通販の定期購入契約で気を付けたい特商法の留意事項とは。購入手続き画面表示の具体例(特定商取引に関する法律施行規則改正(平成29年12月1日施行))

通販の定期購入施策で、購入手続き画面に定期購入の内容や条件は明確に表示されていますか?

12月15日には、適格消費者団体のNPO法人京都消費者契約ネットワークが、不適切な定期購入の表示について健康食品通販事業者2社に対して、京都地裁に差止請求訴訟を提起しています。

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健康食品関連-申し入れ・差止請求
(NPO法人京都消費者契約ネットワーク 2017年12月15日)
 http://kccn.jp/mousiir-kenkoushokuhin.html
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消費者トラブルが多く発生すると社会問題化し、規制強化につながってしまいます。

通信販売での定期購入契約に関する表示義務の追加・明確化が盛り込まれた、「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律」(平成28年法律第60号)が、平成29年12月1日に施行されました。
特定商取引法第14条第1項第2号では、通信販売において販売業者が、「顧客の意に反して売買契約の申込みをさせようとする行為」を禁止しており、法改正において新たに定期購入に関する規定が追加されたものです。

法改正に伴い「特定商取引に関する法律施行規則」が一部改正され、通信販売の広告やインターネット通販の申込み・確認画面上に、「定期購入であること」「支払総額」「契約期間」その他の販売条件を明記することが義務付けられました。(施行規則第8条第7号等)
違反した場合は、特商法に基づく指示や業務停止命令の対象となる可能性があります。

消費者庁が公表した改正ガイドラインやQ&Aより、インターネット通販における適正表示方法の具体的なケースを確認します。


【適切な表示例】
例1:最終確認画面の表示例
申込みの最終確認画面に、申込者が締結することとなる定期購入契約の主な内容(※)が全て表示され、その画面上で「この内容で注文する」といったボタンをクリックしてはじめて申込みになる。
※主な内容とは
・定期購入契約である旨
・契約期間(商品の引渡しの回数)
・消費者が支払うこととなる金額(各回ごとの商品の代金、送料及び支払総額等)
・その他の特別の販売条件がある場合にはその内容

例2:注文内容確認画面を経由して申込ませるケース
「注文内容を確認する」といったボタンをクリックすることにより、定期購入契約の主な内容が全て表示され、その操作を行ってはじめて申込みが可能となっている。

確認・訂正機会の提供:
事例のように、申込みの最終段階の画面上で定期購入契約の主な内容の全てを確認した上で、以下のいずれかの措置により、容易に訂正できるようになっていること。
・「変更」「取消し」といったボタンが用意され、そのボタンをクリックすることにより訂正できるようになっている場合。
・「修正したい部分があれば、ブラウザの戻るボタンで前のページに戻ってください」といった説明が見易く表示されている場合。

【不適切な表示例】
例3:不適切な最終確認画面の表示例(契約内容不明朗)
申込みの最終段階の画面上において、
・定期購入契約の主な内容の全てが表示されていない場合。
・定期購入契約の主な内容の全てが容易に認識できないほど、その一部が離れた場所に表示されている場合。

例4:不適切な最終確認画面の表示例(確認・訂正機会の提供ナシ)
申込みの最終段階の画面上において、
・定期購入契約の主な内容が全て表示されず、又はその一部が容易に認識できないほど離れた場所に表示されている。
・これを確認及び訂正するための手段(「注文内容を確認する」などのボタンの設定や、「ブラウザの戻るボタンで前に戻ることができる」旨の説明)も提供されていない場合。

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インターネット通販における
「意に反して契約の申込みをさせようとする行為」に係るガイドライン
(消費者庁 平成29年11月1日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2016/pdf/amendment_171206_0007.pdf
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【期間の定めを設けていない定期購入契約で、購入者から解約の申入れがない限り契約が継続される場合(締結される契約が1回)】

望ましい表示例:
まとまった単位(例えば、半年分や1年分など)での購入価格を目安として表示する。
消費者が支払うこととなる金額については、期限の定めがない場合には総額を表示することができない。
そのため、上記のような方法で、契約に基づく商品の引渡しや代金の支払が1回限りではないことを、消費者にわかりやすく表示することが望ましい。
その際、例示した半年分、1年分といった期間が定期購入の契約期間と誤認されることがないよう、あくまで目安にすぎないことを明確に示す。
契約期間については、契約が消費者から解約通知がない限り継続する無期限の契約である旨を、消費者が認識しやすいように示す。

【当初は有期の定期購入契約(1回限りの売買契約である場合を含む。)であるが、購入者から解約の申入れがない限り契約が継続され、期間の定めを設けない定期購入契約が締結される場合(締結される契約が2回以上)】

望ましい表示例:
当初の有期契約の部分については、施行規則第8条第7号の規定に従って、以下を表示する。
・商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要がある旨
・契約期間(商品の引渡しの回数)
・消費者が支払うこととなる金額(各回ごとの商品の代金、送料及び支払総額等)
・その他の特別の販売条件がある場合にはその内容
2回目以降の契約について期限の定めがない場合、初回の契約部分についての総額を示した上で、2回目以降の契約部分についての総額の目安(1年間で○万円等)を初回部分と分けて表示することが望ましい。

なお、2回目以降の契約も有期契約である場合には、初回契約部分と2回目以降の契約部分についての総額をまとめて表示しても差し支えない。

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通信販売(いわゆる定期購入契約)Q&A ((消費者庁 平成29年12月20日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2016/pdf/amendment_171220_0001.pdf
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今回の法改正では罰則も引き上げられました。

特商法に基づく指示違反:
6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金、又はこれらを併科。指示違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金。

業務停止命令に違反した場合:
3年以下の懲役又は300 万円以下の罰金、又はこれらを併科。命令違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し3 億円以下の罰金。

検査忌避(報告徴収・質問等):
6月以下の懲役又は100万円以下の罰金、又はこれらを併科。違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金。

早急な対応が求められます。

≪関連記事≫
・健康食品や化粧品等、通販で定期購入契約を行う際の広告に、販売条件の明記が義務付けに(特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(平成29年6月30日公布))

・「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。お試し価格を設定して定期購入契約を行う際の注意ポイント(経済産業省 平成29年6月)

・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)

「ネット通販の定期購入トラブル」と行政の動き(岡村消費者庁長官記者会見 2017年2月22日)

・サービスの例外条件や制約条件ははっきりと(打ち消し表示の注意点)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。