近年、家庭用電気マッサージ器の販売台数が伸びる中、高齢者の危害が増加しています。国民生活センターが、家庭用電気マッサージ器による事故防止のため、消費者への注意喚起と事業者・業界への要望事項を公表しています。
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、「電器店でマッサージ器を買って3日目に圧迫骨折した」「フットマッサージ器を使用していたところ、太ももが内出血した」といった危害に関する相談が253件(※)寄せられており、増加傾向にあります。また、家庭用電気マッサージ器の国内出荷台数は過去4年間増加し続けており、2013 年は約 195 万台に達しています。(厚生労働省 薬事工業生産動態調査)
※2010年4月 1日~2015年11月30日。2015年12月18日現在登録分まで
過去にも、ローラー式マッサージ器のローラー部の布カバーを外して使用したこと等により、衣服が機器のローラー部に巻き込まれて窒息死するという事故が5件発生し、厚生労働省が2008年、2012年、2014年と3回、消費者庁も 2012年、2014年と2回注意喚起を行っています。
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家庭用電気マッサージ器の正しい使用について
(平成24年5月10日 厚生労働省 注意喚起)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002a2ce.html
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家庭用管理医療機器となる家庭用電気マッサージ器については、医薬品医療機器等法で、製造販売業者は機器の適正な使い方等について販売事業者等に情報提供を行う努力義務、販売事業者も機器の適正な使い方等について購入者等に情報提供を行う努力義務が定められています。
国民生活センターに寄せられた危害相談の内容及び、販売事業者と消費者に実施したアンケート調査では、以下の問題点が指摘されています。
●安全な使い方が販売・体験時に消費者に十分提供されていない
●消費者も適正に使うために必要な情報に積極的には触れていない
●中程度の刺激から運転が始まったり、挟み込まれたまま止まることもある
●危ないと感じても停止が間に合わない
トラブルの拡大防止のため、販売事業者の留意すべき点をまとめました。
●PIO-NET危害相談の内容
・被害者属性は、女性が7割(176件)、男性 3割(75件)と女性が多く、年代を見ると 60 歳以上が全体のおよそ 6割(155件)を占めている。
・「体が痛い」「頭痛や吐き気がする」といった事例や、強く圧迫された部分に内出血や痣
あざ、腫れがみられた、皮膚がすりむけた等の事例が多い。なかには「神経・脊髄の損傷」「骨折」など重篤な危害も。危害事例のうち約 52%が医療機関の治療を受けている。
・機器の形状別では、最多がマッサージチェアで 83 件、次にフットマッサージャー49件、ベッド型マッサージ器22件、首および肩掛け型マッサージ器19件。マッサージチェアでは「神経・脊髄の損傷」が7件、「筋・腱の損傷」5件、「骨折」4件となっており、いずれも他のタイプより件数が多くみられた。
《販売店・通信販売事業者に対するアンケート》
家庭用電気マッサージ器を販売する量販店および通信販売事業者18社のうち8社から回答。
●製造販売業者から販売業者への安全な使い方に関する情報提供
・回答事業者が扱っている家庭用電気マッサージ器のほとんどが家庭用管理医療機器だった。
・販売事業者は製造販売業者から安全な使い方等に関する情報提供を受け、購入者や体験者に説明するよう伝えられていた。
・使用が禁止される疾病等(血栓症、動脈 瘤りゅう、皮膚炎、皮膚感染症など)や、弱い刺激から使用するための操作については説明を受けていないという回答もみられた。
●体験・購入希望者への説明
・マッサージチェアについては、大半の販売事業者から説明や掲示を行っているとの回答。
・それ以外の機器については、ほとんど説明されていなかった。
《消費者に対するアンケート調査》
調査対象者:家庭用電気マッサージ器の購入者 500 名および、購入はしていないが販売店等で体験した者 500名の計1000名
調査時期::2015 年12月
●体調不具合発生状況
・使用により体調不良を生じたという回答は 1 割程度(185 件)。
内訳は「筋肉・腱の痛みや張り、損傷」が 3 割程度(53 件)と最も多かったほか、骨折したという回答も 1 割程度(24 件)あり。
・危ないと思ったときの家庭用電気マッサージ器の操作については、「その程度のマッサージの強さはありうると思って受傷した」との回答が最も多く、次いで「危ないと感じて停止できた」、「危ないと感じたが停止操作が間に合わなかった」と続く。
・事故が生じたと回答した人の 4 割は、製造者や販売者に対して事故が生じたことを伝えていなかった。
●使用方法説明
機器の使い方については、機器ごとに割合は異なるが、全体として「取扱説明書も読まず販売員や購入した家族からも説明を聞かずに使用した」が 4 割程度と最も多く、自ら購入して使用した場合であっても取扱説明書を読んでいたのは 6 割程度。
●使用が禁止される疾病等がある事の説明
購入時や体験時に使用が禁止される疾病等や使用上の注意について、説明があったのは2割程度。そのうち使用が禁止される疾病等について掲示があったと認識していたのは3割程度となっている。
●弱い刺激(弱モード)から使用することの理解
マッサージチェアについて、電源を入れてそのまま使った場合、どの程度の刺激からマッサージが始まるかについては、「弱」から始まるとの回答は 1 割程度。「中」もしくは「強」との回答が 5 割、「表示されない」「わからない」という回答も 4 割となった。
《通信販売事業者のトラブル防止対策》
適正な使用のために正しい情報を伝える
以下の注意事項を取扱説明書に記載するだけでなく、ショップサイトや受注確認メール等に正しく記載し、販売時にはオペレーターからもお客様に確実に伝えましょう。
・「次の人は使用しない」「医師と相談してから」といった使用が禁止される疾病等に関する注意表示
・弱い刺激(弱モード)から使用するように指導する
・ベッド型、チェア型、一部のポータブル型のように身体を預けて使う機器などでは、使用中に自分の体重がかかり起き上がりにくいことがあること
・家庭用電気マッサージ器の使用中に異常や危険を感じた際に直ちに停止できるよう、必ずリモコンを手に持つもしくは手の届く範囲に置いておくこと
・家庭用電気マッサージ器にカバーの破れやズレなど外観上の異常がないか、使用前に必ず点検すること
安心して製品利用していただけるよう、一層の配慮を心がけましょう。
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家庭用電気マッサージ器による危害
-体調を改善するつもりが悪化することも!特に高齢者は注意が必要-
(国民生活センター 2016年1月21日)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160121_1.html
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