事業者が講ずべき管理上の措置に対する指導、助言は84件。(27年度 消費者庁)

前回の記事では、消費者庁の「景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」(※1)より、景表法違反状況を取り上げました。
今回は、27年度の消費者庁の表示適正化への具体的な取組について報告します。
自社のコンプライアンス対策に、チェックしてみてください。

●景品表示法の改正(課徴金制度導入)
●事業者が講ずべき管理上の措置の執行状況
●公正競争規約の変更
●インターネット上の広告表示の監視調査は継続中
●法改正で都道府県との連携、更に強化
●健康食品に対する景品表示法と健康増進法との一体的な執行


●景品表示法の改正(課徴金制度導入)
景品表示法への課徴金制度導入を内容とする「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」が平成26年11月19日に成立し、平成28年4月1日から施行された。

●事業者が講ずべき管理上の措置の執行状況
不当表示等の発生を防止するために、事業者が講ずべき必要な体制の整備その他の必要な措置について、消費者庁は必要な指導及び助言、勧告をすることができる。
勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
27年度は「指導及び助言」が84件となった。

●公正競争規約の変更
平成27年度に消費者庁長官及び公正取引委員会の認定した規約変更12件のうち、内容に実質的な変更があったものは次のとおり。

食品のり(表示)
過大包装に関係する規定の見直し、板のり規格の明確化及び板のり換算枚数の表示等の変更を行った。(平成27年5月15日承認)

「食品のりの表示に関する公正競争規約施行規則」の一部変更について
http://www.j-nori.com/20151005%20_kiyaku_n02.pdf

自動車(表示)
車両の価格に諸費用を加えた「支払総額」を表示する場合に関する規定の新設、ランキング表示に関する規定の変更、ガソリン車及び電気自動車の燃料消費率の定義規定の新設、競り上げや入札により販売する場合の表示に関する規定の新設等を行った。
(平成27年6月4日承認)

「自動車業における表示に関する公正競争規約についての新車に関する施行規則及び同規約についての中古車に関する施行規則」の一部変更について
http://www.aftc.or.jp/content/file/pdf/aftc_info/aftcinfo_201508.pdf

ペットフード(表示)
ナチュラル等の表示基準の追加、療法食の定義及び表示基準の追加、成分表示の表現等の変更を行った。
(平成27年7月14日認定、承認)

ペットフードの表示に関する公正競争規約
(公正取引委員会・消費者庁 平成27年7月14日認定)
http://www.pffta.org/pdf/kotorikiyaku0714.pdf

仏壇(表示)
「漆仕上げ」の定義の明確化等を行う変更を行った。
(平成27年9月14日承認)

仏壇の表示に関する公正競争規約及び同施行規則
http://www.butudan-kousei.com/profile/kiyaku2015-ver0915.pdf

●インターネット上の広告表示の監視調査は継続中
・消費者庁では、一般消費者に「電子商取引表示調査員」として、インターネット上の広告表示の調査を委託している。
・27年度は、1,177件(前年度1,216件)が報告され、そのうち、景品表示法違反の問題があると認められたサイトは、46サイト(前年116サイト)29事業者(前年98事業者)。景品表示法の未然防止の観点から注意が行われた。

●法改正で都道府県との連携、更に強化
・都道府県における景品表示法の執行力の強化に向けて、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等と協力して北海道・東北地区、関東甲信越地区、中部地区、近畿地区、中国地区、四国地区、九州・沖縄地区のブロックごとに年2回都道府県との連絡会議を開催し、景品表示法担当職員向けに研修を実施。
・都道府県職員対象の執行研修や、都道府県が行う景品表示法の運用に関して助言を行う。
・消費者庁は、平成24年4月1日から景品表示法に関する調査情報等を共有するネットワーク(景品表示法執行NETシステム)の運用を開始し、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等及び都道府県等との情報共有の緊密化、協力関係強化を図っている。

●健康食品に対する景品表示法と健康増進法との一体的な執行
・消費者庁の表示対策課食品表示対策室において、平成27年度においては、景品表示法措置命令6件(前年度6件)のほか、健康増進法第32条第1項の規定に基づき1件の勧告、同法第31条第1項(虚偽・誇大広告の禁止)に違反するおそれがある事案について27件(前年度20件)の指導を行った。 ・「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」
の一部改定。(平成27年1月13日)
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/150113premiums_3.pdf

27年度は景表法違反の処分件数は減少しましたが、課徴金制度を始めとし法改正による法執行や、健康食品に対する景品表示法と健康増進法との一体的な執行強化の流れはさらに進むと考えられます。
事業者が講ずべき管理上の措置に対する勧告や公表の実績は上がっていませんが、指導及び助言は出ています。事業者の皆さんには、一層の管理体制への取り組みが求められます。
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(※1)
平成27年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160617premiums_1.pdf

《関連記事》

景表法改正案閣議決定!急務となる事業者コンプライアンス対策

・景表法課徴金は対象売上高の3%、課徴金賦課の対象外となるケースは?(消費者庁 平成24年8月26日)

・景表法改正、広告表示の適正管理のための7つのポイン+1

・景表法改正、事業者が講ずべき広告表示の適正管理の指針案(消費者庁 平成24年8月8日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。