【特商法処分】サプリメントの通販定期購入でピュレアスに業務停止命令(3カ月)。解約条件の誇大広告+最終確認画面での表示義務違反と誤認表示(消費者庁 2026年3月19日)

2025年度の4件目となる、通販定期購入に対する特定商取引法での行政処分です。
消費者庁は、2026年3月16日、サプリメントを販売する通信販売業者である(株)ピュレアス(本店所在地:東京都渋谷区) に対し、3カ月間の業務停止命令(および指示)を、同社の代表取締役 坂本圭悟に対しては3カ月間の業務禁止命令をそれぞれ命じました 。

問題となったのは、格安の初回費用を支払うだけで、追加費用なしに契約解除できると消費者を誤認させる広告ページと最終確認画面の表示です。
また、取引条件として、2回目以降の引き渡し時の送料の表示がなかったことも表示義務違反となっています。

処分の内容について確認します。

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特定商取引法違反の通信販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び指示並びに
当該業者の代表取締役に対する業務禁止命令(3か月)について
通信販売業者【 株式会社ピュレアス 】に対する行政処分について
(消費者庁 2026年3月19日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/044086
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【事業概要】
処分対象事業者:株式会社ピュレアス(本店所在地:東京都渋谷区)
取引類型:通信販売 自社が運営するウェブサイト「https:// ones-up.jp/」ではじまるもの
代表者:代表取締役 坂本 圭悟
設立:2020年12月7日

ピュレアスは、以下のとおり特定商取引法に違反する行為をしており、通信販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認定された。
【認定した違反行為】
処分年月日:2026年3月16日
取扱商品:「ワンズアップ」と称するサプリメント
違反表示期間:少なくとも2025年7月16日から同年10月21日までの間
違反条文・内容:
(1)誇大広告(有利誤認)(特定商取引法第12条)
 解約金なしに契約を解除することができると誤認させる定期購入表示
(2)最終確認画面における表示義務違反(特定商取引法第12条の6第1項)
 商品の2回目以降の引渡時の送料の不記載
(3)最終確認画面における誤認表示(特定商取引法第12条の6第2項)
 初回価格のみ強調し、解約金なしに定期購入契約を解除できると誤認させる表示
処分内容:
業務停止命令(3か月)及び指示
代表取締役に対する業務禁止命令(3か月)

(1)誇大広告(有利誤認)(特定商取引法第12条)
商品の販売条件表示
あたかも、本件商品の販売条件が、500円のみを支払うことによって商品1本を購入することができ、商品を1回のみ受け取った後、追加の金銭的負担なく契約を解除することができるかのような表示。

【表示例:広告ページ(商品の販売条件に関する表示)】

(消費者庁公表資料より引用)

【違反指摘表記】
・「今ならキャンペーン価格500円で買えちゃうんです!」
・「便利でオトクな定期コース(次回以降、自動でお届け) 通常価格 9,980円(税込)→初回価格 800円(税込) 92%OFF 送料無料」
・「通常価格9,980円のところ…。→→→800円!! さらに!!このページからの申し込みで本日限定でクーポン発行中! このクーポンが出たら500円です! つまり、この機会を逃すと、9,480円をドブに捨てることに…」
・「そんなに安いって何か裏があるんじゃ…定期縛りとか… そんなのないので満足したらいつでも解約できますよ!」
・「定期縛りなし!! 1回で解約OK!」、「95%OFF 豪華特典付き 初回500円(税込) 送料無料 返金保証 縛りなし」
などと表示。

(2)最終確認画面における表示義務違反(特定商取引法第12条の6第1項)
チャットボットページ上における定期購入契約の最終確認画面上において、商品の2回目以降の引渡時の送料について表示していなかった。

(3)最終確認画面における誤認表示(特定商取引法第12条の6第2項)
定期購入契約で2回目を受け取らず解約する際の違約金の表示について、商品の売買契約の解除に関する事項につき、人を誤認させるような表示をしていた。

【表示例:最終確認画面】

(消費者庁公表資料より引用)

