平成27年の食品表示法指示件数、国は5件、都道府県は23件(食品表示法:H27年度、警察庁:H27年)

先日の記事では、平成27年度の食品表示法指導状況をお伝えしました。
今回は、食品表示法違反「指示」や食の安全に関する警察の処分といった悪質な事件の発生状況について取り上げます。


指導:
「食品表示法に基づく指示及び指導並びに公表の指針」に照らし、食品表示基準違反が常習性がなく過失による一時的なものであり、違反事業者が直ちに表示の是正を行い、事実と異なる表示があった旨を速やかに情報提供している場合に行う行政指導
指示:
「食品表示法に基づく指示及び指導並びに公表の指針」に照らし、指導に該当しない場合に行う行政指導(食品表示法第6条第1項及び第3項)
命令:
食品表示法第6条第1項又は第3項の指示に係る措置を、正当な理由なく履行しない事業者に対する行政処分(食品表示法第6条第5項)、「食品表示法に基づく命令等の指針」に照らし、食品の回収等又は営業停止を命ずる行政処分(食品表示法第6条第8項)

・食品表示法第4条第1項の規定に基づいて定められた食品表示基準の違反に係る同法第6条第1項及び第3項の指示及び指導並びに公表の指針
(消費者庁 国税庁 農林水産省 平成27年3月20日)


●食品表示法の食品表示基準に関する指示件数、国は5件、都道府県は23件
平成27年度の指示の対象となった品目の内訳では、生鮮食品について国が3件、都道府県は12件。加工食品については国が4件、都道府県は14件となっています。

また、「指示」に従わない場合の改善措置の命令は、国は0件、都道府県はによる加工食品の2件となっています。

食品表示法の食品表示基準に係る指示件数(※1)


注: 一つの指示の中で複数の品目区分の食品が対象となったケースがあり、品目区分数の合計は指示件数と一致しない。

●食の安全に関する事犯の検挙事件数は、平成21年以降減少傾向
食の安全に関する事犯について、悪質なものや国民の生命・身体に影響を与えかねないものなどについては、警察により摘発され処罰を受けます。
警察庁の発表(※2)によると、食の安全に係る事犯(食品衛生関係事犯及び食品の産地等偽装表示事犯)の検挙事件数は31件で、前年の37件から6件減少しました。

平成18年以降の食の安全に係る事犯の検挙状況の推移

具体的な検挙事例(食品の産地等偽装表示事犯)は以下のとおりです。

・米穀販売会社役員らによる米の品質等偽装に係る不正競争防止法違反及びJAS法違反事件
米穀販売会社役員(65)らは、平成 25 年1月頃、A県産コシヒカリ以外の米が混合している精米の米袋に「単一原料米A県」、「コシヒカリ」等と記載し、商品の品質等について誤認させるような表示をして、精米合計約 30 キログラムを販売した。
また、同人らは、25 年2月から3月までの間、農政局の立入検査を受けた際、「中国米」を「国内産特定米」と書き換えるなどして虚偽の内容を記載した仕入原料に関する請求書等を呈示し、検査を妨害した。
27 年2月までに、1法人6人を不正競争防止法違反(誤認惹起行為)及びJAS法違反(立入検査妨害)で検挙した(京都、福井)。

(※1)
食品表示法の食品表示基準に係る指示及び命令件数について(平成27年度)
(平成28年6月 消費者庁 国税庁 農林水産省)

(※2)
平成27年中における食の安全に係る事犯の検挙状況について
(平成28年3月 警察庁生活安全局 「平成27年中における生活経済事犯の検挙状況等について」より)

≪参考記事≫
・食品表示法の食品表示基準に係る国による指導状況
(平成27年度上半期 消費者庁・国税庁・農林水産省)

・食品の表示違反動向
(JAS法:平成26年度、警察庁:平成26年)
(JAS法:平成25年度、警察庁:平成25年)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。