「消費者志向経営」が社会の基本認識に。SDGs、ESG投資との関係をより明確化(消費者庁 2020年9月)

今回の気になるトピックは、進化する「消費者志向経営の推進」について。
9月2日に、「令和2年度消費者志向経営優良事例表彰」に関する募集が開始されました。

消費者志向経営ロゴマーク

「消費者志向経営優良事例表彰」について、まだまだご存知ない方もいらっしゃることと思います。
この表彰制度は、消費者志向自主宣言を公表するとともにフォローアップ活動を行った事業者が、その宣言に基づいて行っている優れた取組を表彰するもので、消費者庁が平成30年度から毎年実施しており、今回が3回目となります。

2016年11月から参加企業の募集が開始され、制度発足から約2年の2018年10月末時点の参加事業者は97社。さらに、2020年7月末現在で158社に留まっています。
まだまだ少なく、今後もっともっと広がっていってほしいものです。

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消費者志向自主宣言・フォローアップ活動 参加事業者及び取組内容
(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/consumer_oriented_management/businesses/
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事業者にとって、消費者志向経営に取り組むためのインセンティブや、取組を支援するために、何が求められているのでしょうか。
事業者の消費者志向経営推進に向けた消費者庁の取組について、まとめてみました。



消費者庁が9月に実施した企業向けアンケートでは、事業者の消費者志向経営を推進する上での期待として、「認知度向上」、「参加事業者拡大」、「企業の取組のPR強化」、「ESG投資との連動」、「客観的な評価に基づくコメント等のフィードバック」などが求められています。
また、特に中小企業においては、「提出書類の簡素化」の要望も大きくなっています。

(「第4回消費者志向経営の推進に関する有識者検討会 中間報告書」より引用)

消費者志向経営の取組が、事業者としての社会的責任を果たしていると多様な関係者から評価され、円滑な資金調達等につながるものであってほしいわけですが、そのためには、まずは、以下のような基本認識の整理が必要と考えられます。

・企業に対し消費者志向経営の取組の客観的かつ具体的なメリットを示すこと
・社会情勢の変化に対応した新たな消費者志向経営の概念整理が必要であること

2020年5月より「消費者志向経営の推進に関する有識者検討会」が実施されており、上記を踏まえて、ESG 投融資等の要素を盛り込んだ優良事例表彰の新たな客観的評価軸及び評価基準の作成、消費者志向経営の概念整理、金融との紐付けや公益通報者認証制度との連携等の検討が行われています。

この検討会の議論をベースに、今回の優良事例表彰では、消費者志向経営を『持続可能な社会に貢献することを目標とした、「消費者」と「共創・協働」して、「社会価値」を向上させる経営』と改めて定義しました。

その上で、法令の遵守/コーポレートガバナンスの強化といった事業リスクの低減から、消費者の声を聞き、生かすこと、SDGsや地方創生などの未来・次世代のための取り組みといった事業機会の創出に向けた活動を、評価基準として位置づけました。

また、消費者志向経営の活動の裾野を拡大するために、消費者庁長官表彰に特別枠を創設し、消費者志向自主宣言又はフォローアップ活動を行っていない事業者も一定の条件の下で応募可能としました。
これは、消費者志向経営の取組は当然必要でありながら、応募時点で消費者志向自主宣言、あるいはフォローアップ活動が未達成で、やる気はあるものの途上であるという事業者に対しても募集の門戸を開くという趣旨のものです。
事業者の規模や業種にかかわらず、中小企業、あるいはBtoBtoCといったような事業者からも幅広い参加を、消費者庁は期待しています。

応募期間は9月16日から11月13日まで、令和2年度内の表彰を予定しています。

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「令和2年度消費者志向経営優良事例表彰の実施について(募集)」 を掲載しました。
(消費者庁 2020年9月2日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/consumer_oriented_management/propulsion_organization/#commendation

消費者志向経営の推進に関する有識者検討会(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/meeting_materials/review_meeting_001/
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≪関連記事≫
・消費者志向経営を推進において重要だと考える取組は、「消費者の声の社内共有と事業活用」が5割(平成30年度 消費者意識基本調査)

・平成30年度消費者志向経営優良事例表彰発表!高めたい消費者志向経営の消費者への認知(消費者庁 2018年11月28日)

・2017年の消費者行政「企業の適正なビジネスを応援する」
(岡村消費者庁長官記者会見 2017年1月11日)

・「消費者志向経営」の事業者にとっての効果(メリット)とは?
(平成26年4月 「消費者志向経営の取組促進に関する検討会」報告書)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。