栄養成分表示を参考にするのは66%、機能性表示食品の認知度1割(平成27年度 消費者意識基本調査)

消費者庁では、消費者問題の現状や求められる政策ニーズを把握し、消費者政策の企画立案にいかすことを目的に、平成24年度より「消費者意識基本調査」を実施しています。平成27年度調査結果より、食品ロス問題、栄養成分表示、保健機能食品に関する意識や取り組みを取り上げます。

●食品ロス問題の認知度
●食品ロス軽減のために取り組んでいること
●栄養成分表示を見た経験の有無
●栄養成分表示の参考の有無
●栄養成分表示の参考度
●保健機能食品の認知度
●最近半年間の保健機能食品の摂取の有無

●食品ロスの認知度は約8割で大幅上昇。
「食品ロス」という問題について、「知っていた」の割合が77.8%(「よく知っていた」23.8%+「ある程度知っていた」54.0%)、「知らなかった」の割合が21.8%(「あまり知らなかった」15.1%+「ほとんど・全く知らなかった」6.6%)となっている。
前回の調査結果と比較してみると、「知っていた」(68.6%→77.8%)の割合が上昇し、「知らない」(31.0%→21.8%)の割合が低下している。

●「食品ロス」軽減への取り組み、「冷凍保存」「食べ切りサイズ購入」を意識。
「食品ロス」を軽減するために取り組んでいることの上位4項目は、「賞味期限を過ぎてもすぐに捨てるのではなく、自分で食べられるか判断する」(63.6%)が最も高く、次に「冷凍保存を活用する」(61.4%)、「残さず食べる」(55.0%)、「小分け商品、少量パック商品、バラ売り等、食べ切れる量を購入する」(48.9%)の順となっている。
上位4項目について、前回の調査から割合が上昇しているのは「冷凍保存を活用する」(58.7%→61.4%)、「小分け商品、少量パック商品、バラ売り等、食べきれる量を購入する」(46.3%→48.9%)。

●包装容器にある栄養成分表示を見たことがある人は9割。参考にするのは66%。
食品の包装容器にある栄養成分表示を見たことが「ある」人は89.7%。そのうち、食品購入時その栄養成分表示を「参考にする」人は66.4%、「参考にしない」人は29.5%、「自分で食品を購入することはめったにない」が4.1%となっている。

●参考にする栄養成分表示「エネルギー(熱量)」が約9割。「脂質」「食塩相当量」が7割超。
食品購入時、食品の包装容器にある栄養成分表示を「参考にする」人の、各項目の参考程度について。
「参考にする(『いつも参考にする』+『時々参考にする』)」の割合が高い項目は「エネルギー(熱量)」が88.9%と最も高く、次に「脂質」(76.5%)、「食塩相当量」(70.6%)。
一方、「参考にしない(『あまり参考にしない』+『全く参考にしない』)」の割合が高い項目は「飽和脂肪酸」が52.3%と最も高く、次に「たんぱく質」(47.1%)、「炭水化物」(38.9%)。なお、「たんぱく質」は、他の栄養成分に比べ「参考にする」(50.6%)と「参考にしない」(47.1%)の割合が拮抗している。

●機能性表示食品が「どのようなものか知っていた」のは約1割。
保健機能食品について、「どのようなものか知っていた」割合は、「特定保健用食品(トクホ)」が 46.5%、「栄養機能食品」が 20.8%、「機能性表示食品」が 10.5%となっている。
「名前を聞いたことはあったが、どのようなものか分からない」の割合は、「栄養機能食品」(43.6%)が最も高いが、「特定保健用食品(トクホ)」(39.8%)や「機能性表示食品」(38.7%)も約4割となっている。
一方、「知らなかった」の割合は、「機能性表示食品」が49.4%と最も高く、次いで「栄養機能食品」(34.4%)、「特定保健用食品(トクホ)」(13.3%)。

●保健機能食品摂取状況、トクホ68.5%、機能性表示食品は44.5%。
各保健機能食品について「どのようなものか知っている」又は「名前を聞いたことはあったが、どのようなものか分からない」と回答した人の、この半年間のそれぞれの保健機能食品の摂取状況は以下の通り。
特定保健用食品(トクホ)を「摂取したことがある」(57.5%)、「継続的に摂取している」(11.0%)、「摂取したことはない」(30.8%)。
栄養機能食品を「摂取したことがある」(52.5%)、「継続的に摂取している」(7.2%)、「摂取したことはない」(39.2%)。
機能性表示食品を「摂取したことがある」(41.2%)、「継続的に摂取している」(3.3%)、「摂取したことはない」(54.1%)。

食品ロス問題についての消費者意識は高まっており、「冷凍保存活用」や「食べ切りサイズ購入」を心がける姿勢が見られます。事業者として消費者の意識に応える商品提供方法を工夫すると喜ばれそうです。
義務化された栄養成分表示については、表示を見たことがある人は9割に上りますが、実際に参考にする人は66%となっており、参考とする成分項目にもばらつきがあります。保健機能食品について、機能性表示食品の認知度、摂取状況もこれからというところですが、今後の消費者教育や事業者側からの情報提供によって、正しい理解と商品選択が伸展していってほしいです。

栄養成分表示ハンドブック<東京都>(PDF:5,102KB)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/kyouzai/files/eiyouseibun_handbook.pdf

(※)
消費者意識基本調査(消費者庁 平成27年度実施)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/survey_002/

調 査 項 目
(1)消費生活における意識や行動
(2)消費者事故・トラブル
(3)消費者政策への評価
(4)宅配の受取
(5)食生活における意識や取組
調査対象
母集団:全国の満 15 歳以上の日本国籍を有する者
標本数:10,000 人
地点数:400 地点(376 市区町村)
抽出法:層化2段無作為抽出法
有効回収数(率): 6,449 人(64.5%)
調査時期  平成27年11月5日~11月29日
調査方法  訪問留置・訪問回収法

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。