クリエイト、マンションの光回線設備設置済みをうたった、ネット接続サービス契約のおとり広告に景表法措置命令(消費者庁:2021年6月2日)

コロナ禍において、リモート在宅ワークを行うにも、巣ごもりでネット動画を視聴するにも、自宅の快適な通信環境は不可欠ですね。
集合住宅で通信速度が遅くてイライラしたり、自宅をWifi環境にしたいといったニーズが高まっているのではないでしょうか。

そんな中、消費者庁は6月2日に、インターネット通信回線の取次業者クリエイト(株)(東京都港区)のインターネット接続サービス契約のチラシ広告に関する表示に対し、景品表示法の措置命令を行いました。
※クリエイトは、2020年8月1日付けで中央スマートテック(株)から商号変更。

同社は、マンションの管理会社を装って、あたかも当該マンションに光ファイバー設備が設置されており、光回線インターネット接続サービスを提供できるかのように表示したチラシを配布していました。実際には、配布先のマンションには光ファイバー設備が設置されておらず、当該接続サービスの契約に応じることができず、ホームルーター等の勧誘がなされ、おとり広告とみなされました。

なお、「マンションタイプ未設置の場合は、ファミリータイプ設備もしくは工事不要タイプのご案内をしております。」と打消し表示をしていましたが、打消し効果は認められませんでした。


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クリエイト株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(2021年6月2日 消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/024380/
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【事業者の概要】
クリエイト(株)
東京都港区、インターネット通信回線の取次業等
※クリエイトは、令和2年8月1日付けで中央スマートテック株式会社から商号変更したもの。

【対象役務】
「フレッツ光」と称する光回線インターネット接続サービスを利用した光回線インターネット接続サービスの契約に係る取次ぎに関する役務

【表示媒体】
集合住宅への投函により配布したチラシ

【表示期間】
2019年年5月頃、同年9月頃、同年12月頃から2020年4月頃までの間、同年6月頃及び同年8月頃から同年12月頃までの間

【違反内容】
表示:
例えば、
「建物共有インターネット設備に関するお知らせ」「当マンションにおきまして、NTT回線フレッツ光を利用した光ファイバー設備(インターネット回線)が設置済みのためご利用いただけますのでお知らせいたします。」等と表示。
あたかも、チラシを配布した集合住宅には「フレッツ光」と称する光回線インターネット接続サービスを利用するための設備が設置されており、当該集合住宅の居住者に対し、本件役務を提供することができるかのように表示していた。

実際:
チラシが配布された集合住宅には「フレッツ光」と称する光回線インターネット接続サービスを利用するための設備は設置されておらず、クリエイトは、当該集合住宅の居住者に対し、本件役務の取引に応じることができないものであった。

●打消し表示について
「■マンションタイプ未設置の場合は、ファミリータイプ設備もしくは工事不要タイプのご案内をしております。」と表示していましたが、当該表示は、一般消費者が対象表示から受ける本件役務の提供に関する認識を打ち消すものではない、とみなされています。

表示例(チラシ):
(消費者庁公表資料より引用)


また、消費者庁では「光回線インターネット接続サービスのおとり広告に関する注意」として、SNS(Twitter、Facebook)を通じて一般消費者等への注意喚起を行っています。

消費者庁 Twitter  https://twitter.com/caa_shohishacho
消費者庁 Facebook  https://www.facebook.com/caa.shohishacho

不当表示となる「おとり広告」とは

景品表示法における「おとり広告」では、次のように、商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず、購入できるかのような表示を不当表示として規定しています。

(1)取引の申出に係る商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品・サービスについての表示
(2)取引の申出に係る商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(3)取引の申出に係る商品・サービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(4)取引の申出に係る商品・サービスについて、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品・サービスについての表示

本事案では、(1)に抵触したものと考えられます。

「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/public_notice/pdf/100121premiums_17.pdf

「おとり広告に関する表示」に関する運用基準
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_31.pdf

≪参考記事≫
・ソフトバンク「いい買物の日」のキャンペーンでApple Watchのおとり広告に景表法措置命令。(消費者庁:平成29年7月27日)

・東京ガスの[ガス展」のチラシ広告にに景表法措置命令。二重価格による有利誤認表示(東京ガス)、おとり広告(ガス機器販売業者2社) (消費者庁:平成29年7月11日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。