今回の気になるトピックは「景表法課徴金制度の導入と消費者の購買行動への影響」について。
10月に立て続けに出された景表法の課徴金納付命令6件のうち、3件は健康食品企業に対するものでした。
・課徴金1億886万円 シエル「置き換えダイエット」系青汁に景表法措置命令
(消費者庁:平成30年10月31日)
・肥満効果「ファティーボ」のLife Leafに景表法課徴金266万円。措置命令前の誤認解消措置(消費者庁:平成30年10月26日)
・言歩木のアイケア酵素飲料に景表法措置命令と課徴金1814万円(消費者庁:平成30年10月25日)
中でも、痩身効果を謳った「フルーツ青汁」の(株)シエルの事案は、課徴金額が1億886万円と、平成28年4月の課徴金制度導入から2番目に高額なものとなっています。(1番は三菱自動車の4億8507万円)算定した同品の売上高は36億2878万9964円でした。
処分内容においても、最近の消費者庁の判断基準が如実に示されるものでした。
体験談の打消し表示が優良誤認の判断に影響を及ぼさないことや、ダイエット系の健康食品で薬機法上は認められる「置き換え食品」表示も、合理的根拠が認められなければ不実証広告規制で優良誤認と判断されており、「これまではOKだったのに」の認識を改めるべきものと感じます。
他方、課徴金制度の導入が消費者側にとってどのような影響があるかというと、消費者は不適切なビジネスを行う企業を支持せず、誠実なビジネスを行う企業の製品を購入するという流れが加速すると考えられます。
制度導入前は、不当表示による経済的な面での消費者被害の規模が、一般消費者にはわかりにくいものでした。しかし、課徴金命令が公表されることで、不当表示によって販売された商品の売上額が明らかになり、消費者被害の規模を把握することが容易になりました。
消費者被害の規模が可視化され、それがメディアを通じて伝播されることによって、消費者の購買行動にも少なからぬ影響が出てくることと思います。
公正なビジネス、消費者志向経営が、時代の要請と言えるでしょう。
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