27年度景表法違反、健康食品の虚偽・誇大表示に対する執行は強化

消費者庁が年度ごとの景表法違反に関する事件処理件数や、国や自治体の取り組みをまとめた「景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」(※)。
6月17日に公表された27年度版報告書より、今回は、27年度の景表法違反状況を報告します。

●国の措置命令件数、都道府県の法的措置件数の合計、過去9年間で最低

国の措置命令件数と都道府県の法的措置件数の合計が、平成19年以降最低の16件となった。
内訳をみると、国の措置命令件数が13件で前年度(30件)から17件減少、都道府県が行った法的措置(措置命令)は3件にとどまった。

国の措置命令件数、都道府県の法的措置件数の推移



国の措置命令件数について:
平成21年8月末日までは公正取引委員会における排除命令件数、同年9月以降は消費者庁における措置命令件数。
都道府県知事による法的措置件数について:
平成26年11月末日までは指示件数、同年12月1日以降は措置命令件数である(ただし、平成26年度の措置命令件数は0件。)。


《国(消費者庁及び公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等)》
● 調査件数、処理件数とも減少傾向続く

27年度の景品表示法違反に関する国の調査件数は568件で、2年連続減少した。
新規に着手した430件(前年度440件)のうち、職権探知件数は129件(前年度151件)で、前年度から減少した。一方、一般の消費者や事業者からの情報提供による調査件数は301件(前年度289件)で増加した。情報提供件数総数は9667件で前年度6336件から大幅に増加した。
処理件数は、措置命令が13件で前年度(30件)から17件減少、指導が178件で前年度(294件)から116件減少と減少傾向が続く。一方、都道府県移送が78件で前年度(38件)から40件と増加傾向となっている。

国の調査件数等の推移

●措置命令、指導件数ともに前年度より大幅減。優良誤認の不実証広告規制の割合変わらず

27年度の措置命令は表示事件のみで、最も多かったのは優良誤認の11件(前年度27件)。内、不実証広告規制が8件(前年度13件)と7割以上を占める。有利誤認については、2件(前年度3件)。
指導については154件と、前年度283件から大幅に減少した。特に優良誤認の87件(前年度202件)の減少が大きい。
(平成24年度から、「警告」、「注意」の区分を廃止し、「指導」にまとめられた。)

景品事件は、指導のみで28件。前年度19件から増加した。

表示事件の内訳

*関係法条が2以上に渡る事件があるため、本表の合計は「調査件数等の推移」の合計と一致しない

景品事件の内訳

●措置命令の多かった商品役務は「食品」、「車両・乗り物」は大幅減

商品役務別の措置命令処分件数を見ると、「食品」が7件(前年度6件)で、措置命令全体の半数以上を占めた。前年度最多だった「車両・乗り物」は2件(前年度7件)で、大幅減少した。

処理事件の商品役務別分類

※関係する商品役務が2以上にわたる事件があるため、本表の合計は「調査件数等の推移」の合計と一致しない。
(*)外食等、役務に分類されるものは含まない。

●平成27年度の措置命令を行った事件

措置命令事件は次のとおり、全て表示事件であり、その件数は計13件である。
健康食品の痩身効果の不当表示は前年度4件から6件に増加した。表示対策課食品表示対策室において、いわゆる健康食品の虚偽・誇大広告等に対して、景品表示法と健康増進法との一体的な執行が行われている。

・健康食品の痩身効果に関する不当表示  4件
・即席スープの痩身効果に関する不当表示  1件
・健康食品の疾病予防効果に関する不当表示  1件
・ブレンド茶の原材料原産地に関する不当表示  1件
・中古自動車の修復歴に関する不当表示及び中古自動車に関するおとり広告  1件
・中古自動車の修復歴に関する不当表示  1件
・窓用フィルムの施工による室温低下効果に関する不当表示  1件
・空気清浄機の空気清浄効果に関する不当表示  1件
・パズル雑誌の懸賞企画の当選者数に関する不当表示  1件
・債務整理・過払い金返還請求に係る役務の料金値引き等期間に関する不当表示 1件

《都道府県知事》
●都道府県の措置命令は3件

都道府県では、3県において行われた3件の措置命令が行われている。全てが表示事件であり、中古自動車の修復歴に関する不当表示事件、牛肉の銘柄に関する不当表示事件、小顔矯正と称する役務の効果に関する不当表示事件があった。
平成26年度においては、都道府県知事による措置命令が行われた事案はなかった。
(平成26年12月以降、各都道府県知事に対して、新たに景品表示法の規定に基づく措置命令権限と不実証広告規制に係る合理的根拠提出要求権限が付与された。)

次回は同じく27年度版報告書より、27年度の消費者庁の表示適正化への具体的な取組について報告します。

(※)
平成27年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160617premiums_1.pdf

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  1. 2016年 6月 22日

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。