「クレベリン」の大幸薬品に景表法措置命令。「空間除菌製品」の除菌効果表示の合理的根拠に波紋(消費者庁 2022年1月20日)

昨年12月の大木製薬とCLO2 Labに続き、「クレベリン」の大幸薬品にも景品表示法違反の措置命令が出されました。

1月20日、消費者庁は日用品雑貨の製造販売業者の大幸薬品(株)(大阪府吹田市)に対し、販売していた空間除菌関連商品の菌・ウイルス除去効果表示に、「合理的な根拠」が認められないとして、不実証広告規制(※)優良誤認認定をしています。

今回措置命令の対象となったのは、クレベリン商品4商品(スティックタイプ2商品、スプレータイプ2商品)で、当初、命令の対象だった「置き型」タイプ2商品は対象外となっています。
背景として、大幸薬品が消費者庁の命令案を不服として差し止め訴訟を行い、「置き型」に対しては東京地裁では合理的根拠が認められたことがあります。スティックタイプ、スプレータイプについても、取消訴訟や審査請求を行う構えで、波紋を呼んでいます。
同社のいずれの商品表示も、措置命令の発出された時点において、誤認表示を継続しています。

処分の概要と、物議をかもしている空間除菌関連商品の菌・ウイルス除去効果の合理的根拠について考察します。

———-
大幸薬品株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2022年1月20日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_220120_01.pdf
———
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。 ⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。


【対象商品・表示期間】
「クレベリン スティック ペンタイプ」2018年9月13日~現在
「クレベリン スティック フックタイプ」2018年9月14日~現在
「クレベリン スプレー」2020年9月13日~現在
「クレベリン ミニスプレー」2020年9月13日~現在

(消費者庁記者会見資料より引用)

【表示媒体】
商品パッケージ
「TAIKO」と称する自社ウェブサイト

【違反内容】
表示内容:
例えば、「クレベリン スティック ペンタイプ」の商品パッケージにおいて、「空間に浮遊するウイルス・菌を除去 ※」、「身の回りの空間のウイルス・菌を除去するスティックタイプです。」等と表示。

《打消し表示》
「※当社試験 閉鎖空間で二酸化塩素により特定の『浮遊ウイルス・浮遊菌』の除去を確認。」

あたかも、対象4商品を使用すれば、商品から発生する二酸化塩素の作用により、電車、バス、オフィス、ベビーベッド、デスク、玄関、トイレ、公衆トイレ等の場所において、身の回りの空間に浮遊するウイルスや菌が除去又は除菌される効果が得られるかのように示す表示をしている又は表示をしていた。

表示例: パッケージ(赤枠部分、打消し表示)

(消費者庁発表資料より抜粋)

実際:
消費者庁は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

なお、「ご利用環境により成分の広がりは異なります。」、「ウイルス・菌のすべてを除去できるものではありません。」等の打消し表示は、一般消費者が表示から受ける当該商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。

次ページでは、消費者庁の空間除菌製品の菌・ウイルス除去効果の合理的根拠の見解について示します。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。