顧客による自主的な投稿ではない「口コミ」評価のNo.1表示に優良誤認。埼玉県 整骨院「くまのみ」に景表法措置命令(埼玉県 2023年3月14日)

埼玉県は3月14日に、整骨院及びエステサロン等を経営する(株)くまのみ(埼玉県さいたま市)に対し、ウェブサイトや店舗において表示した「口コミNo.1」や「体験談」、痩身や小顔の施術効果の表示について、景品表示法優良誤認の措置命令を行いました。
痩身や小顔の施術効果については不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。

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接骨院を経営する事業者に対する措置命令について 
(埼玉県 2019年11月18日)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2019/1118-13.html#a
———-

(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。

本事案は、No.1表示では「恣意的な競合サービスの選択肢選定」、「顧客による自主的な投稿ではない「口コミ」評価の操作」、「根拠のない顧客満足度評価」、「関係者やモニターによる体験談」、「痩身・小顔効果の不実証広告」、「虚偽のメディア掲載」等、違反事項が満載の処分となっています。
また、表示媒体としては、ウェブサイトだけでなく、店舗の看板、のぼり、店頭のパネルディスプレイも対象となっています。

景表法の違反事例として、内容を確認しましょう。


【違反内容】

事業者の概要:
株式会社くまのみ

対象役務:
1)「くまのみ整骨院」等と称する店舗において供給する各種役務
2)「プレミアムボディバランス(Premium Body Balance)」と称する店舗において供給する「美骨盤矯正+選べる最新痩身5種ダイエット」及び「小顔矯正」

表示媒体:
自社ウェブサイト及び店頭表示

表示内容・表示期間:
a)口コミNo1
例えば以下のように記載し、あたかも、自社が運営する店舗が、「口コミ」において高評価であること及び「口コミ」の件数が埼玉県で1位、ないし、各地で1位を獲得したかのように表示していた。

<表示例>
自社ウェブサイト:
「埼玉県口コミNo1!!」、「くまのみ整骨院・整体院は、大手口コミサイト口コミ数各地でNo1の実績!」等
表示期間:
2020年2月18日~2023年1月18日

(埼玉県公表資料より引用)

店頭表示:
「埼玉県口コミNo1」、「埼玉県 3,000 店舗中 口コミ No.1」等。
表示期間:
2022年6月7日、24日、9月20日、24日、10月6日、11月7日、18日、29日、2023年1月11日~13日

(埼玉県公表資料より引用)

実際:
(1)恣意的な競合サービスの選択肢選定

同社が競合他社比較で選出した事業者には、同社が競合他社との比較に用いている「口コミサイト」において上位に入る店舗の事業者が含まれておらず、統計的に客観性が確保された調査ではなかった。

(2)顧客による自主的な投稿ではない「口コミ」評価の操作
顧客に「口コミ」の投稿を促すため、「口コミ」を投稿した顧客に対し電気治療又は円皮鍼を供与しており、また、「全店舗対抗!くまのみご感想選手権」と称するキャンペーンにおいて、顧客に対し、口コミ投稿の特典として、投稿内容や投稿回数に応じて1万円又は3万円の商品券を供与しており、顧客が自主的に投稿した「口コミ」ではなかった。

b)メディア掲載
例えば以下のように記載し、あたかも、複数の雑誌の企画又は特集、ないし、テレビ番組で自社が紹介されたものであるかのように表示していた。

<表示例>
自社ウェブサイト:
「さいたま市のくまのみ整骨院グループのメディア掲載実績」等と表示、さらに、「今まで当店ではまざまなメディアにご紹介頂きました。その一部をご紹介致します。」等。
テレビ番組の画像及び雑誌の画像。
表示期間:
2017年6月1日~2023年1月20日

(埼玉県公表資料より引用)

実際:
虚偽のメディア掲載

(1)ウェブサイトに表示している雑誌の大半において、雑誌の企画又は特集として掲載されているものではなく広告として掲載されていた。
(2)ウェブサイトに表示しているテレビ番組で紹介されたのは、他社開発の機器であり、自社が紹介されたものではなかった。

c)お客様満足度
例えば以下のように記載し、あたかも、顧客からの満足度が非常に高く、自社が提供する本件役務の痩身結果が1位であると評価されているかのように表示していた。

<表示例>
自社ウェブサイト:
「お客様満足度98.7%」、「Premium Body Balance  埼玉・銀座 痩身結果No.1サロン」等。
表示期間:
2017年6月1日~2023年1月20日

