苦情に見る消費者目線と事業者目線の違い。国セン「消費者トラブルメール箱」2015年度の報告書より

国民生活センターでは、消費者被害実態把握と被害発生防止に役立てるため、2002年4月より「消費者トラブルメール箱」開設しています。2015年度内に寄せられた情報の受信概況、追跡調査を実施した主な事案等について報告しています。

2015年度に寄せられた情報の件数(受信件数)は9,122件で、2014年度の1万3,721件を大幅に下回りました。
トラブルメール箱2015(国セン)

この報告書における「追跡調査を実施した主な事案」の中で、特にネットでの取引や広告に関連するトラブルをピックアップしてみました。

(1)米粉100%と表示されていたクッキーに小麦グルテンが含まれていた
(2)13時までの注文で当日配達と記載されていたが、当日配達されなかった
(3)注文したサプリメントの返品を受付時間内に申し出たが事業者が対応しない
(4)インターネット通販で購入した洋服が不良品だったので返品したら、返金方法がそのサイトでしか使用できない商品券だった
(5)インターネット動画配信サービス「動画見放題と音楽聴き放題セット」の解約は動画と音楽別々に解約手続きが必要と言われた
(6)インターネット通販で買った商品を配送事業者が紛失した。配送方法はメール便だった

(1)米粉100%と表示されていたクッキーに小麦グルテンが含まれていた
<2015年5月受信>
●寄せられた情報
「原材料表示は「米粉100%」と表示されており小麦に関する表示は一切なかったので食べていたら、小麦アレルギーによるじんましんなどアナフィラキシーの症状が出て救急搬送された。販売業者に小麦の使用の有無をメールで確認したところ、小麦グルテンを使用していると回答があった。」

●調査結果
販売業者が加入している団体のホームページを確認したところ、トップページにアーモンドクッキーの表示不備に係る謝罪と自主回収する旨のお知らせが掲載されていた。
しかし、販売業者のホームページには表示の不備に関するおわびのお知らせはなく、アーモンドクッキーについて記載されている部分にも小麦が含まれている旨の記載がなかった。

国センからの依頼:
同団体に全ての販売業者のホームページにも小麦が含まれている全ての商品について、小麦が含まれている旨の表示の訂正等を依頼したところ、訂正をする旨の回答があり、その後、変更されていることを確認。

●フィデスの視点
消費者庁が行っている食品表示の適正化に向けた取組においても、輸入米粉食品のアレルギー表示の徹底(平成28年7月)や、米粉パン等の表示の適正化等(平成27年7月)について、監視指導の重点項目として取り上げられています。

《参考情報》
・保健機能食品、業務用加工食品、輸入米粉製品注意。夏期一斉食品表示の取締り
(平成28年7月 消費者庁)
・全国一斉、食品表示の取締り。食品表示法の厳正な執行
(平成27年7月 消費者庁)

(2)13時までの注文で当日配達と記載されていたが、当日配達されなかった
< 2015年7月受信>
●寄せられた情報
「ウェブサイトでは『13 時までの注文で当日配達』と記載されていたので、11 時過ぎにプリンターのインクを注文した。しかし入金の確認が13 時過ぎであったという理由で当日配達されなかった。」

●調査結果
事業者のウェブサイトには、「13 時までのご注文で当日にお届け」という記載があり、商品が届くまでの流れとして、注文手続き完了、決済完了確認、注文商品の在庫調達、出荷、商品送付といった内容が記載されていた。

事業者の説明:
「注文手続き完了、決済完了確認、注文商品の在庫調達の全てがそろって初めて『注文』が完了する。ホームページに掲載されている『注文』という言葉の意味がわかりにくいことは認識している」との回答。

国センからの依頼:
注文手続きだけでなく、決済確認、在庫確認も含め全てが13時までに確認できた場合のみ、注文した商品が当日配達されることが消費者にわかるようにウェブサイト上に明記してほしいと依頼した。

●フィデスの視点
消費者にとって魅力的なサービス程、誤認を与えてしまうと消費者の大きな不満につながります。また、契約成立時期については、古フィルメントの側面だけでなく、キャンセルの受付時期にも大きく関わってくるため、注意が必要です。

《参考情報》
ネットショップのキャンセル対応と契約成立時期
http://blog.fides-cd.co.jp/article/389773279.html

(3)注文したサプリメントの返品を受付時間内に申し出たが事業者が対応しない
< 2016年2月受信>
●寄せられた情報
「注文したサプリメントを規約に定める期限内に返品の連絡をしたところ、電話代行業者につながった。受付時間内にもかかわらず対応をしてもらえなかった。」

●調査結果
事業者のウェブサイトには、注文の受付時間が「9 時~21 時(年中無休)」とあり、返品・交換の連絡については、事前連絡のないままでの返品は受け付けないこと、営業時間内に電話してから返品すること、土・日・祝日等の代行電話受付時間内での返品の連絡は受けかねる旨の記載がされていた。しかし、情報提供者が連絡した平日の19時50分過ぎが営業時間内であるかどうかの明確な記載はなし。

事業者の説明:
「電話代行業者が対応する時間帯は、土日祝日と平日10時から18時の営業時間以外である。」との回答。

国センからの依頼:
「土・日・祝日等の代行電話受付」しか記載されていないことを指摘したところ「平日
の具体的な時間も記載する」との回答があり、その後、同社のウェブサイトで返品受付の時間が明記されているのを確認。

