26年度景表法違反、国の措置命令件数、都道府県の指示件数の合計33件。過去8年間で最低 

消費者庁が年度ごとの景表法違反に関する事件処理件数や、国や自治体の取り組みをまとめた「景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」。
6月18日に公表された26年度版報告書より、今回は、26年度の景表法違反状況を報告します。

● 職権探知、情報提供件数は増加するも、調査件数は大幅減少。
26年度の景品表示法違反に関する調査件数は642件で、前年の868件から大幅に減少した。
新規に着手した440件のうち、職権探知件数は151件(前年度128件)で、前年度から増加した。一方、一般の消費者や事業者からの情報提供件数総数は6336件で前年度5858件から増加したものの、その内の調査件数は289件(前年度560件)と、前年度の半数以下に減少した。

調査件数等の推移

● 国の措置命令件数、都道府県の指示件数の合計、過去8年間で最低
国の措置命令件数と都道府県の指示件数の合計が、平成19年以降最低の33件となった。
内訳をみると、国の措置命令件数が30件で前年度(45件)から15件減少、都道府県が行った法的措置(指示)は3件で、前年の64件から大幅に減少した。

【国の措置命令件数と都道府県の指示件数推移】


* 措置命令件数について:平成21年8月末日までは公正取引委員会における排除命令件数、同年9月以降は消費者庁における措置命令件数。

●措置命令、指導件数ともに前年度より大幅減。優良誤認の不実証広告規制の割合変わらず
26年度の措置命令は表示事件のみで、最も多かったのは優良誤認の27件(前年度41件)。内、不実証広告規制が13件(前年度22件)と半数を占める。有利誤認については、3件(前年度4件)。
指導については283件と、前年度359件から大幅に減少した。
(平成24年度から、「警告」、「注意」の区分を廃止し、「指導」にまとめられた。)

景品事件は、指導のみで19件。前年度24件を下回った。

表示事件の内訳

*関係法条が2以上に渡る事件があるため、本表の合計は「調査件数等の推移」の合計と一致しない。

景品事件の内訳

●措置命令の多かった商品役務は「車両・乗り物」、「保健衛生品」は大幅減
商品役務別の措置命令処分件数を見ると、前年度より増加したのは「車両・乗り物」が7件(前年度6件)、「食品」が6件(前年度5件)となった。一方、減少したのは「保健衛生品」が4件(前年度18件)、「教養娯楽品」が1件(前年度6件)に大幅減少した。

処理事件の商品役務別分類


※関係する商品役務が2以上にわたる事件があるため、本表の合計は「調査件数等の推移」の合計と一致しない。
(*)外食等、役務に分類されるものは含まない。

●平成26年度の措置命令を行った事件
措置命令事件は次のとおり、全て表示事件であり、その件数は計30件である。

・健康食品の痩身効果に関する不当表示  4件
・飲料の疾病等予防効果に関する不当表示  1件
・「バイオプレート」と称する器具を用いた治療に関する不当表示  1件
・中古自動車の修復歴及び走行距離数に関する不当表示及び中古自動車に関するおとり広告   1件
・中古自動車の修復歴に関する不当表示  3件
・中古自動二輪車の走行距離数に関する不当表示  3件
・抗ウイルス・除菌効果等を標ぼうする商品の効果に関する不当表示  1件
・虫の忌避効果を標ぼうする商品の効果に関する不当表示  4件
・飲食店で提供される料理の原材料に関する不当表示  1件
・ホテルで提供される料理の原材料に関する不当表示  1件
・旅館で提供される貸切浴場の浴槽における温水及び料理の原材料に関する不当表示  1件
・浴場施設における温泉を使用した浴槽の数に関する不当表示  1件
・失禁パンツの吸収量に関する不当表示  1件
・窓ガラス用フィルムの省エネルギー効果に関する不当表示  2件
・屋外用シェードの気温低下効果に関する不当表示  1件
・漫画雑誌の懸賞企画の当選者数に関する不当表示  1件
・食肉に係る不当な二重価格表示  1件
・学習塾における講師に占める国公立大学・大学院出身者の在籍割合に関する不当表示  1件
・通信講座に係る役務の料金割引期間に関する不当表示  1件

健康食品の痩身効果の不当表示は前年度2件から4件に増加した。前年度17件を数えた二酸化塩素を利用した空間除菌グッズの効果に関する不当表示に代わり、虫の忌避効果を標ぼうする商品の効果に関する不当表示が4件、抗ウイルス・除菌効果等を標ぼうする商品の効果に関する不当表示が1件あった。
飲食店・宿泊施設で提供される料理の原材料に関する不当表示は前年度4件から3件となった。

●都道府県の指示内容
都道府県では、2都県において行われた3件の「指示」全てが表示事件であり、健康食品の痩身効果に関する不当表示事件などがあった。平成26年度においては、都道府県知事による措置命令が行われた事案はなかった。
(平成26年12月以降、各都道府県知事に対して、新たに景品表示法の規定に基づく措置命令権限と不実証広告規制に係る合理的根拠提出要求権限が付与された。)

次回は同じく26年度版報告書より、26年度の消費者庁の表示適正化への具体的な取組について報告します。

(※1)
平成26年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/150618premiums_3.pdf

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。