実際:
根拠となる調査資料なし

同社は表示の根拠となる調査等の資料を有しておらず、統計的に客観性が確保された調査によるものではなかった。

d)お客様の声
例えば以下のように記載し、あたかも、本件役務の提供を受けた顧客の写真であるかのように表示していた。

<表示例>
自社ウェブサイト:
「お客様の声」と称するページにおいて、「施術一例    ほんの一例です。」、「小顔矯正は当店人気施術メニューです!その一部をご紹介致します!」等の文言とともに、15名の人物の施術前、施術後の写真を表示。
表示期間:
2021年8月12日~2023年1月20日

(埼玉県公表資料より引用)

実際:
関係者やモニターによる体験談

(1)写真15名のうち、2名は本件役務の提供を始めた当初の従業員であり、残り13名にはモニターが含まれており、顧客ではない人物が含まれていた。
(2)従業員が恣意的に施術後の顧客写真から選定したものであり、統計的に客観性が十分に確保されているとは言えないものであった。

e)痩身・小顔効果
例えば以下のように記載し、あたかも、本件役務には痩身効果や小顔効果があるかのように表示をしていた。

<表示例>
自社ウェブサイト:
(1)痩身効果
「-7.3kgの体験!  ※効果には個人差があります  埼玉No.1整骨院プロデュース   美骨盤矯正+選べる最新痩身5種ダイエット」
「Premium Body Balance式部分集中痩せダイエットプログラムは、全ての脂肪・セルライトに絶大な効果があります」等。
表示期間:
2017年6月2日~2023年1月20日

(埼玉県公表資料より引用)

(2)小顔効果
「戻りにくい小顔矯正   左右バランス、ほうれい線やタルミ・シワが気になる方へ    たった1回の施術で小顔をキュッと引き締め効果」
「当院の施術では顔を施術することによって全身の血の巡りが良くなり、代謝がアップしたり、身体がポカポカすると感じている方も多くいらっしゃいます。その他にも、小顔施術から「便秘が改善した!」「冷え性・むくみが改善した!」等の喜びの声を沢山ちょうだいしています。」等。

表示期間:
2021年8月12日~2023年1月20日

(埼玉県公表資料より引用)

実際:
不実証広告
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、提出された資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められなかった。

埼玉県の積極的な法執行

本事案では、顧客が自主的に投稿した「口コミ」によらないNo.1評価が、優良誤認認定事項の一つとなっています。
2023年3月28日、ステマ規制の「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定告示成立直前のタイミングでの、埼玉県のこの処分は、テーマの先取りとも言えそうな内容だと感じます。

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「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定及び「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表について(消費者庁 2023年3月28日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/032672/
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埼玉県は、常に国に先行した法規制への取り組み姿勢をとってきました。
「お試し」のつもりが定期購入になっていた、という健康食品や化粧品のネット通販の定期購入トラブルでは、埼玉県はいち早く2017年2月に国に要望書を提出し、特商法に定める義務表示事項に総額表示の明確化を求めていました。

また、埼玉県は、県内の大学、高校と連携した、違反表示・広告等に対する監視に取り組んでおり、その調査から2020年3月31日に、(株)ニコリオのダイエットサプリメントの表示に対する処分を行っています。
ニコリオ事案では、「定期購入」契約表示に対して、景表法の有利誤認と特商法の「顧客の意に反する申込み」による違反認定を行っています。

更に、定期購入契約トラブルで問題となっている、販売サイトへの流入口となるアフィリエイト広告の表示も違反対象としました。

・埼玉県、大学・高校と連携して違反広告監視。1事業者に行政処分、25事業者に行政指導(埼玉県 2020年7月13日)
・埼玉県、ダイエットサプリ通販のニコリオに景表法措置命令と特商法業務停止命令。アフィリエイトも注意! (埼玉県 2020年3月31日)

消費者庁の一歩先ゆく法執行を行う埼玉県に注目しています。

≪関連記事≫
・埼玉県、家庭教師派遣(株)ワン・ツー・ワンに景表法措置命令。合格率や教師登録数、解約料等の表示に誤認認定 (埼玉県 2020年9月14日)
埼玉県 接骨院MJGの「お客様評価」「やせプログラム」表示に景表法措置命令(埼玉県 2019年11月18日)
・育毛剤(株)RAVIPAに景表法措置命令。「いつでも解約」「顧客満足度」「使用体験者の年齢」「お手入れなし・あり写真」に不当表示認定(埼玉県:2019年8月20日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。