまとめて公表することで、消費者への一層の注意喚起につながることを期待しているとしています。

【行政の執行方針】3社同時公表と相次ぐ処分の背景

このような消費者被害の大きさが厳格な特商法執行につながっています。
悪質な定期購入においては、景品表示法違反としての単なる広告表現の是正にとどまらず、業務停止命令により消費者被害の拡大を迅速に食い止める特商法を適用していると考えられます。
消費者庁は、3社についてそれぞれ独立した調査を実施し、調査時期が近接していたことから同時公表に至ったとしています。違反認定された3社の広告の構成が極めて酷似していることは明白ですが、3社の関係性については「執行調査の都合上、コメントは差し控える」として、類似手口を用いた他の事業者、同社との関連などについても監視を行っていることがうかがえます。
2025年度において、同様の手口に行政処分が相次いでいます。

・ASUNOBI事案(2025年9月)
・BIZM事案(2025年11月)

・ピュレアス事案(2026年3月)

注目すべき点:
一見類似した広告手法であっても、販売条件表示の誇大広告に関して、事案ごとに異なる違反認定が行われています。
公表文において3社同一内容の、「初回単発購入と誤認させる表示」と認定されているものの、MIOに対しては「有利誤認」と「事実相違」の両方が認定されたのに対し、Meilie・WELLVYには「有利誤認」のみが認定され、「事実相違」については認定されていません。
この差異は、行政の認定判断基準がどこにあるのかを精査する上で、非常に重要な事例となっています。

続きは会員限定記事で:通販定期購入の「違反認定のポイント」を事例で検証

一見似通った広告手法であっても、行政が下す認定内容の差異を精査することで、最新の法執行における「境界線」が浮かび上がります。
会員限定記事では、以下を検証します。

・ 「有利誤認」と「事実相違」の認定基準の差とは何か
・ 今回の3社事案と過去事案(ASUNOBI・BIZM・ピュレアス)の表示内容を比較
・ 行政の違反認定のポイントと処分内容への影響

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≪参考記事≫

・改正特商法対応急務、「最終確認画面」の義務表示事項と定期購入での禁止表示のポイント(2022年6月1日施行)

・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。