令和3年度も、残り3か月余りとなりますが、新型コロナウイルスに関する不当表示の取り締まりは一層強まりそうです。
消費者庁は11月26日に発表した令和3年度の補正予算案において、「新型コロナウイルスに係る不当表示取締りに必要な性能・効果検証事業費」として、4,000万円を計上しました。
新型コロナウイルス関連商品に関する不当表示対応として、健康食品や除菌関連商品等の性能・効果の科学的根拠について調査・検証を行う体制・環境の充実・強化を図る、としています。
事業担当は、景品表示法などの執行を行う消費者庁表示対策課です。
取り締まり強化の背景と具体的な方向性を確認します。
●今後も、ウイルスへの効果を標ぼうする商品の不当表示は多発すると予想
消費者庁は取り締まり強化の必要性として、以下を指摘しています。
- コロナ禍以降、新型コロナウイルス感染症への効果を標ぼうする健康食品や除菌関連商品等のコロナ便乗商法が拡大し、景品表示法や健康増進法に違反する事案が増大している
- 今後、「ウィズコロナ」下で経済社会活動が再開するに当たっても、これまで以上に国民の新型コロナウイルス感染症に対する予防意識は高まると考えられる中で、同ウイルスへの効果を標ぼうする商品の不当表示はより多く発生すると考えられる
新型コロナウイルスへの予防効果等を標ぼうする不当表示に対しては、令和2年度における景表法の措置命令33件のうち21件が消毒、除菌等の効果等についてのものとなっており、令和3年度に入ってからも、11月末時点ですでに6件の命令が出されています。
また、インターネット広告において、景品表示法及び健康増進法の観点から5回にわたり緊急監視を行い、新型コロナウイルスへの予防効果を標ぼうする健康食品、空間除菌商品、マイナスイオン発生器、アロマオイル、光触媒スプレー等について改善要請を実施するとともに、消費者に対する注意喚起を行ってきました。
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新たな変異型「オミクロン株」の感染拡大や第6波に対する懸念から、ウイルス感染症に対する予防意識は引き続き高い状況が続くことは容易に予測できます。
●不当表示の調査、行政措置に必須となる「性能・効果の科学的根拠についての検証」
新型コロナウイルス感染症への効果を標ぼうする商品の不当表示の景表法の措置命令においては、そのほとんどが、効能効果表示の裏付けとなる合理的な根拠が認められず、不実証広告規制による処分となっています。
つまり、不当表示の調査、行政措置においては、「性能・効果の科学的根拠についての検証」が必須事項となっているということです。
そこで、今回の補正予算案では「新型コロナウイルスに係る不当表示取締りに必要な性能・効果検証」を行う体制の強化・充実化を図ることを求めています。
具体的には、性能・効果の検証業務について、外部の研究機関や民間検査機関等へ委託を拡大するというものです。
- 健康食品については、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(栄養研)への依頼を拡大する
- 健康食品以外の商品については、これまで職員が行っていた試験方法の選定や専門家へのヒアリング等を民間検査機関等へ依頼する
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◆消費者庁 令和3年度補正予算案について (消費者庁:令和3年11月)https://www.caa.go.jp/policies/budget/assets/caa_cms205_211126_01.pdf
令和3年度補正予算案事業 参考資料
https://www.caa.go.jp/policies/budget/assets/caa_cms205_211126_02.pdf
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●商品の効能効果訴求を支える根拠データの妥当性評価や試験設計の再確認を
これまでも、健康食品の「不実証広告規制」に関しては、「健康食品の機能性に係るセカンドオピニオン事業」が平成28年度より導入されてきました。この事業は、いわゆる健康食品の表示に疑義が生じた場合、外部委託により複数の専門家によるエビデンスレビューを行う体制を構築し、科学的な根拠に基づく事件の措置方針を迅速かつ中立公正に決定することを目的としたものです。
エビデンスレビュー:
エビデンス(食品の機能性有効成分等に関する科学的な根拠資料)の科学的合理性及び信頼性等に関する専門家による検証及び評価
このような取り組みが、健康食品分野にとどまらず、今後は他の新型コロナ関連商品にも適用されることとなります。
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