東京都サイバー薬事監視の取組(1)【ネットショッピングモール(B to C)編】

フリーマーケットサイトやオークションサイト、クラシファイドサイトといった消費者間取引(C to C)が活発になる中、フリマサイト等での医薬品の無許可販売や化粧品等の違反広告が増えています。

東京都では福祉保健局健康安全部薬務課に「サイバー薬事監視担当」を置き、ショッピングモールやフリマサイト等の運営企業の協力を得て、法令に抵触するような出品に係るサイトパトロールを実施しています。

消費者委員会の「第9回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会(2018年11月30日)」では、東京都におけるネットショッピングモール(B to C)及びフリーマーケットサイト(C to C)のサイバー薬事監視についてとりあげられました。

今回は、従来から実施されている、ショッピングモール(B to C)の薬事監視について確認します。


●ショッピングモールの薬事監視は、大きく2つ
(1)個別監視指導

各社Webサイト 、各ネットモール等での出品広告、その他インターネット広告について、ショッピングモールの一店一店を個別に指導する。

(2)協力ネット企業を通じた啓発・注意喚起
都が広告主に直接個別指導した商品(製品A)で、ショッピングモール上でも多数出品されているものについて、協力ネット企業に違反文言の具体例を示し協力を依頼。
各協力ネット企業は、自ら製品Aについて自社のサイトでの出品状況や広告内容をチェックし、各広告主に啓発と注意喚起を行う。

一店舗一店舗ずつ潰していくというやり方では限界があること、また、ショッピングモール上では同様の違法な出品が複数の店舗でされている特徴があることから、都では平成14年度からネット企業と協力する体制を構築し、平成18年度からは、この取組を全道府県と協力して実施している。


第9回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会
【資料1】 東京都におけるサイバー薬事監視について

●薬事監視の成果
年に2回程度実施、対象出品は毎回数千に及ぶ。
昨年度実績は2回実施して、合計7,893出品を対象に各協力ネット企業でチェックした。
改善率は例年8割前後で非常に高い改善率になっている。
改善されなかった残りの2割の部分については、自治体から個別に行政指導を行う。

インターネット関連協力企業 16社
(平成30年11月30日現在、50音順)
(1)アマゾンジャパン合同会社 【amazon】
(2)エキサイト株式会社 【Excite】
(3)NTTレゾナント株式会社 【goo】
(4)Oath Japan株式会社 【モール運営なし】※
(5)KDDIコマースフォワード株式会社 【auショッピングモール】
(6)コマースリンク株式会社 【ショッピングサーチ】
(7)株式会社サイバーエージェント 【モール運営なし】※
(8)ソネット・メディア・ネットワークス株式会社 【So-net】
(9)株式会社ディー・エヌ・エー 【ビッダーズ】
(10)ニフティ株式会社 【@nifty】
(11)ビッグローブ株式会社 【BIGLOBE】
(12)株式会社メルカリ 【mercari】
(13)ヤフー株式会社 【Yahoo!】
(14)LINE株式会社 【LINE MALL】
(15)楽天株式会社 【楽天市場】
(16)株式会社リクルートライフスタイル 【ポンパレモール】
※(4)、(7)はショッピングモール運営事業者ではないが、広告ネットワーク運営事業者として違法な広告を流してしまう可能性があるため、最新の薬機法に関する情報共有を求めている。

ネット上の膨大な数の出品広告を監視し、改善指導するためには、ネットショッピングモールの協力が大きな役割を果たしていることが分かります。
また、東京都だけの取組ではなく、全国の自治体との連携も強まっています。

次回は、フリーマーケットサイト(C to C)の薬事監視について確認します。

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第9回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会
(内閣府消費者委員会 2018年11月30日)
https://www.cao.go.jp/consumer/history/05/kabusoshiki/online_pf/009/shiryou/index.html
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。