埼玉県は3月5日に、(株)大和コーポレーション(東京都世田谷区)に対し、ウェブサイトの水回り修繕等の表示について、景品表示法違反の措置命令(優良・有利誤認)を行いました。
本事案では、以下の表示が違反認定されています。
・実際を大きく上回る修理実績件数の表示
・客観的な調査によらない他社比較のデータ
・実際より安く見せかけた価格表示
・継続的な期間限定割引表示
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水回り修繕等を行う事業者に対する景品表示法に基づく行政処分について
(埼玉県 2025年3月6日)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0310/news/page/news2025030601.html
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同社に対しては同日付けで、特定商取引法律に基づく行政処分も併せて行われています。
水回り修繕等の訪問販売で、消費者からクーリング・オフの申し出を受けたにもかかわらず、履行を拒否していたとして、債務履行拒否(特定商取引法第7条第1項第1号)が適用されています。
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水回り修繕等を行う事業者に対する特定商取引法に基づく行政処分について
(埼玉県 2025年3月6日)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0310/news/page/news2025030602.html
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本記事では、景表法の違反内容と「比較広告」や「期間限定表示」を行う際の注意点および、「暮らしのレスキューサービス」に対する規制動向を確認します。
【違反内容】
事業者の概要:
株式会社大和コーポレーション
対象役務:
水回り修繕等
表示媒体:
「水道修繕受付センター」と称するウェブサイト
(https://an-shin-homeservice.com/lp02/)
表示内容・表示期間:
優良誤認表示
●修理実績表示
あたかも、多数の修理実績を有しており、また、その修理実績について、他の事業者の実績を大幅に上回るかのように表示していた。
<表示内容>
・「水回りの対応件数 約10万件」
・「実績 当社 月間2000件 他社 月間100件前後」
表示期間:
2024年4月10日~2024年9月30日

実際:
(1)実際を大きく上回る修理実績件数
同社が、過去に提供した修理契約件数は、10万件を大きく下回るものであった。また、過去に提供した修理の月間の平均契約件数は、2000件を大きく下回るものだった。
(2)推測による競合他社の修理実績比較
同社が競合他社との比較のために用いた他の事業者の修理実績は、代表取締役自身の現場経験からの推測によるものにすぎず、統計的に客観性が十分に確保された調査ではなかった。
有利誤認表示
●修理代金表示
あたかも、他の事業者が提供する修理代金と比較して安く、また、表示にある安価な価格で提供可能であるかのように表示していた。
表示期間:
2024年4月10日~2024年9月30日
(1)推測による競合他社の修理代金比較
<表示例>
「他社との料金比較 料金 当社 基本料0円※別途、作業料金が掛かります。 他社 基本料6,000円+作業費 別途:調査費・出張費」
実際:
同社が、競合他社との比較のために用いた他の事業者の修理代金は、代表取締役自身の現場経験からの推測によるものにすぎず、統計的に客観性が十分に確保された調査ではなかった。
(2)実際より安く見せかけた価格表示
<表示例>
・「今月だけのWEB限定割引 3,000円OFF 基本料金3,000円 >> \地域最安値に挑戦!/ 0円 完全無料 現地見積り 深夜・早朝料金 現地キャンセル 出張費」
・「料金計算方法 基本料金 今だけ!0円+作業費+材料費 お見積/出張費/深夜・休日料金>すべて0円 ※ご依頼に応じて、材料費・作業料金は変動いたします」
実際:
本件役務の作業の過程で追加料金が発生することにより、約数万円から数十万円の作業代金を請求されるなど、消費者は表示されているような価格で本件役務提供を受けることができないものだった。
●継続的な期間限定割引表示
あたかも、限定された期間中に依頼をした場合にのみ、割引が適用された価格で本件役務の提供を受けられるかのように表示していた。
表示期間:
2024年4月10日~2024年9月30日
<表示例>
・「今月だけのWEB限定割引 3,000円OFF 基本料金3,000円 >> \地域最安値に挑戦!/ 0円 完全無料 現地見積り 深夜・早朝料金 現地キャンセル 出張費」
実際:
期間を限定することなく継続的に基本料金を無料とする割引を適用させた価格で本件役務を提供していた。

