7月4日、消費者庁は、光触媒を使用したマスクの販売事業者4社に対し、4社が供給するマスクの「花粉を分解する」などの表示について、景品表示法違反(優良誤認)の措置命令を行いました。
優良誤認は不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。
今回の処分では、不実証広告規制で求められる表示の裏付けとなる「合理的な根拠」として、どのように機能性の検証を行うか、表示との整合性の問題が争点となっています。
処分のポイントと各社の対応について確認します。
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光触媒を使用したマスクの販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2019年7月4日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/015760/
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。
●違反概要
(1)DR.C医薬株式会社
対象商品:医師が考えた新しい発想のマスク 花粉を水に変えるマスク(18商品)
表示媒体:容器包装
表示期間:2018年1月以降 14商品 2018年4月以降 4商品
表示内容:
あたかも、対象商品を装着すれば、商品に含まれるハイドロ銀チタンの効果によって、商品に付着した花粉、ハウスダスト及びカビのそれぞれに由来するアレルギーの原因となる物質並びに、悪臭の原因となる物質を化学的に分解して水に変えることにより、これらの物質が体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
違反表示例:
(2)アイリスオーヤマ株式会社
対象商品:光の力で分解するマスク
表示媒体:容器包装
表示期間:2018年8月27日~2019年6月30日
表示内容:
あたかも、対象商品を装着すれば、太陽光及び室内光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉、ウイルス、細菌、ハウスダスト及び、悪臭の原因となる物質を化学的に二酸化炭素と水に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
違反表示例:
(3)大正製薬株式会社
対象商品:パブロンマスク365 (3商品)
表示媒体:容器包装
表示期間:2018年3月1日以降(1商品) 2013年10月18日以降(2商品)
表示内容:
あたかも、対象商品を装着すれば、太陽光及び室内光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉由来のアレルギーの原因となる物質、細菌、ウイルス及び、悪臭の原因となる物質を化学的に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
違反表示例:
(4)玉川衛材株式会社
対象商品:フィッティ 吸着分解マスク スーパーフィット (2商品)
表示媒体:容器包装
表示期間:2015年9月以降
表示内容:
あたかも、対象商品を装着すれば、太陽光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉由来のアレルギーの原因となる物質、細菌、ウイルスを化学的に二酸化炭素と水に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
違反表示例:
実際:
4社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
処分に対する各社の対応は、4社4様で、全面的に処分を受け入れたのはアイリスオーヤマのみです。
DR.C医薬は、措置命令の内容を精査したうえで今後の対応等を検討するとしています。
アイリスオーヤマは、今回の違反は発売前の光触媒に対する検証不足として、措置命令を受ける前6月30日に販売終了。
玉川衛材はパッケージの文言の追加や修正等を行うとしています。
大正製薬は7月12日付で措置命令に関する見解をHPに公表し、今後、法的に採り得る対応・措置を検討中としています。
次回は、処分に対する各社の対応について、もう少し詳しく確認します。
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