9月23日、消費者庁はキューサイ(株)子会社の日本サプリメント(株)(大阪市)が販売する「ぺプチド茶」「ペプチドストレート」「ペプチドスープEX」「ペプチドエースつぶタイプ」、「食前茶」、「豆鼓エキスつぶタイプ」の6商品について、特定保健用食品の表示許可の取消しを行いました。
許可取り消しは、1991年にトクホ制度が始まって以来初めてとなります。
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特定保健用食品の許可取消しについて
(消費者庁 平成28年9月23日)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1555.pdf
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健康増進法では、以下に該当する場合に特定保健用食品の許可を取り消すことができるとしています。(第28条)
1)内閣府令で定める義務表示事項(※1)を適正に表示していない場合等、第26条第6項の規定に違反したとき。
2)当該特定保健用食品について虚偽の表示をしたとき。
3)当該許可を受けた日以降における科学的知見の充実により、当該特定保健用食品について当該特定保健用食品表示をすることが適切でないことが判明するに至ったとき。
今回の取り消しの根拠は、健康増進法第28条第1号及び第3号によるものです。
日本サプリメント(株)が9月17日、自社HPに掲載した「お詫びとお知らせ」から、今回の許可取り消しに至った経緯を確認します。
<対象商品>
ペプチドエースつぶタイプ、ペプチドエースつぶタイプハーフサイズ、ペプチド茶、ペプチドストレート、ペプチドスープEX
<対象表示>
商品裏面に、1日当たりの摂取目安量を摂取した場合の関与成分の含有量として、以下のとおり記載。
ペプチドエースつぶタイプ、ペプチドエースつぶタイプハーフサイズ:
かつお節オリゴペプチド…1.5g(LKPNMとして 5㎎)
ペプチド茶:かつお節オリゴペプチド…1.5g(LKPNMとして 5㎎)
ペプチドストレート:かつお節オリゴペプチド…1.5g(LKPNMとして 5㎎)
ペプチドスープEX:かつお節オリゴペプチド…1.5g(LKPNMとして 5㎎)
ペプチドシリーズの関与成分として記載されているLKPNMの含有量が、規格値を満たさない疑義があること等が判明した。
→内閣府令で定める義務表示事項(※)を適正に表示していない場合等、第26条第6項の規定に違反。
<対象商品>
豆鼓エキスつぶタイプ、豆鼓エキスつぶタイプハーフサイズ、食前茶
<対象表示>
商品裏面に、1日当たりの摂取目安量を摂取した場合の関与成分の含有量として、以下のとおり記載。
豆鼓エキスつぶタイプ、豆鼓エキスつぶタイプハーフサイズ:
豆鼓エキス トリスとして・・・0.18㎎
食前茶:豆鼓エキス・・・(トリスとして0.18㎎)
豆鼓シリーズの関与成分として記載されているトリスが商品中に含まれていないこと等が判明した。
許可申請時点では、当時の分析技術や知見に基づいて、関与成分をトリスと同定し許可を取得していたが、その後の自主検査において現在の分析技術を用いて再検討したところ、日本サプリメントがトリスと同定していた成分はトリスとは異なる成分であると同定され、関与成分はトリスとは異なる成分であることが判明したことによるもの。
→当該許可を受けた日以降における科学的知見の充実により、当該特定保健用食品について当該特定保健用食品表示をすることが適切でないことが判明するに至った。
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消費者庁の調べでは、会社側はこうした事実を2014年の自社検査で認識していたが、同庁に9月15日に報告するまで、2年以上公表せずに販売を続けていたということです。
日本サプリメントは、「お詫びとお知らせ」において、以下のように記載しています。
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(日本サプリメント株式会社HP)
ペプチドシリーズについてのお詫びとお知らせ
豆鼓シリーズについてのお詫びとお知らせ
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「対象商品には、「本品はかつお節オリゴペプチドを配合した食品で、血圧が高めの方に適した食品です。」と表示されています。かつお節オリゴペプチドが血圧が高めの方に適した食品であることは、ACE阻害活性の値から判断することができます。
そして、弊社が販売した対象商品はかつお節オリゴペプチドを含むものであり、かつ、原料(かつお節オリゴペプチド)レベルにおいてACE阻害活性の必要値が満たされていることを確認しております。」「対象商品には、「本品は、豆鼓エキスを含んでおり、糖の吸収をおだやかにするので、血糖値が気になり始めた方に適した食品です。」と表示されています。豆鼓エキスが糖の吸収をおだやかにすることは、α-グルコシダーゼ阻害活性の値から判断することができます。
そして、弊社が販売した対象商品は豆鼓エキスを含むものであり、かつ、原料(豆鼓エキス)レベルにおいてα-グルコシダーゼ阻害活性の必要値が満たされていることを確認しております。」
効果のある成分が規格値を満たしていない、特定できていない状況であり、機能性表示の届出もなされていない商品において、その原料について「血圧が高めの方に適した」「糖の吸収をおだやかにする」といった機能性を謳うことは問題であると考えます。
このような同社の認識が、2年以上公表せずに販売継続していた経営判断につながったのではないでしょうか。
また、本件を重く受け止めた消費者庁は、業界団体(公財)日本健康・栄養食品協会に対して、特定保健用食品中の関与成分量が許可等申請書の記載どおり適切に含まれているか調査を依頼し、期日までに回答を求めました。
今後は、協会を通じてトクホの許可を受けている事業者に対し、自主的な品質管理の徹底を求めています。
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特定保健用食品に対する今後の品質管理等の徹底について
(消費者庁2016年9月30日)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1565.pdf
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今年3月31日に発表された、消費者委員会における「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」の報告書では、健康増進法の法改正と広告表示における規制強化の動きもあり、行政監視が厳しくなることは必至です。(※2)
現在、トクホ制度において許可内容を事後チェックする要件はありませんが、今回のようなケースが増えるようであれば、法改正まで至ることも考えられます。
機能性表示食品制度とも合わせて、商品品質や表示の適正管理体制を見直す必要があるといえます。
(※1)内閣府令で定める義務表示事項
内閣府令第8条第1項の規定に基づき、特定保健用食品の容器包装(又はその添付文書)には、次の表示事項を表示しなければならない。
・ 商品名
・ 消費期限又は賞味期限
・ 保存の方法
・ 製造所所在地
・ 製造者の氏名(法人にあっては、その名称)
・ 許可証票
・ 許可を受けた表示の内容
・ 栄養成分の量、熱量、原材料の名称
・ 特定保健用食品である旨
・ 内容量
・ 一日当たりの摂取目安量
・ 摂取の方法
・ 摂取をする上での注意事項
・ バランスの取れた食生活の普及啓発を図る文言
・ その他
(※2)
・健康食品広告法規制強化の流れ。健康増進法にも「不実証広告規制」導入か?
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