第三者認証基準を超える性能表現が問題に。タイガーの電気ケトルの転倒湯もれ防止表示に景表法措置命令(消費者庁 2021年8月31日)

●転倒流水対策Sマーク認証基準を超える、行き過ぎた性能表現が問題に
タイガー魔法瓶は措置命令を受けた同日に、発表した「電気ケトル「PCK-A080」に関するお詫びとお知らせ」において、「本件表示は景品表示法違反とされたが、商品は第三者認証機関である一般財団法人日本品質保証機構等の「電気湯沸器(電気ケトル及び電気ポット)の転倒流水対策に係る取り扱い運用」(※3)に定めるSマーク認証基準を満たす性能を有しており、転倒時のお湯もれによる事故の未然防止の観点からは十分な安全性を備えているため、今後も安心して使用できる」と説明しています。

電気ケトル「PCK-A080」に関するお詫びとお知らせ
(タイガー魔法瓶(株)2021年8月31日)
https://www.tiger.jp/news/information/info_210831.html

Sマーク認証基準の試験条件では、水平に保ったゴムなどの滑り止めのある台の上に製品本体を載せ、静かに台を傾けて行き、厚さ30mm のラワン板上に転倒させた際の湯の流出量が50mL 以下であることとされています。

本件テレビコマーシャルでのシーンのように、つまずいて商品をソファ上に落とすといった衝撃を与えるものではなく、また、50mL以下であれば湯の流出が認められるものです。

(※3)

電気湯沸器(電気ケトル及び電気ポット)の転倒流水対策に係る取扱運用
(電気製品認証協議会 2013年3月22日付制定)
http://www.s-ninsho.com/pdf/tsuika11_kijun.pdf

転倒時のお湯もれ防止機能の安全性は確保されていたものの、それを強調するあまり、優良誤認表示と認定されてしまったケースといえます。
広告制作にあたっては広告で訴求する内容と根拠データとが適切に対応したものとなるよう、十分注意が必要です。

======================================
◆広告法務コンサルティング・社員教育◆
販促・広報戦略、商品表示・広告チェック社内体制構築等、
社外専門家としてのノウハウとサポート
詳細はこちら
======================================

《関連記事》

続く、東京都の子供用ライフジャケットの浮力表示に対する景品表示法措置命令(東京都 2020年4月7日)

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。

登録はこちら

————————————————————-

1 2

3

関連記事

  1. 免研アソシエイツ協会、糖鎖サプリ栄養機能食品の容器包装表示に食品表示法…

  2. 続く中古自動車の景表法措置命令。(株)オートアクション、「修復歴」表示…

  3. ドミノ・ピザ、チラシの価格表示に景表法措置命令。打消し表示は消費者目線…

  4. 「chocoZAP」にステマ告示2事案目。自社WebサイトのSNSタイ…

  5. 埼玉県、社会福祉組合の「火災保険等を利用した雨どいの補修工事」に景表法…

  6. 除菌用スプレー 成分濃度表示下回る7社に景表法措置命令。コロナ関連商材…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

最近の記事

2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。