【違反指摘表記】
前記(1)の広告から遷移するチャットボットページ上の定期購入契約の最終確認画面において、
「◆ご注文内容◆」と題された欄内に
「商品名:ワンズアップ 通常価格:9,980円 割引:-9,480円 合計:500円」と表示。
本件定期購入契約の販売条件のうち、最初に引き渡す商品の販売価格等のみを分離して強調する形式で表示。

実際:
(1)の広告から遷移するチャットボットページから申し込むことができる定期購入契約の内容は、2回目の受取をせずに契約を解除する場合に税込9,480円の支払いが義務付けられる等、追加の金銭的負担なく商品を1回のみ受け取って契約を解除することはできなかった。

【処分の内容】
(1)業務停止命令
内容:
ピュレアスが行う通信販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
 1)通信販売に関する商品の販売条件について広告を行うこと。
 2)通信販売に関する商品の売買契約の申込みを受けること。
 3)通信販売に関する商品の売買契約を締結すること。

期間:
2026年3月17日から2026年6月16日まで(3か月間)

業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続きを行うこととなっています。

(2)指示
1.前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を整備(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む。)して、これを同社の役員及び従業員に、業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
2.ピュレアスとの間で本件売買契約を締結した全ての相手方2025年7月16日から2026年3月16日までの間)に対し、消費者庁のウェブサイトに掲載される、業務停止命令及び本指示をした旨を公表する公表資料を添付して、文書により通知し(2026年4月16日までに)、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛てに文書により報告すること。
(契約の相手方に発送する予定の通知書面の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ消費者庁長官宛てに文書により報告し承認を得ること。)
3.誇大広告の内容を消費者に周知すること。
4.今後、ピュレアスが行う通信販売について、特定商取引法の各規定を遵守すること。

上記指示に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金、又はこれを併科、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金が課せられます。

また、本件では、ピュレアスの代表取締役 坂本圭悟に対して、同社が命ぜられた業務停止の範囲内の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を3か月間禁じる処分が下っています。
※坂本圭悟は、ピュレアスの代表取締役であり、かつ、ピュレアスが停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。

上記指示に違反した者には、個人は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金が科せられます。

相談現場の「声」と「認定内容」のギャップ

消費者庁によると、ピュレアスには全国の消費生活センター等に、2021年4月から2026年2月末までの約5年間で累計7,453件もの相談が寄せられていました 。
主な相談内容は以下の通りです 。

・「初回のみだと思っていたら定期購入だった」(販売形態の誤認)
・「追加料金を支払わないと解約できない」(解約条件の誤認)

ここで注目すべきは、今回の認定内容です。
本件では、主な相談内容のうち、追加料金なしに契約解除ができると誤認させる表示(有利誤認)のみが認定されており、初回単発購入と誤認させる表示(事実相違)については認定されていません。
同様の定期購入トラブルとして昨年に行政処分を受けた「ASUNOBI/BIZM事案」では、有利誤認と事実相違の両方が認定されていたことと比較すると、今回の事案は、行政の認定判断の分かれ目がどこにあるのかを精査する上で非常に重要な事例といえます。

《参考記事》
【特商法処分】美容クリームの通販定期購入でASUNOBI・BIZMに立て続けの業務停止命令(6カ月)。「双子の事案」が示す業界への警告

広告ページと連動した最終確認画面の誤認表示認定

また、最終確認画面においても、初回価格のみを強調する一方で、解約条件(違約金)を認識しづらくさせていた点が認定されています。
具体的には、以下の表示構成となっていました。

・「合計500円」という低価格のみを分離して強調し、あたかもそれ以上の負担がないかのように見せていた 。
・解約条件(違約金)を確認するには、「定期コースについて」という箇所の「+」ボタンをクリックしなければならなかった 。
・さらに、ボタンを押して開いた画面も、スクロールしなければ肝心の解約条件にたどり着けない構成だった。

広告による誘引から、最終確認画面での誤認、そして決済に至るまで、一連のスキームが「誤認表示」を構成していると判断された形です。

続きは会員限定記事で:通販定期購入の「違反パターン」、「行政の視点」を事例で検証
会員限定記事では、行政が問題視する通販定期購入の「違反パターン」に照らし、今回のピュレアスとASUNOBI/BIZMの両事案の表示内容を検証。行政の違反認定のポイントと執行トレンドを深掘り解説します。
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。