●フィデスの視点
返品依頼をする消費者は、商品やサービスに何らかの不満を抱いているため、できるだけストレスをかけないよう対応可能なサービスの範囲を明確に示すことがより重要です。

(4)インターネット通販で購入した洋服が不良品だったので返品したら、返金方法がそのサイトでしか使用できない商品券だった
< 2015年12月受信>
●寄せられた情報
「インターネット通販サイトで洋服を購入したら不良品だったため返品したが、そのサイトでしか使用できない商品券で返金された。通販サイト側は不良品であることを認めているのに、そのサイトでしか使えない商品券で返金するのはおかしいのではないか。」

●調査結果
事業者の説明:
返金の方式は次の種類がある。
・お客様の都合による返品は当サイトで利用できる商品券での返金。
・不良品による返品は現金での返金。
・クレジットカード決済で購入した場合はクレジットカード会社経由での返金。
・代引きで購入した場合は銀行振込での返金。
ウェブサイトに記載してあるように、不良品と思われる商品が届いたら商品到着後14 日以内にお客様対応窓口までメールか電話連絡をお願いしている。
今回のような情報提供が寄せられた原因として、三つの可能性が考えられる。
① 期限内に当社に連絡をされずに商品を返送された場合。その場合はこちらで不良品として扱うことができないことがある。
② 当サイトの商品券で当該商品を購入した場合。これは商品券での返金となる。
③ 返品・返金処理の担当者が間違った処理をした可能性。

国センからの依頼:
消費者がお客様対応窓口に連絡をせずに返品した場合は、不良品として扱うことができない場合があり、返金方式が複数あるとのことから、それらについて、ウェブサイト上に記載するなど、より一層消費者にわかりやすい表示の検討を依頼。

●フィデスの視点
返品特約は事業者の裁量で決めることができますが、消費者契約法改正では、消費者の利益を一方的に害する条項は無効となります。
また、サイトに表示していても、消費者が見落とす可能性も十分あり得ますので、丁寧な説明を心がけましょう。

(5)インターネット動画配信サービス「動画見放題と音楽聴き放題セット」の解約は動画と音楽別々に解約手続きが必要と言われた
<2015年10月受信>
●寄せられた情報
「インターネット動画配信サービスで動画が見放題と音楽が聴き放題がセットになっているサービスを解約した後に料金の請求があった。問い合わせたところ「動画サービスは解約されているが、音楽サービスは解約されていない」と言われた。同時に解約されるのではないのか。」

●調査結果
事業者の説明:
「解約はウェブサイト上でできるが、おのおの解約手続きが必要となる。
その理由は、動画だけまたは音楽だけを解約したいという人もいるためである。当社としては、消費者のニーズに応えるために別々に解約できるようにしている。」
「ウェブサイト上の解約画面に入ると、本人が契約しているサービスの一覧が表示され、解約したいサービスを選べるようになっている。サービスごとに別々の手続きが必要であることはわかるはずである。消費者トラブルメール箱に情報提供した人はその解約画面で動画だけをチェックして解約したものと思われる」

国センからの依頼:
実際に今回のような情報提供が消費者から寄せられているので、契約をセットで行った場合も解約する際は、サービスごとの個別の手続きが必要である旨の記載をウェブサイト上にできないのか聞いたところ「今後の検討課題としたい」との回答。

●フィデスの視点
サービスの申し込み画面だけでなく、解約手続き画面のユーザビリティについての配慮も重視しましょう。
消費者からの余計な不満を買うことは将来の顧客を失うことにつながりかねません。明瞭な表示でリスク回避しましょう。

(6)インターネット通販で買った商品を配送事業者が紛失した。配送方法はメール便だった
< 2015年11月受信>
●寄せられた情報
「インターネット通販で買った商品を配送事業者が紛失した。配送方法がメール便だったため、何の補償もされなかった。」

●調査結果
消費者が補償等のある「宅配便」もしくは、補償等のない「メール便」の配送方法を選択できた状態だったかを事業者に問い合わせた。

事業者の説明:
・当該商品はメール便での配送となっている。
・ショッピングモールの商品状態を表示できる欄を利用し、「メール便で配送するため紛失時の補償がない」旨を記載している。

国センからの依頼:
消費者が、注文する前に配送方法を選択できる(もしくは、配送方法が意に沿わない時には購入をやめる)ことが重要だと思われることから、商品を注文する前の画面及び最終的な注文内容の確認画面において、配送方法及び注意事項等を消費者にわかりやすく明示するよう検討を依頼。

●フィデスの視点
「メール便」と「宅配便」の料金や保証内容についてのメリット・デメリットを、消費者によく理解してもらえるよう配慮が必要です。

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商品選択や購入、返品・キャンセルといった消費者にとって重要と考えられる情報について、正しい情報であることはもとより、消費者目線に立って混乱や誤解を招かないように、その提供方法に配慮することが重要です。
お客様からの問い合わせやクレーム情報を収集、分析することで問題を早期発見し大きなトラブル予防につなげていきましょう。

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「消費者トラブルメール箱」2015年度のまとめ
(2016年6月30日 独立行政法人国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160630_1.html
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。