トクホ、特別用途食品品質調査結果公表 許可取り消しの判断根拠 (平成28年11月 消費者庁)

9月23日の日本サプリメント(株)のトクホ制度初の表示許可取消しから端を発した、消費者庁による保健機能食品の品質管理調査の結果が公表されました。

健康増進法で消費者庁が許可をしている特定保健用食品、特別用途食品について、現行法令の立て付け上は、定期的に事業者の方から報告をさせる形にはなっていません。

今回の調査結果を受け、消費者庁では、保健機能食品の品質管理について、事業者に定期的に外部の試験・検査機関の分析結果を報告させるようにしたいとしています。

●特定保健用食品の関与成分に関する調査について
調査経緯:
9月30日、消費者庁はトクホ許可商品について、公益財団法人日本健康・栄養食品協会を通じて全ての申請者に対し、関与成分量が許可申請書の記載どおり適切に含有されているかを調査し、10月26日までに結果報告するように依頼。11月1日に調査結果を公表した。
調査結果概要:
・調査対象となった商品数1269品目のうち、現在販売中の359商品の有効成分量は適切。
・現在販売されていない品目数は71%の903品目で、うち失効予定品目数は196品目。
・報道では、確認方法は自社検査が195品を占めたと報じている。

【調査結果】
調査対象集計結果:
201社(1271品目)中  199 社(1269品目)(2社:連絡先不明 回収率 99.8%)

関与成分量調査結果:
1)現在販売されている品目数366 品目(うち7品目は分析中)
全ての品目(359品目、分析中の7品目を除く)の関与成分量は、許可等申請書の記載どおり適切に含有されていた。
分析中の7品目については、11月末までに報告。

2)現在販売されていない品目数903品目
(うち失効予定品目数196品目、販売準備品目数39品目)
196品目のうち、失効届の提出がない173品目(47社)について、2017年3月31日までに、都道府県知事を経由して失効届の提出を求めた。

●特別用途食品の品質管理に関する調査について
調査経緯:
10月12日、同じく国の許可が必要な特別用途食品に関しても、同様の品質管理に関する調査依頼通知を発出した。
全16社に対して64品目についての外部試験機関での試験結果の報告を10月21日までに消費者庁に提出するようにと依頼し、11月2日に調査結果を公表した。
調査結果概要:
・調査対象となった商品数64品目のうち、1品目について許可基準を超えていた。
・消費者庁は現段階で許可取消しを行わず。

【調査結果】
調査対象集計結果:
許可の対象の全ての品目16社(64品目)(失効届が出ているものも含む)

調査結果:
1品目について許可基準を満たさない場合があることが判明した。
社名 キッセイ薬品工業株式会社(長野県松本市)
商品名 「げんたそうめん」病者用たんぱく質調整食品
販売先 卸業者を通じて病院、自社の通信販売
不備内容
含まれるたんぱく質の量が、特別用途食品の許可基準を超えていた。
たんぱく質含有量が製品100グラム当たり2.2~2.8グラムで認可を受けたが、
最大で同0.4グラム超過した商品が見つかった。

消費者庁は現段階で許可取消しを行っていませんが、キッセイ薬品(株)は11月1日から「げんたそうめん」を販売中止しました。
さらに2日、今回の調査では基準を満たした「げんたうどん」について、自主的に過去に遡って確認したところ、最大で100グラム当たり0.2グラム超過しているものがあったとして、販売中止しました。

ホームページに経緯と詳細を公表しています。
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たんぱく質調整食品「げんたそうめん」および「げんたうどん」の
販売中止に関するお知らせ
(キッセイ薬品工業株式会社 2016年11月2日)
https://www.kissei.co.jp/l2/l3/Vcms3_00000944.html
https://www.kissei.co.jp/vcms_lf/2016.11.02PR.pdf
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消費者庁の調査では「げんたそうめん」1品目のみの不備の報告でしたが、キッセイ薬品では直ちに販売中止の判断をし、自主的に過去まで遡って品質管理を徹底的に洗い直したときに不備が見られるロットがあったことから、品質管理を徹底するためにもう1品目「げんたうどん」についても、念のための販売中止にするという企業判断を下しました。

岡村消費者庁長官は、記者会見にて、許可取り消しの判断根拠について以下のように説明しています。

《日本サプリメントの場合》
科学的な知見により当初の許可条件と違う状況になったときには消費者庁に連絡するという許可条件を付していたにもかかわらず、2年にわたって報告しなかったことが悪質と判断した。
《キッセイ薬品工業の場合》
会社として製品管理について、許可を受けた製品規格値にプラスマイナスの許容範囲があると誤認していた。日本サプリメントのように不備であることを分かったまま2年以上放置したというのとは違うという判断で、今のところ悪質とは考えていない。
会社の報告状況、そして、現在当該会社のホームページでアナウンスされていることから見て、悪質な信頼関係違反とは認定していない。

製品の品質に関して不備に気付いた時点で、どのような対応をとるのかという企業判断が重要です。消費者に対する信頼を裏切らない姿勢はどうあるべきかが判断基準となります。

◆特定保健用食品に対する今後の品質管理等の徹底について
(消費者庁 平成28年9月30日)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1565.pdf

◆特別用途食品の品質管理に関する調査について
(消費者庁 平成28年10月12日)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_161012_0001.pdf

◆特定保健用食品の関与成分に関する調査結果について
(消費者庁 平成28年11月1日)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_index_4_161101_0004.pdf

◆特別用途食品の品質管理調査報告
(岡村消費者庁長官記者会見要旨 平成28年11月2日)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/okamura/161102c_kaiken.html

≪関連記事≫
・日本サプリメント トクホ初の許可取り消しと、規制強化の動向

・トクホの更新制度は復活するのか?保健機能食品の品質管理規制

・強まる健康食品への規制 トクホ広告審査と業界の自主規制の取り組み
(日健栄協 第4回 特定保健用食品広告審査会)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。