本件で問題となった「比較広告」と、二重価格表示における通常価格での販売実績および、期間限定キャンペーンの有利誤認の考え方について、以下の記事でご確認下さい。
【景表法】比較広告の注意点
・キャリカレ通信講座の景表法措置命令にみる二重価格と期間限定キャンペーンの留意事項
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増加する「暮らしのレスキューサービス」の消費者トラブル
トイレ修理、水漏れ修理、鍵の修理、害虫の駆除等、日常生活でのトラブルに事業者が対処する、いわゆる「暮らしのレスキューサービス(注1)」は多発しており、全国の消費生活センター(PIO-NET)に寄せられる相談件数が、2018年度3,386件、2019年度3,771件、2020年度5,882件と報告されています。
インターネット上の広告がきっかけのトラブルが増加しており、相談件数のうち電子広告が関わる割合が2016年度は19.2%、2017年度は21.7%、2018年度は25.6%、2019年度は28.9%、2020年度は41.1%、2021年8月末までの割合は48.1%と、相談件数の増加と比例して拡大しています。

(注1)
「暮らしのレスキューサービス」は、トイレの修理、水漏れ・排管等の詰まりの修理(トイレの水漏れ・排管等の詰まりは含まない)、鍵の修理・交換、害虫・害獣等の駆除、冷暖房設備の修理、ドア・ガラスの修理、給湯器の修理等で、事業者が消費者の自宅等に訪問して対処するサービスのことをいう。リフォーム工事は含まれていない。
(注2)
相談件数は2021年8月31日までのPIO-NET登録分。消費生活センター等からの経由相談は含まれていない。
過去には度々、消費者への注意喚起が行われており、消費者庁による、消費者安全法注意喚起資料の公表も行われています。
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ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、実際には高額な料金を請求するトイレの詰まり修理業者に関する注意喚起(消費者庁 2023年08月24日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/034319
ウェブサイトでは適正かつ低額な料金でロードサービスを行うかのように表示し、実際には高額な料金を請求する事業者に関する注意喚起(消費者庁 2025年03月24日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/041483
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「暮らしのレスキューサービス」に対しては、景品表示法と特定商取引法を併用した厳しい処分が行われています。
埼玉県では、2020年5月に害虫駆除サービスを行う事業者に対して、2024年2月に水回り修繕等を行う事業者に対して行われており、本件で3事例目となります。
・埼玉県、害虫駆除サービスの訪販で、生活協同組合くらしのコープに景表法措置命令と特商法業務停止命令 (埼玉県 2020年5月8日)
・埼玉県、ネットで低額料金をうたう「水回りの修繕サービス」訪販の中西設備に景表法と特商法のダブル処分(埼玉県 2024年2月8日)
今後も、通信販売や訪問販売、電話勧誘販売といった特定商取引において、特商法と景表法のダブル処分が増える可能性がありそうです。
≪関連記事≫
・埼玉県、社会福祉組合の「火災保険等を利用した雨どいの補修工事」に景表法措置命令 (埼玉県 2021年3月15日)
・埼玉県、家庭教師派遣(株)ワン・ツー・ワンに景表法措置命令。合格率や教師登録数、解約料等の表示に誤認認定 (埼玉県 2020年9月14日)
・埼玉県、ダイエットサプリ通販のニコリオに景表法措置命令と特商法業務停止命令。アフィリエイトも注意! (埼玉県 2020年3月31日)
・埼玉県 接骨院MJGの「お客様評価」「やせプログラム」表示に景表法措置命令(埼玉県 2019年11月18日)
・育毛剤(株)RAVIPAに景表法措置命令。「いつでも解約」「顧客満足度」「使用体験者の年齢」「お手入れなし・あり写真」に不当表示認定(埼玉県:2019年8月20日)
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