11月27日のアリュールに続き、12月7日、消費者庁は、健康食品、化粧品、美容機器等の販売事業者(株)ハハハラボ(東京都墨田区)が提供する機能性表示食品の表示に優良誤認の措置命令を行いました。
・機能性表示食品に3事例目の景表法措置命令、アリュール「スリムサポ」、逸脱表示と国の認可表示(消費者庁 2023年11月27日)
違反対象となった商品は、ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンを機能性関与成分とした機能性表示食品『メラット』。
機能性関与成分に関する研究レビューによる機能性表示の届け出で、機能性表示は、以下の通りです。
「本品にはブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンが含まれます。ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンは以下の機能が報告されています。
■日常活動時のエネルギー代謝において脂肪を消費しやすくする。
■BMIが高めの方の腹部の脂肪(内臓脂肪および皮下脂肪)を減らす。
■年齢とともに低下する脚の筋力に作用することにより、中高年の方の歩行能力の維持に役立つ。」
不当表示認定されたポイントの共通点・相違点
11月のアリュール事案は2023年3月から10月頃の表示、他方、ハハハラボ事案は2022年9月から11月頃の表示が対象となっていますが、痩身系機能性表示食品として、不当表示認定されたポイントの共通点、相違点は次の通りです。
●共通点
・届出の範囲を著しく逸脱した痩身効果表示が問題となっている。
・自社ウェブサイトだけでなく、第三者に表示内容の決定を委ねていたウェブサイトの表示も違反対象となっている。
●相違点
アリュール:
・届出表示に含まれない機能に関する効果表示
・商品の痩身効果等を消費者庁又は国が認めたとする表示
ハハハラボ:
・不適切なNo.1表示
処分のポイントを確認します。
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株式会社ハハハラボに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2023年12月19日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/035684/
———
【違反内容】
対象商品:
「メラット」と称する機能性表示食品
表示媒体・表示期間:
(1)アフィリエイトサイト
2022年7月1日~11月11日
(2)自社ウェブサイト
2022年7月1日~9月7日
表示内容:
●届出の範囲を著しく逸脱した痩身効果表示
「何をやっても太る理由が判明! 食べてないのに太るのは“燃焼力”がないから 50kg以上の女性9割がしていない 3週間で60.8kg→47.2kgまで痩せた方法がすごい!」との記載と共に、引き締まった腹部の画像等と表示。
あたかも、本件商品を摂取するだけで、商品に含まれる成分の作用により、誰でも容易に腹部の脂肪が落ち、外見上の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
【表示例】アフィリエイトサイト
【表示例】自社ウェブサイト
実際:
ハハハラボに対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
●不適切なNo.1表示
王冠のデザインがついたエンブレムの画像と共に、「30~60代女性が選ぶダイエットサプリ No.1」等と表示。
あたかも、ハハハラボが販売する本件商品及び他の事業者が販売する同種又は類似の商品について、実際に利用したことがある者又は知見等を有する者に対して「30~60代女性が選ぶダイエットサプリ」、「一番継続しやすいダイエットサプリ」、「コスパが良いと思えるダイエットサプリ」、「お財布にも優しそうなダイエットサプリ」、「栄養もしっかり摂れると思うダイエットサプリ」、「一番効果が期待できそうなダイエットサプリ」の6項目をそれぞれ調査した結果において、ハハハラボが販売する本件商品の順位がそれぞれ第1位であるかのように示す表示をしていた。
【表示例】アフィリエイトサイト
実際:
ハハハラボが委託した事業者による調査は、回答者に対し、ハハハラボが販売する本件商品及び他の事業者が販売する同種商品について実際に利用したことがある者か又は知見等を有する者かを確認することなく、本件商品と特定の9商品のみを任意に選択して対比し、当該商品を販売する各事業者のウェブサイトの印象を問うものであり、客観的な調査に基づくものではなかった。
また、当該表示は、当該調査結果を正確かつ適正に引用しているものではなかった。
ハハラボは、消費者に1回だけの購入と誤認させ、実際には定期購入を条件とする契約を結ばせる除毛クリームの通信販売サイトの表示について、特定適格消費者団体より修正申し入れを、2022年より複数回受けていました。
2023年11月に表示修正が完了したとして、申請入れ活動は終了されています。
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・株式会社ハハハラボが運営する通販サイトの表示の改善を受けて、申入れ活動を終了しました。
((特非) 消費者支援機構関西 2023年11月7日)
https://www.kc-s.or.jp/detail.php?n_id=10001309
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機能性表示食品の表示に対する措置命令は本事案で4事例目となりますが、2023年度において3件の処分が出されており、明らかな規制強化が読み取れます。
また、不適切なNo.1表示も昨今問題視されており、2022年度は3件、2023年度は本件が2件目の処分となっています。
表示媒体としては、アリュール、ハハハラボともに第三者に表示内容の決定を委ねていたウェブサイトの表示が違反対象媒体となっています。
2022年6月29日の「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」と、景品表示法26条「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の一部改訂により、アフィリエイト広告に対する景品表示法の適用などに関する考え方が明確に示されたことを受け、アフィリエイト広告に対する法執行が今後も進むことが予想されます。
機能性表示食品として、どのような視点から不当表示とみなされたのか、「No.1」表示に求められる客観的な調査方法について、詳しい解説は、以下の記事でご確認下さい。
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《参考記事》
・機能性表示食品に3事例目の景表法措置命令、アリュール「スリムサポ」、逸脱表示と国の認可表示(消費者庁 2023年11月27日)
・アリュールの機能性表示食品措置命令事案、不当表示とみなされたポイントは
・日健栄協 機能性表示食品広告審査会、約15%の商品に違反のおそれ。届出ガイドライン改正で研究レビューの質向上へ
・さくらフォレストの機能性表示食品に景表法措置命令、届出表示の根拠認めず。同一根拠届出製品約90件も個別確認へ(消費者庁 2023年6月30日)
・さくらフォレストの機能性表示食品事案、届出表示の根拠は何が問題だったのか
・「葛の花」機能性表示食品9社に景表法課徴金納付命令。自主的お詫び社告の影響は?(消費者庁:平成30年1月19日)
・「葛の花」16社、特定適格消費者団体から返金申し入れ。課徴金だけじゃない被害回復裁判リスク!(消費者支援機構関西 22018年3月5日)
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