通販「返金保証制度」の利用条件にまつわる、消費者のトラブル事例と対策のヒント

購入商品を使用後でも返金対応する「返金保証制度」は、消費者の購入への後押しや安心につなげることができ、リピート購入して欲しい健康食品や化粧品などの通販では、定期購入契約促進策としても有効な施策と言えます。

しかし、返金条件が消費者にとって納得できない条件である場合は、かえって消費者に不信感を与え逆効果です。

今回は、健康食品と化粧品の定期購入に関連した「返金保証制度」の利用条件について、消費者のトラブル事例と対策のヒントをお届けします。

≪事例1:定期購入の返金条件となる利用期間が長すぎる≫
≪事例2:定期購入は2回購入が条件なのに「全額返金」対象は1回分だけ?≫

((社)日本通信販売協会(JADMA)発行情報誌「JADMANEWS(ジャドマニューズ)」(2015年11月号)より)

≪事例1:定期購入の返金条件となる利用期間が長すぎる≫
ダイエットサプリメントの定期購入コースを申し込んだ。最低3か月間(3回)以上の継続購入条件に併せて「90日間全額返金保証制度」の表示があり、90日の間であればいつでも返金保証を利用できると思い、気軽に申し込んだ。
1回目の商品を試したが満足感が得られなかったため、返金保証制度利用を申し入れたが、3か月間商品を試した後でなければ利用できないといわれた。
気軽な気持ちで申し込んでおり3か月も試す気にはなれない。3回分の納品書・商品パッケージまで返送させるのは、事業者が条件を細かくして消費者に返金保証を利用させないようにしているのではないか。
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ショップサイトの商品ページには、「全額返金保証制度」の利用条件に「3回分の納品書・商品パッケージを返送する」「4回目商品発送予定日の7日前までに連絡する」の記載があったが、相談者は確認していなかった。
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≪事例2:定期購入は2回購入が条件なのに「全額返金」対象は1回分だけ?≫
2か月間(2回)継続が条件の、化粧品の定期便を申し込んだ。「使用後何日経過しても納得できなければ全額返金」の表示があり、2回分すべてに返金制度を利用できると思い、安心して申し込んだ。
2か月商品を使用し自分の肌には合わなかったため、返金保証制度利用を申し入れたが、「当該保証は初回分のみで、定期便をご利用の方は2回分のうち1回分の商品を全額返金します」といわれた。
「使用後何日経過しても全額返金」と書かれていれば購入した商品代金の全額返金してもらえると思うのではないか?
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ショップサイトの「保証について」のインフォメーションでは「返金保証対象は初回1回分」の記載があったが、商品ページの各所に記載された「保証制度」の説明には対象回数の記載がなく、相談者は保証内容を確認していなかった。
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アドバイス:
返金保証制度は事業者独自のサービスですので、事業者が自由に条件設定してよいもので、どちらの事例も消費者がきちんと保証内容を確認していなかったことが、トラブルの原因と言えます。
しかしながら、そもそも返金保証は、初めて購入する消費者の不安を取り払うために、ちょっと気楽に、安心して商品を試して気に入ってもらい、結果、リピート購入につなげることを目指した施策ではないでしょうか。
その観点から考えると、
事例1では、効能効果を謳えない健康食品において、3か月間試して継続購入判断ほしいという意図は理解できます。一方、ちょっと気楽に試すには3か月は長いと受け止める消費者心理も理解できます。(効能効果の保証以外に)3か月試してもらうための説得材料が必要ではないでしょうか。
事例2では、化粧品のお試しに1か月間(1回)は妥当に思われますが、2か月間(2回)が継続条件となる定期コースには、1回分のみの「返金保証制度」はそぐわないのではないでしょうか。

保証内容について消費者にわかりやすい表示を心がけることはもとより、消費者に受け入れられる効果的な返金保証制度を設定しましょう。

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(社)日本通信販売協会 会報誌(ジャドマニューズ2015年11月号)
http://saas.startialab.com/acti_books/1045176281/28472/
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。