樹脂製品の環境配慮の「生分解性」表示に景表法措置命令。エアガン用BB弾、ごみ袋、ストロー、カップ、釣り用疑似餌など10社一斉処分(消費者庁 2022年12月23日)

ビジネスのあらゆるジャンルで持続可能性、環境への配慮が求められる中、樹脂製品の原材料の「生分解性」に関する表示に、景品表示法による処分が行われました。
異なる商材での複数社に対する一斉処分となっています。

12月23日、消費者庁は、エアガン用BB弾の販売事業者5社、ゴミ袋及びレジ袋の販売事業者2社、カトラリー、ストロー、カップ等の販売事業者2社、釣り用品の販売事業者1社(合計10社)に対し、商品の「生分解性」表示について、景品表示法違反(優良誤認)の措置命令を行いました。
いずれも優良誤認で不実証広告規制(※)を用いた処分となっており、10社が提出した根拠資料は、いずれも表示の裏付けとなる「合理的な根拠」として認められませんでした。

処分のポイントについて確認します。

———-
 (消費者庁 2022年12月23日)
エアガン用BB弾の販売事業者5社に対する景品表示法に基づく措置命令について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/031623/

ゴミ袋及びレジ袋の販売事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/031612/

カトラリー、ストロー、カップ等の販売事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/031610/

釣り用品の販売事業者に対する景品表示法に基づく措置命令について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/031584/
———

(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。

⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。


違反概要

エアガン用BB弾5社
(株)セキトー
商品:3商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト:2022年2月24日以降、商品パッケージ:遅くとも2022年2月16日以降

(株)東京マルイ
商品:6商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト:遅くとも2022年2月16日以降
商品パッケージ:遅くとも2019年8月21日~2022年11月22日、ポスター:遅くとも2016年12月1日以降

(株)晴和
商品:3商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト:2022年3月10日~2022年6月15日、楽天市場サイト:2022年3月4日~2022年7月29日、ポスター・商品パッケージ:遅くとも2022年1月10日以降

(有)ライラクス 6商品
商品:6商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト:遅くとも2022年2月15日~2022年7月29日
商品パッケージ:遅くとも2019年12月1日以降

Guay Guay Trading CO.,LTD.
商品:8商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト:遅くとも2022年2月17日~2022年11月24日
商品パッケージ:遅くとも2021年12月25日~2022年9月7日

表示内容:
あたかも、商品は、使用後に地表や水中、使用環境中に残されたままでも、微生物によって二酸化炭素と水に分解される生分解性を有するかのように示す表示をしている又は表示をしていた。

違反表示例:(株)東京マルイ(エアガン用BB弾 自社Webサイト)

(消費者庁発表資料より抜粋)

なお、セキトー、東京マルイ、晴和及びライラクスについては、本件18商品について措置命令が発出された時点において違反認定された表示を継続しており、表示を取りやめるよう命じられています。

ゴミ袋及びレジ袋2社
TJC(株)
商品:ゴミ袋・レジ袋6商品、プラカップ1商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト・ヤフーサイト・アマゾンサイト:遅くとも2022年1月21日以降
楽天市場サイト:遅くとも2022年1月21日~2022年8月24日
Qoo10サイト・au PAYサイト:遅くとも2022年2月1日以降

表示内容:
あたかも、商品は、投棄され又は埋め立てられても自然環境中で微生物によって水と二酸化炭素に分解される生分解性を有するかのように示す表示をしている又は表示をしていた。

(株)ネットワーク
商品:ペット用うんち処理袋1商品
表示媒体、表示期間:
商品パッケージ・商品本体:遅くとも2022年4月20日以降
自社Webサイト:遅くとも2022年4月20日~2022年11月10日

表示内容:
あたかも、商品は、使い捨てられてもゴミ廃棄場や自然環境中で約2年で生分解される生分解性を有するかのように示す表示をしている又は表示をしていた。

違反表示例:TJC(株)(ゴミ袋 ヤフーサイト)

(消費者庁発表資料より抜粋)

なお、TJC、ネットワークは、本件8商品について措置命令が発出された時点において違反認定された表示を継続しており、表示を取りやめるよう命じられています。

カトラリー、ストロー、カップ等の販売事業者2社
(株)BMターゲット
商品:カトラリー1商品、ストロー1商品、カップ3商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト:遅くとも2022年1月20日以降
楽天市場サイト:遅くとも2022年1月20日~2022年12月7日
商品パッケージ:遅くとも2022年2月26日~2022年11月14日

表示内容:
あたかも、商品は、使い捨てられても約3か月で土や海に還る生分解性を有するかのように示す表示をしている又は表示をしていた。

違反表示例:(株)BMターゲット(自社サイト カトラリー)

(消費者庁発表資料より抜粋)

なお、BMターゲットは、本件5商品について措置命令が発出された時点において違反認定された表示を継続しており、表示を取りやめるよう命じられています。

(株)みやこ
商品:カップ・蓋20商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト:遅くとも2022年2月18日~2022年3月7日
メールマガジン:2021年7月25日、2,022年1月25日

表示内容:
あたかも、商品は、土中に埋めるだけで数年で炭酸ガスと水に分解され、土に還る生分解性を有するかのように示す表示をしていた。

釣り用品の販売事業者
マルキュー(株)
商品:疑似餌31商品
表示媒体、表示期間:
自社Webサイト:遅くとも2022年2月16日以降、商品パッケージ:遅くとも2016年1月1日以降
販促ツール(2種):遅くとも2022年3月20日以降
小冊子:少なくとも2021年5月10日~2022年5月31日
会報における広告:2022年1月10日、2022年3月10日、2022年5月11日
カタログ(2種):少なくとも2020年1月20日~2020年12月31日

表示内容:
あたかも、商品は、使用後に水中に残されたままでも、水中の微生物によって分解される生分解性を有するかのように示す表示をしている又は表示をしていた。

違反表示例:マルキュー(株)(自社サイト 疑似餌)

(消費者庁発表資料より抜粋)

なお、マルキューは、本件31商品のうち30商品について、措置命令が発出された時点において違反認定された表示を継続しており、表示を取りやめるよう命じられています。

実際:
10社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

なぜ、合理的根拠として認められなかったのか?

報道によると、次のように説明されています。

消費者庁の求めに応じて、各社からは表示の裏付け資料が提出された。消費者庁の担当官によると、「多種多様な資料が提出されたが、その多くは産業用コンポストの環境下で試験したものであり、たい肥化の大規模施設で分解されたという内容だった」(表示対策課)。

 各社の広告では、「使い捨てられても」「土中に埋めるだけで」「水中に残されたままでも」というように、土中や水中の環境下に捨てても生分解される旨を説明していた。

 産業用コンポスト処理施設の場合、約60℃の高温で処理する。このため、各社の提出資料と広告の間には環境条件で乖離があり、表示を裏付ける根拠と認められなかった。

通販通信ECMO 2022.12.23

表示の「合理的根拠」として認められるためには、資料が客観的に実証された内容のものであると同時に、表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していることの2つの要件が求められます。

過去の不実証広告規制による処分事案においても、根拠資料のデータと表示された商品の使用環境の不一致により合理的根拠とみられなかったケースが多数あります。

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《関連記事》
・投てき消火用具の消火効果表示、販売業者5社に景表法措置命令。求められる信頼回復対応(消費者庁 2022年5月25日)
・「クレベリン」の大幸薬品に景表法措置命令。「空間除菌製品」の除菌効果表示の合理的根拠に波紋(消費者庁 2022年1月20日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。