通販CMでも要注意。二重価格、個人体験談広告(JADMA「平成29年度 通販広告実態調査(通販CM調査編)」)

(公社)日本通信販売協会(JADMA)が2012年度から実施している通信販売広告実態調査において、2015年度より通販CM調査(※)を行っています。インフォマーシャル形式の通販広告の実態と、表示に問題のあったCM広告事例を解説します。

【通販CMオンエア状況】
調査対象として、1週間で782件の通販CMを抽出(同じ素材を30秒CM、60秒CMなど秒数別に編集した同一商品のCM含む)。
広告主は131社で、平均して1社あたり2商品、3種類の通販CMをBS放送6局でオンエアしていると推計できる。

●通販CM放送秒数、60秒が35%、60~120秒で約8割を占める
120秒が276件(35.3%)で最多、次いで60秒260件(33.2%)、30秒76件(9.7%)。
30秒CMは健康食品の無料お試しセット、語学教材の無料配布、保険商品等で、取引条件説明を簡略化できるものであった。
CM調査2017(秒数)


●通販CMで最も多いのは健康食品で約4割
商品分類別では、健康食品318件(40.7%)で最多、次いで化粧品・美容・健康用品121件(15.5%)、医薬品61件(7.8%)。
医薬品は、前回21件から約3倍の61件に増加。
CM調査2017(商品)

【表示傾向と不適正事例】
≪取引内容に関する広告表示について≫
表示傾向:

・特商法記載事項の表示は不適正なCMはなかったが、定期購入など重要な箇所はテロップ表示とともにナレーションによる説明を望む。
・折込チラシ同様、テレビ通販でも割引価格と通常価格の二重価格表示が多い。通常価格を検証すると、割引価格での販売が常設されているケースが散見された。
・「販売終了後30分以内限定価格」に代わって「このCMをご覧の方500名限定」「定期購入初回限定」という限定価格が散見された。
・「初回限定価格」については定期購入か通常販売か明確にわかるようにテロップ表示がされ、改善されていた。

不適正事例:
●価格表示に問題あり
(健康食品)
CM:「今回通常価格1,960円のところ、番組限定お試しセットとしてズバリ980円でのご提供」と説明。
→お試し商品は存在しないので、「1,960円相当」と表示すべき。

●定期購入表示に問題あり
(健康食品)
CM:画像では、定期コース1袋2,980円の商品が紹介されるものの、CM販売商品は2週間お試しパック980円となっている。単品購入なのか、定期購入なのかが不鮮明。
Webショップ:定期コースは4回購入が条件。
→通常購入であるのか定期購入であるのか、定期購入の購入回数縛りなど重要な箇所は誤認することのないよう、テロップ表示とともにナレーションによる説明を。定期購入トラブルが起きないような丁寧なCM作りを。

(浄水器)
CM:9,600円を初回限定1,330円と継続商品でもないのに大きな割引を行っている。交換部品である「カートリッジ」についての説明がされていない。
Webショップ:「カートリッジ」の価格は4,200円(税込)で、交換時期の目安は平均3ヵ月。
→「カートリッジ」に関する説明がないのは消費者とのトラブルを誘発しかねない。

≪商品内容に関する広告表示について≫
表示傾向:

・機能性表示食品の通販CMは折込チラシ同様、適正。
・個人体験を中心に編集した通販CMが数多く散見される。
・タレントを起用した通販CMで個人体験談の演出が過度になるケースあり。
・誇大、信憑性の疑われるランキングのテロップ表示が多く見られた。

不適正事例:
●個人体験談の表示
(美容サプリメント)
タレントを起用して、当該商品の素晴らしい効能効果に共感するという筋立て。試用体験した二人の女性の使用前・使用後の画像で比較訴求を行っている。
→個人体験も消費者庁の措置命令対象となる。

(酵素サプリメント)
タレントがこのサプリを使用したことで体重が減ったという構成。タレントのダイエット効果を放映しつつ、テロップで「適度な運動と適切な栄養管理を行った結果です」「本商品はダイエット時の栄養補助食品です」と小さく表示。
→注釈はされているが、消費者にダイエット効果を誤認させる恐れ。

●ランキングの表示
1000円の商品で「昨年100万枚売れた大ヒット商品」「〇〇市場売上1位(〇月〇日)とテロップ表示。
→100万枚の販売実績であれば10億円の販売実績となり、信憑性に疑念。売上1位も当日だけの売上1位であり、誇大。数値やデータの表示は正確で裏付けのありものを。

本調査委員会では、不適正な表示を行っている通販各社に対する改善指導や、放送局への協力要請を行っています。特にテレビ通販ではJADMA会員社のCMが大多数を占めることから、Webショップ、紙媒体、電波媒体の広告を総合的に管理し、通販会社として消費者に信頼されるよう継続的指導を行うとしています。


通信販売取引改善のための通販広告実態調査 (2017年度調査)
(公社)日本通信販売協会 広告適正化委員会 2018年6月

《関連記事》
・通販広告折込チラシ、不適正広告事例解説(JADMA「通販広告実態調査(新聞折込チラシ編)」)
平成27年度:
平成26年度:

===================================
◆フィデスの広告法務コンサルティング◆
消費生活アドバイザーが、貴社の広告コンプライアンス
体制構築をサポートします。
http://compliance-ad.jp/service03/
===================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。

登録はこちら

————————————————————-

関連記事

  1. 通販広告折込チラシ、不適正広告事例解説(JADMA「平成26年度 通販…

  2. 他社の取組事例に学ぶ具体的なコンプライアンス施策 (平成27年度「景品…

  3. 米国でも、コロナ関連の健康食品虚偽広告を監視・警告(米国FDA)(医薬…

  4. 健康食品「肝パワーEプラス」の記事態広告アフィリエイトで薬機法違反。広…

  5. 消費者庁、楽天に二重価格表示で要請。仮想モール事業者の出店店舗に対する…

  6. 消費者からの広告表示に対する厳しい目 東京都「悪質事業者通報サイト」に…

最近の記事

2021年9月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。