令和2年度景表法違反、国及び都道府県の措置命令件数は41件。「保健衛生品」が半数以上(消費者庁 2021年7月)

消費者庁が年度ごとの景表法違反に関する事件処理件数や、国や自治体の取り組みをまとめた「景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」(※)。
7月20日に公表された令和2年度の景表法違反状況を報告します。

●国の措置命令件数、都道府県の法的措置件数ともに大きく減少
国の措置命令件数と都道府県の法的措置件数の合計は41件で、前年度の55件から14件と大きく減少した。
内訳をみると、国の措置命令件数が33件で前年度(40件)から7件減少、都道府県が行った法的措置(措置命令)は8件で前年度(15件)から7件減少となった。

国の措置命令件数、都道府県の法的措置件数の推移


国の措置命令件数について:
平成21年8月末日までは公正取引委員会における排除命令件数、同年9月以降は消費者庁における措置命令件数。
都道府県知事による法的措置件数について:
平成26年11月末日までは指示件数、同年12月1日以降は措置命令件数である(ただし、平成26年度の措置命令件数は0件。)。


《国(消費者庁及び公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等)》
● 調査件数、処理件数ともに減少
令和2年度の景品表示法違反に関する国の調査件数は440件(前年度492件)。
新規に着手した289件(前年度280件)のうち、職権探知件数は95件(前年度44件)で、倍増した。一般の消費者や事業者からの情報提供による調査件数は191件(前年度225件)で減少しているが、情報提供件数総数は11,650件で前年度10,645件から増加している。このうち食品表示に関係する内容(外食等、役務に分類されるものは含まない。)が含まれる情報数は580件。(前年度369件)
処理件数は、措置命令が33件で前年度(40件)から7件減少、指導件数も176件で前年度(205件)から29件減少した。都道府県移送は21件で前年度(29件)から微減となった。

国の調査件数等の推移

●措置命令34件中、優良誤認が32件。不実証広告規制の割合が67%
令和元年度の措置命令は表示事件のみで34件(前年度42件)。最も多かったのは優良誤認の32件(前年度32件)。内、不実証広告規制が22件(前年度25件)と67%を占める。有利誤認については2件(前年度9件)となった。
指導については167件と、前年度196件から29件の減少となった。内訳では、優良誤認が123件(前年度99件)、有利誤認は37件(前年度84件)。原産国表示が6件(前年度10件)、おとり広告が1件(前年度3件)。
(平成24年度から、「警告」、「注意」の区分を廃止し、「指導」にまとめられた。)

景品事件は、指導のみで11件。前年度18件から7件減少した。

表示事件の内訳

*関係法条が2以上に渡る事件があるため、本表の合計は「調査件数等の推移」の合計と一致しない。

景品事件の内訳

●措置命令の多かった商品役務は「保健衛生品」で22件
商品役務別の措置命令処分件数を見ると、「保健衛生品」22件(前年度9件)が最多。「食品」が3件(前年度11件)、「教養娯楽品」3件(前年度7件)、その他4件だった。

処理事件の商品役務別分類

●課徴金納付命令14名の事業者に対して11億7238万円
令和2年度は、14名の事業者に対して、延べ15件の課徴金納付命令を行い、11億7238万円の課徴金納付を命じた。
(令和元年度は、17名の事業者に対して、延べ17件の課徴金納付命令を行い、4億6559万円の課徴金納付を命じた。)
なお、実施予定返金措置計画について、1件の認定を行った。
(過去の認定された返金措置は消費者庁Webサイトに掲載)

◆認定された返金措置一覧(消費者庁HP)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/authorization_list/

※景品表示法の課徴金制度は、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」が平成26年11月19日に成立し、平成28年4月1日から施行され、運用が始まった。

●令和元年度の措置命令を行った事件
措置命令事件は次のとおり、全て表示事件であり、その件数は計33件である。

・手指用洗浄ジェルのアルコール配合割合に関する不当表示 1件
・医薬品、食品等の販売価格に関する不当な二重価格表示 1件
・石けんのシミを消す又は薄くする効果に関する不当表示 1件
・携帯型の空間除菌用品の効果に関する不当表示 4件
・携帯型の空気清浄用品の効果に関する不当表示 1件
・次亜塩素酸水の有効塩素濃度に関する不当表示 6件
・次亜塩素酸水の有効塩素濃度及び除菌効果に関する不当表示 3件
・亜塩素酸水の除菌効果に関する不当表示 3件
・アルコールスプレーのアルコール濃度に関する不当表示 1件
・水素水生成器で生成された水素水の効果に関する不当表示 4件
・マイナスイオン発生器の効果に関する不当表示 1件
・EMS機器の痩身効果に関する不当表示 2件
・育毛剤の発毛効果に関する不当表示 1件
・食品の疾病の治療又は予防効果に関する不当表示 1件
・食品の痩身効果に関する不当表示 1件
・袋詰玄米及び袋詰精米の栽培方法に関する不当表示 1件
・懸賞付きパズル雑誌における懸賞企画の賞品等の提供に関する不当表示及び懸賞付きパズル雑誌における景品類提供企画の景品類の提供に関する不当表示 1件

●行政処分取消訴訟
アマゾンジャパン合同会社に対する景品表示法の規定に基づく措置命令(平成29年12月27日)を行ったことに対し、平成30年1月26日、同社らが同命令の取消しを求めて提訴した。
令和元年11月15日、東京地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされ、同年11月29日、原告が同判決の取消しを求めて控訴を提起した。
令和2年12月3日、東京高等裁判所において控訴人の控訴を棄却する判決がなされた(原告が最高裁判所に上告後、令和3年2月9日、上告取下げにより判決確定。)
アマゾンに不当な二重価格表示で景表法措置命令!表示責任のポイントは?(消費者庁:平成29年12月27日)

株式会社だいにち堂に対する景品表示法に基づく措置命令(平成29年3月9日) を行ったことに対し、平成30年8月24日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した(訴訟係属中)。
「いわゆる健康食品」の広告表示に対する消費者庁の判断。「アスタキサンチン アイ&アイ」に景表法措置命令

株式会社ライフサポートに対して景品表示法の規定に基づく措置命令(平成31年3月6日)を行ったことに対し、令和元年6月3日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した。
令和3年4月22日、大阪地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされた(同年5月6日に判決確定。)
「快適生活」のライフサポート おせち料理の二重価格表示に景表法措置命令

《都道府県知事》
●都道府県の措置命令は8件。最多は埼玉県の4件

都道府県では4都道府県において8件の措置命令が行われている。最多は埼玉県の4件。
都道府県による措置命令件数の推移は、平成27年度においては3件、平成28年度は1件、平成29年度は8件、平成30年度は9件、令和元年度は15件。
(平成26年11月末日までは指示。同年12月以降、各都道府県知事に対して、新たに景品表示法の規定に基づく措置命令権限と不実証広告規制に係る合理的根拠提出要求権限が付与された。)

次回は同じく令和2年度版報告書より、令和2年度の消費者庁の表示適正化への具体的な取組について報告します。

(※)
令和2年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_210721_01.pdf

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。