消費者庁は6月3日、通販事業者(株)ハウワイ(大阪市中央区)に対し、まつ毛美容液の育毛効果とダイエット茶の痩身効果の表示について、景品表示法違反(優良誤認)の措置命令を行いました。
今回の違反も不実証広告規制(※)を用いた処分となっており、表示の裏付けとなる「合理的な根拠」が認められませんでした。なお、「コメントは個人の感想です。使用感には個人差があります」、「ハウワイに寄せられたお客様の声であり、効果ではありません。」と打消し表示をしていましたが、打消し効果は認められませんでした。
まつ毛美容液を巡っては、使用して目の周りが腫れたなどの危害が急増し、2019年8月に国民生活センターによる効能等表示の調査も行われており、同社商品は調査対象銘柄として指摘を受けていました。
ハウワイは措置命令に対する謝罪告知において、購入代金の返金対応を行うと発表しています。
違反概要と、措置命令に対する同社の対応について確認します。
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株式会社ハウワイに対する景品表示法に基づく措置命令について
(2021年6月3日 消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/024373/
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。
【事業者の概要】
(株)ハウワイ
大阪市中央区、通信販売業
【対象商品】
「エターナルアイラッシュ」と称する商品
「重ね発酵ハーブ茶」と称する食品
【表示媒体】
自社ウェブサイト
【表示期間】
2020年7月6日~10日までの間、同月13日~17日までの間、同月21日
【違反内容】
エターナルアイラッシュ:
人物のまつ毛の長さの比較画像と共に、
「2週間でまつ毛が伸びる↑『エターナルアイラッシュ』の効果がすごすぎる」、「たった2週間でこんなにまつ毛が伸びてきた」等と表示することにより、あたかも、本件商品を使用するだけで、商品に含まれる成分の作用により、著しいまつ毛の育毛効果が得られるかのように示す表示をしていた。
表示例(エターナルアイラッシュ):
(消費者庁公表資料より引用)
重ね発酵ハーブ茶:
人物の上半身及び本件商品の画像と共に、
「飲むだけ 無理せず-10㎏ダイエット」、「減量アプローチ」、「カロリーブロック」、「するっとお通じ」、「いつもの食事と一緒に飲むだけ重ね発酵ハーブ茶」等と、表示することにより、あたかも、普段摂取している飲料を本件商品に替えるだけで、商品に含まれる成分の作用により、容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
表示例(重ね発酵ハーブ茶):
(消費者庁公表資料より引用)
実際:
同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
●打消し表示について
重ね発酵ハーブ茶の表示について、「※コメントは個人の感想です。使用感には個人差があります。」及び「※ハウワイに寄せられたお客様の声であり、効果ではありません。」と表示していましたが、当該表示は、一般消費者が対象表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではない、とみなされています。
表示例:
(消費者庁公表資料より引用 赤枠部分)
●措置命令に対する対応
ハウワイは自社ホームページ上で措置命令に対する謝罪文を公表し、該当商品の購入者に対して購入代金の返金を行うとしています。また、今回の措置命令の対象表示媒体とならなかったAmazon、楽天市場、ヤフーショッピング、Q10、auPAYマーケットにおける自社ショップサイトに関しても返金対応を行うとしています。
これは、ネットショッピングでの消費者行動として、公式サイトの表示を見て、各自の都合の良いショッピングモールで購入するというケースが考えられるため、丁寧な対応と言えます。
ただし、告知方法が販売サイトではなくコーポレートサイト上のみで、件名も「景品表示法(優良誤認)に該当する措置命令についてのお知らせとお詫び」となっており、返金条件など返金方法についても触れられておらず、顧客からの問合せを受けてからの対応となっている点は、改善の余地があると考えられます。
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景品表示法(優良誤認)に該当する措置命令についてのお知らせとお詫び
((株)ハウワイ 2021年6月4日)
https://cart.ruban-blanc.shop/user_data/shazai_hp.php
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●急増するまつ毛美容液による危害 国センの指摘に対応徹底できず
まつ毛美容液に関しては、使用して目の周りが腫れたなどの皮膚障害を訴える消費者相談が2018年度に急増しており、2019年8月に国民生活センターが、まつ毛美容液に関する相談情報と表示等を調べ、消費者への情報提供と業界・事業者、行政への要望及びネットショッピングモール運営事業者への協力依頼を行っています。
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急増するまつ毛美容液による危害。医薬部外品、効能等表示に注意!
(国民生活センター調査 2019年8月)
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この国民生活センターが行った表示の調査の対象銘柄20銘柄の中に、ハウワイの「エターナルアイラッシュ」が含まれていました。本調査では、販売者のウェブサイトには「育毛」「発毛を促す」等に関する表示は確認されませんでしたが、商品本体、商品パッケージ、取扱説明書等において、「深く浸透美まつげ再生」、Beforeにまつ毛が短い写真とAfterにまつ毛の長い写真の表示が確認され、薬機法上問題となるおそれが指摘されています。
国民生活センターからの改善要望に対して、ハウワイは以下のように回答しています。
「深く浸透美まつげ再生」がある表記の対応が2019年7月31日に対応完了済みとなっており、内容についても社内で共有している。Before/Afterについての内容は現在使用しておらず、今後使用しないことについても社内で周知している。」
適正広告管理が社内において徹底していなかったことは、非常に残念です。
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≪参考記事≫
・痩身系健康茶「メタボメ茶」、ティーライフ(株)に対し2度目の景表法措置命令。体験談は「ダイエットプーアール茶」?(消費者庁:平成29年9月29日)
・健康被害の「ケトジェンヌ」、景表法で措置命令。ダイエット方法による体質改善訴求も優良誤認認定 (消費者庁 2020年3月19日)
・国民生活センターの商品テストや情報公開を、前向きに活用しよう
https://blog.fides-cd.co.jp/article/285497072.html
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