景表法課徴金制度の初の適用は4億8507万円!三菱自、日産に措置命令(消費者庁:平成28年1月27日)

1月27日、消費者庁は三菱自動車工業(株)に対し、特約販売契約を締結する自動車販売業者を通じて供給する軽自動車並びに普通自動車に関する表示について、景品表示法違反(優良誤認) の措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
課徴金は4億8507万円。2016年4月にスタートした景表法に基づく課徴金制度の初の適用となります。
また、同社からのOEM供給で軽自動車を販売していた日産自動車(株)に対しても、景品表示法違反(優良誤認) の措置命令を行いました。
三菱、日産共に消費者庁長官が認定した返金措置も公表されています。

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三菱自動車工業株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令並びに日産自動車株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 平成29年1月27日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/170127premiums_1.pdf
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●三菱自動車工業:違反行為の概要
【対象商品・表示媒体・期間】
対象商品:
ア) 軽自動車「eK ワゴン」「eK カスタム」「eKスペース」「eKスペースカスタム」38商品
イ) 普通自動車等「ミラージュ」「RVR」「パジェロ」「デリカ D:5」「アウトランダーPHEV」29商品
表示媒体・期間:
ア)カタログ及び自社ウェブサイト
遅くとも平成28年4月1日~4月20日
イ)カタログ及び自社ウェブサイト
遅くとも平成28年4月1日~8月12日 (デリカ D:5 LLHFZ(V00)のみ)
遅くとも平成28年4月1日~8月30日

【違反内容 ア) 軽自動車】
表示内容:
あたかも、国が定める試験方法に基づく燃費性能は、「燃料消費率(国土交通省審査値)」(表示例:30.4km/L)/「燃費基準達成状況」(表示例:平成32年度燃費基準+20%達成車)であるかのように示す表示をしていた。
実際:
表示された燃費性能は、国が定める試験方法に基づくものとはいえないものであった。
三菱自動車工業は、表示例の自動車の燃料消費率について、自ら測定した値を基に「30.4km/L」で国へ届出を行っていた。この届出を受け、国が行う自動車の型式指定審査時において、「30.4 ㎞/L」が、国が定め又は採用する試験方法に基づき測定された燃料消費率の値であることが認められたことから、三菱自動車工業は「国土交通省審査値」として「30.4 ㎞/L」と表示をしていた。
国が改めて表示例の自動車の燃料消費率について確認を行ったところ、当該自動車の燃費性能として表示できる上限は、(表示例:「燃料消費率(国土交通省審査値)26.1km/L/燃費基準達成状況 平成32年度燃費基準達成車」)であって、当該値を超えた値及び基準の達成状況を表示することはできないものであった。

【違反内容 イ) 普通自動車等】
表示内容:
あたかも、国が定める試験方法に基づく燃費性能は、「燃料消費率(国土交通省審査値)」(表示例:25.4km/L)及び「燃費基準達成状況」(表示例:平成27年度燃費基準+5%達成車)並びに「ハイブリッド燃料消費率」(表示例:20.0㎞/L)であるかのように示す表示をしていた。
実際:
表示された燃費性能は、国が定める試験方法に基づくものとはいえないものであって、燃費性能として表示できる上限は、「燃料消費率(国土交通省審査値)」(表示例:24.0km/L)及び「燃費基準達成状況」(表示例:平成27年度燃費基準未達成車」)並びに「ハイブリッド燃料消費率」(表示例:19.4㎞/L)であって、当該値を超えた値及び基準の達成状況を表示することはできないものであった。

燃料消費率(国土交通省審査値)について:
自動車の製造販売業者等は、自らが製造販売等を行う自動車について、国が定め又は採用する試験方法に基づき測定した燃料消費率が、国において測定した値以下である場合に、当該燃料消費率を「国土交通省審査値」として用いることができる。
エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和54年法律第49号)の対象となる自動車について、燃料消費率をカタログに表示することが義務付けられている。
燃費基準達成状況について:
自動車の製造販売業者等は、国が燃料消費率と車両重量に基づき判定した平成32年度燃費基準又は平成27年度燃費基準の達成状況をカタログ等に表示している。

