ウイルス対策の「次亜塩素酸水」、有効塩素濃度や pH、使用期限、使用方法の表示に注意(国民生活センター商品テスト 2020年12月)

国民生活センターが、2020年12月24日、ウイルス対策等をうたい「次亜塩素酸水」として販売されている商品について、有効塩素濃度やpH、表示等を調べ、情報提供を行いました。

「次亜塩素酸水」の性質や取扱においては、製法と原料が基礎的な情報となるとされ、また、「次亜塩素酸水」の効力は有効塩素濃度(残留塩素濃度)と酸性度が指標となるとされています。一方で、次亜塩素酸濃度やpH、製法や原料が明記されていない商品が多いという報告もされています。

2020 年12月11日には、AmazonやYahoo!ショッピングなど大手通販サイトで次亜塩素酸水の除菌用スプレーを販売していた6事業者と、アルコールスプレーを販売していた1事業者に対し、消費者庁により景品表示法の措置命令が出されています。
いずれも、商品の容器ラベルや販売ページに表示していた成分濃度が、実際は、大幅に下回るものでした。

・除菌用スプレー 成分濃度表示下回る7社に景表法措置命令。コロナ関連商材に注意(消費者庁:2020年12月11日)

国民生活センターの商品テスト結果と、「次亜塩素酸水」を販売される事業者としての留意事項を確認します。

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)相談状況:
新型コロナウイルスに関連した相談のうち、「次亜塩素酸水」に関する相談が、2019年12月以降、2020年10月31日までの登録分で498件。
そのうち 312 件(62.7%)は、「安全・衛生」または「品質・機能」に関する相談。

【主な事例】
【事例1】「次亜塩素酸水」の消毒液を手に使用したところ手が痛くなった
商業施設の入口で消毒液を手にかけたところ、針で突かれたような痛みが生じた。すぐに水で洗い流したが痛みが続くため、皮膚科を受診した。商業施設に問い合わせると、「次亜塩素酸水」だといわれた。

【事例2】ホームページと本体に記載された濃度の表示が異なっていた
薬局で「次亜塩素酸水」を購入。ホームページには 300ppmと書いてあったのに、購入した製品の表示では 200ppm になっている。表示が異なっているがどちらが本当だろうか。

【事例3】コロナウイルス対策に「次亜塩素酸水」を購入。薄めずに手に振りかけても大丈夫か
コロナウイルス対策用に店舗で除菌剤を購入。表示を見ると、成分に「次亜塩素酸水、弱酸性」とあり、消費期限 2 年間と表示されていた。「次亜塩素酸水」を薄めずに直接手に振りかけて大丈夫なのか。

テスト実施期間:
検体購入:2020年8月~10月
テスト期間:2020年8月~11月

テスト対象銘柄:
インターネットの大手通信販売サイト(楽天市場、Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピング)において、「次亜塩素酸水」という語句で検索した際に上位に多く表示された、及び神奈川県内の複数のドラッグストア等で販売されていた商品から、物に対して使用できると記載されていた、液体の商品15銘柄を選定。

テスト結果:
1. 有効塩素濃度
全ての銘柄について時期を変えて2回購入し、有効塩素濃度を調べた。
15 銘柄中14銘柄は、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに有効塩素濃度の表示がみられた。
14銘柄中8銘柄は、購入時期によって有効塩素濃度が表示の9割以下の場合があり、そのうち2銘柄は2 割以下だった。

塩素ガス、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオンと、酸化力を有する塩素化窒素化合物を総称して「有効塩素」といい、「次亜塩素酸水」の効力を表す指標として用いられている。
「次亜塩素酸水」の殺菌効果は、次亜塩素酸(HClO)の濃度に強く依存するとされている。
「次亜塩素酸水」は、酸性で、「次亜塩素酸ナトリウム」と比べて不安定であり、短時間で酸化させる効果がある反面、保存状態次第では時間とともに急速に効果がなくなるとされている。

2. 液性(pH)
商品本体や取扱説明書等にpHの表示が見られなかったのは、15銘柄中4銘柄。
商品本体や取扱説明書等に表示がなかった4銘柄のうち2銘柄は、販売者等のウェブサイトにのみ表示あり。
pH の表示がみられた13 銘柄のうち2銘柄はpHがテスト結果と表示値とで異なっており、購入時期によってはそれぞれpHが2以上と、4以上異なっていた。

3. 表示、広告
有効塩素濃度に関する表示・広告:
商品本体や取扱説明書等に有効塩素濃度の表示が見られなかったのは、15銘柄中5銘柄。
商品本体や取扱説明書等に表示がなかった5銘柄のうち4銘柄は、販売者等のウェブサイトにのみ表示あり。

使用方法に関する表示・広告:
15銘柄中9銘柄は、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに、対象となる物の汚れを落としてから使用する旨の表示なし。

「次亜塩素酸水」を拭き掃除に使用する際には、目に見える汚れをあらかじめ落とした上で、有効塩素濃度が 80ppm以上の「次亜塩素酸水」で対象となる物の表面をヒタヒタに濡らし、少し(20 秒以上)時間をおき、きれいな布やペーパーで拭き取る。
さらに、元の汚れがひどい場合などは有効塩素濃度が 200ppm 以上のものを使うことや、希釈用の製品は正しく希釈して使うこと、濃度が高いものを使う場合は直接手をふれずにゴム手袋等を着用すること。
消毒効果を有する濃度の「次亜塩素酸水」を吸いこむことは、推奨できない。

効果等に関する表示・広告:
15 銘柄中5銘柄に、商品本体、取扱説明書等や販売者等のウェブサイトに、手指や口腔の洗浄に使用できる旨の表示やイラストがみられ、消費者に誤認を与えるおそれあり。
(化粧品ではないのに化粧品的な効能効果の表示)
15 銘柄中12 銘柄には、当該銘柄が肌に優しい旨の表示がみられた。

「次亜塩素酸水」として販売されている商品の多くは医薬部外品や化粧品ではなく、物の除菌を目的としたもの。これらを手指や口腔等の人体の消毒・殺菌に使用することはできない。

使用期限に関する表示・広告:
商品本体や取扱説明書等の表示からは使用期限が分からないものが、15銘柄中5銘柄。
表示から使用期限が分からなかった5銘柄のうち3銘柄は、販売者等のウェブサイトにのみ表示あり。
商品本体、取扱説明書等やウェブサイトに使用期限に関する表示があった7 銘柄は、テストを行った時点は使用期限の範囲内だったが、有効塩素濃度が表示より1割以上低い場合があった。

●「次亜塩素酸水」を販売される事業者としての留意事項
以上の商品テスト結果より、物のウイルス対策等を目的とする「次亜塩素酸水」を販売されている事業者の方は、次の点に留意してお客様への情報提供を今一度チェックされるとよいでしょう。

●商品本体や取扱説明書等に有効塩素濃度やpH、使用期限、使用方法を表示し、使用期限内は表示の有効塩素濃度やpHが保たれるような商品開発を。
●商品について、表示できる効能効果の範囲を確認し、消費者に誤認を与えないよう、適切な表示をする。

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物のウイルス対策等をうたう「次亜塩素酸水」
(国民生活センター 2020年12月24日)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20201224_1.html
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≪参考記事≫
・除菌・消毒・手指洗浄用アルコール製品の消費者相談増加。使用目的とエタノール濃度の表示を
(国民生活センター商品テスト 2020年9月)

・増える「水素水」に関する消費者相談。溶存水素濃度と効能効果
(国民生活センター商品テスト 2016年12月)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。