実生活空間での試験にこだわる、消費者庁の空間除菌製品の菌・ウイルス除去効果に対する合理的根拠の見解
消費者庁記者会見報道によると、提出された根拠資料は商品を用いた試験データではなく、実生活における効果を評価できるものではなかったとしています。
その内容は、自社実験による学術雑誌に投稿した論文で、浮遊菌については、ステンレスで囲まれた6畳の広さに相当する密閉された実験室、付着ウィルスについは、1立方メートルの狭い空間内で、二酸化塩素ガスの発生機のようなものを用いて、商品から発生するガスと同濃度のガスを流し、浮遊する菌やウィルスが除去されるというもの。
消費者庁の担当官は、昨年12月の大木製薬とCLO2 Labの「空間除菌製品」の事案同様の見解を述べています。
「実生活における空間は人が動くことで埃も立つし、換気や湿度・温度、気候条件などがあり、密閉空間とは異なる」
「身の回りに浮遊しているウイルスなどを除去する効果を実生活空間で裏付けるものではなかったと判断した」
「二酸化塩素のような薬剤を空間に噴霧してウイルスや菌を消毒、ないし除菌するという評価方法は日本でも海外でも、基本的に確立されていないと理解している」
なぜ、「置き型」空間除菌製品だけが菌・ウイルス除去効果が認められたのか
大幸薬品によると、今回措置命令の対象となったクレベリン商品4商品(スティックタイプ2商品、スプレータイプ2商品)以外にも、「置き型」タイプのサイズ違いの2商品に対しても、「措置命令案」が消費者庁から示されていたということです。
今回の措置命令の対象が、なぜ、4商品のみになったのか。
同社は、今回の措置命令を不服として、命令が発出された1月20日付で会社HPに公表した文書において、その経緯を次のように説明しています。
2021年11月26日
二酸化塩素による空間除菌を目的とするクレベリン6商品(スティックタイプ2商品、スプレータイプ2商品、「置き型」タイプ2商品)の表示に対して、消費者庁から措置命令案についての弁明の機会を付与された。
2021年12月14日
これに対して、当社は措置命令の差し止め訴訟を東京地方裁判所に提起、同時に仮の差止の申し立てを行った。
2022年1月12日
結果、東京地裁は「クレベリン置き型」2商品については、当社が消費者庁に提出した試験結果等が、二酸化塩素による除菌・ウィルス除去効果の裏付けとなる合理的根拠に当たることを認め、措置命令の仮の差止の決定をした。
しかし、他の4商品(スティックタイプ2商品、スプレータイプ2商品)については認められなかった。
2022年1月13日
当社は、主張が認められなかった4商品について、東京高等裁判所に対して、即時抗告を申し立てた。
2022年年1月20日
消費者庁は、東京高裁での審理が開始される前に、4商品について措置命令を出した。
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「『クレベリン置き型』に関する仮の差し止めの申し立てにおける勝訴と本日の措置命令について」(大幸薬品(株)2022年1月20日)
https://www.seirogan.co.jp/internal/uploads/arrival/pdf_656.pdf
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「置き型」商品についての広告の訴求内容を確認すると、スティックタイプやスプレータイプ同様、閉鎖空間における試験での、空間や物に付着したウィルスや菌の除去効果をうたっています。東京地裁が合理的根拠に当たることを認めた、同社の「消費者庁に提出した試験結果等」の内容は確認できませんが、結論として、「置き型」では空間での菌・ウィルス除去効果が認められ、スティックタイプやスプレータイプでは認められず、措置命令が出されたということになります。
次ページでは、「置き型」では認められ、スティックタイプやスプレータイプでは認められなかった、空間での菌・ウィルス除去効果について考察します。
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