今回の措置命令事案は、看板表示のわかりにくい税抜き価格表示に対する有利誤認表示です。
消費者庁は12月16日に、福岡県の石油製品販売会社(有)菊池商事(糸島市)と(株)プレイズ(福岡市)のガソリンスタンドの看板の価格表示に対し、景品表示法の措置命令を行いました。
消費者庁及び公正取引委員会事務総局九州事務所の調査による事案です。
2社は共にガソリンや軽油の価格を消費税抜きで表示しており、「税別」の表示はありましたが文字が小さいため、表示価格が税込み価格という認識を打ち消すものとは認められず、有利誤認表示とみなされました。
わかりにくい税抜き価格表示に対する措置命令は初めてとなります。
処分の概要と、消費税法の「総額表示」ルール、打消し表示についての景品表示法上留意すべきポイントを確認してみましょう。
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石油製品の販売事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2021年12月16日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_211216_2.pdf
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●違反内容
【対象商品】
レギュラーガソリン、ハイオクガソリン及び軽油
【表示媒体】
ガソリンスタンドの看板
【表示期間】
菊池商事:
2021年5月31日、7月1日、8日、15日、24日、8月8日、19日、9月2日、23日
プレイズ:
2021年10月10日
【表示内容】
菊池商事:
例えば、「セルフプレミアム」と称するガソリンスタンドの看板において、「レギュラー129」、「ハイオク139」及び「軽油109」と価格を表示。
プレイズ:
「糸島セルフサービスステーション」と称するガソリンスタンドの看板において、「ハイオク148」、「レギュラー138」及び「軽油117」と価格を表示。
いずれも、あたかも、価格が消費税を含めた価格(税込価格)であるかのように表示していた。
実際:
価格は消費税を含まない価格であって、税込価格ではなかった。
打消し表示:
表示には「税別」と表示していたが、当該表示は小さな文字で記載されていること等から、一般消費者の表示価格が税込み価格であるという認識を打ち消すものではない。
【表示例】
なお、プレイズは、処分を前に不当表示を認める謝罪広告を日刊新聞紙2紙に掲載しており、再発防止策を講じることと同様の違反表示を行わないことのみ命じています。
次ページでは、消費税法上の総額表示のルール、景品表示法上の打消し表示のポイントについて確認します。
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