今回の気になるトピックは、「不当広告と謝罪告知のタイミング」について。
5月31日に、スギ薬局が販売している機能性表示食品「葛の花シリーズ」について不当な広告表現を行っていたとして、同社が全国紙での社告や自社のホームページ上で謝罪文を掲載しました。
問題となった商品は、同社が自社開発商品として全国のスギ薬局店舗で、9月5日から発売していました。
謝罪文によると、「葛の花由来イソフラボンには「お腹の脂肪を減らすことを助ける」機能があるとの機能性表示食品でありながら、本商品を摂取さえすれば、どんな条件下でも誰もが容易に痩身効果を得られる」と、機能性表示食品の機能性について届出内容を超える表示を行い、消費者に過度な期待を抱かせる内容だったとしています。
返品返金対応については触れられていません。
◆当社販売の機能性表示食品の表示に関するお知らせ
(株式会社スギ薬局 2017年5月31日)
http://www.drug-sugi.co.jp/business/pdf/20170531.pdf
今回の告知は景表法措置命令などの行政処分によるものではなく、自主的な判断と思われます。
そのため、どのような経緯で謝罪に至ったのか、問題となった広告表現が具体的にどのような内容のものであったのか等については、同社が公表した以上の情報は示されておらず、確認することができません。
ただ、行政機関から指摘を受けての対処であれば、措置命令や課徴金を受けるリスク回避ともいえます。
仮に、措置命令に発展し、課徴金が課されるとなった場合、社告掲載が誤認解消措置とみなされれば、課徴金対象期間を短縮させることができます。
また、日本サプリメント、佐藤園と大正製薬のトクホ関与成分が規定値に満たなかった問題では、許可取消し処分の判断を分けた基準の一つとなったのが、事業者が事態を認識してからの対応スピードにあります。
(5月24日の岡村消費者庁長官が記者会見で言及しています)
このような行政と事業者の駆け引きといった側面も否めませんが、少しでも問題があると認識したのであれば、単に広告物を見直すだけでなく、その内容を一般消費者に周知するという対応も真摯な消費者対応として大きく評価されることでしょう。
大切なことは、違反となるかならないかを争うことではなく、如何にお客様に信頼される情報提供を行うかにあると思います。
◆「葛の花」の機能性表示食品で不当広告、スギ薬局が謝罪
(健康情報ニュース.com 2017年5月31日)
http://xn--zck9awe6d372qg1j87ki4d.com/290531_dm1248-4/
◆岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成29年5月24日)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/170524c_kaiken.html
≪関連記事≫
・平成28年度トクホ買上調査結果公表 2製品が含有量不足で自主回収(消費者庁 2017年5月17日)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/450115336.html
・トクホ、特別用途食品品質調査結果公表 許可取り消しの判断根拠 (平成28年11月 消費者庁)
・3年目に入った機能性表示食品制度最新動向。消費者庁の体制も本格化
消費者庁 平成28年度:機能性表示食品制度の施行状況について
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