表示例:
ア)軽自動車
三菱自動車(軽)
イ)普通自動車等
三菱自動車(普通)
<例:RVR(XTSX、M、二輪駆動)
燃料消費率(国土交通省審査値):
16.6㎞/L(カタログの表示)/15.7㎞/L(実際に表示できる上限)
燃費基準達成状況:
平成27年度燃費基準+5%達成車(カタログの表示)/平成27年度燃費基準未達成車(実際に表示できる上限)
<例:アウトランダーPHEV(XDHHZ、G Premium Package、四輪駆動)
ハイブリッド燃料消費率(国土交通省審査値):
20.0㎞/L(カタログの表示)/19.4㎞/L(実際に表示できる上限)

●日産自動車工業:違反行為の概要
【対象商品・表示媒体・期間】
対象商品:
軽自動車「デイズ」「デイズルークス」27商品
表示媒体・期間:
カタログ及び自社ウェブサイト
遅くとも平成28年4月1日~4月20日

【違反内容】
表示内容:
あたかも、国が定める試験方法に基づく燃費性能は、「燃料消費率(国土交通省審査値)」(表示例:30.4km/L)/「燃費基準達成状況」(表示例:平成32年度燃費基準+20%達成車)であるかのように示す表示をしていた。
実際:
表示された燃費性能は、国が定める試験方法に基づくものとはいえないものであった。
当該自動車の燃費性能として表示できる上限は、(表示例:「燃料消費率(国土交通省審査値)26.1km/L/燃費基準達成状況 平成32年度燃費基準達成車」)であって、当該値を超えた値及び基準の達成状況を表示することはできないものであった。
表示例:
日産自動車(軽)

●三菱自動車工業:課徴金納付命令の概要
対象商品:
措置命令対象となったイ)普通自動車等29商品のうち26商品

課徴金対象行為をした期間:
カタログ:
平成28年4月1日から同年8月30日まで(「CHAMONIX」のみ同年8月5日まで)
(課徴金対象行為となる優良誤認表示のカタログをディーラーに対して最初に出荷した日及び最後に出荷した日)
自社ウェブサイト:
平成28年4月1日から同年8月30日まで(「CHAMONIX」のみ同年7月1日まで)
(課徴金対象行為となる優良誤認表示のウェブページの公開開始日及び公開終了日)

課徴金対象期間:
平成28年4月1日から同年8月30日まで(「CHAMONIX」のみ同年8月12日まで)
平成28年9月11日に誤認解消措置をとっていると認定される。
「CHAMONIX」については課徴金対象行為をやめた日(8月5日)から誤認解消措置をとった日(9月11日)までの間に最後に取引した日は8月12日であった。
その他の各商品については、課徴金対象行為をやめた日(8月30日)以降、誤認解消措置をとった日(9月11日)までの間に取引をしていない。
(誤認解消措置は課徴金の減額に関与せず)

課徴金負荷の対象外と認められる「相当の注意」について:
・三菱自動車工業は、本件26商品の燃費性能について改ざん等の行為を行い、また、当該行為の防止等を図るための管理監督を十分に行っていない。
・同社は、かかる状況の下、課徴金対象行為をしていたことから、当該行為をした期間を通じて対象表示が違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」とは認められない。

課徴金が減額される自主申告のタイミングについて:
同社の課徴金対象行為の報告は、平成28年8月31日午後であり、消費者庁が同社に対して調査の開始を通知した時(平成28年5月27日又は同年8月31日午前)より後である。
よって、当該報告は、当該課徴金対象行為についての調査があったことにより、課徴金納付命令があるべきことを予知してされたものである。(課徴金の半額減額は認められない)

課徴金の額:
同社は、平成29年8月28日までに、本件26商品の各商品の売上額に、それぞれ、3%を乗じて得た額(1万円未満の端数を切り捨て)4億8507万円を支払わなければならない。

●消費者庁長官が認定した返金措置
三菱自動車工業:軽自動車8商品
日産自動車:軽自動車20商品
お支払い金額の考え方:
・新届出燃費値と旧届出燃費値との差による燃料代の差額
・今後の車検時等に想定される自動車関連諸税の増額分
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認定された返金措置一覧(消費者庁HP)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/authorization_list/
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≪参考記事≫
・景表法課徴金は対象売上高の3%、課徴金賦課の対象外となるケースは?

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。