(一社)免研アソシエイツ協会が販売する新型コロナウイルスに対する効果をうたった糖鎖サプリメント(栄養機能食品)等に対し、11月18日に景品表示法と食品表示法の同時適用の処分となった事案について、景表法の違反内容について以下の記事で取り上げました。
・免研アソシエイツ協会、コロナ予防効果をうたった健康食品に3社目の景表法措置命令。食品表示法でも処分(消費者庁 2022年11月18日)
本記事では、食品表示法違反の内容と健康食品に関する規制動向について取り上げます。
本件食品表示法違反では、栄養機能食品であるにもかかわらず、食品表示基準で定められた栄養成分以外の成分の機能を示す用語や、機能性表示食品ではないにもかかわらず、『免研糖鎖機能性食品G』などと、紛らわしいい用語の表示などに改善指示が出されました。
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一般社団法人免研アソシエイツ協会に対する食品表示法に基づく指示について
(消費者庁 2022年11月18日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/030940/
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処分内容を確認します。
食品表示法に基づく指示
【対象商品】
商品1:「糖鎖エキスプレミアムLD」
栄養機能食品(ビオチン)箱入り 内容量「10ml×5本」
商品2:「免研糖鎖機能性食品G」
栄養機能食品(ビオチン)箱入り 内容量「2g×36包(72g)」
商品3:「免研糖鎖機能性食品G」
栄養機能食品(ビオチン)箱入り 内容量「2g×72包(144g)」
商品4:「免研・糖鎖グミゼリー」(ピーチ味)
栄養機能食品(ビオチン)ボトル入り 内容量「162g(4.5g×36包入り)」
商品5:「免研・糖鎖グミゼリー」ボトル入り 内容量「162g(4.5g×36包入り)」
商品6:「免研 ツバメの巣グミ」袋入り 内容量「(4.5g×36包(162g)」
※商品4~6は、容器包装のデザインが異なる同一製品。
【表示媒体】
容器包装
【販売期間・販売数量】
2019年4月15日から2022年3月31日までの間。
商品1:1109個
商品2:838個
商品3:1895個
商品4~6:1443個
【表示内容】
1)規準第7条(任意表示)の「ナトリウムの量(ナトリウム塩を添加していない食品の容器包装に表示される場合に限る。)」の項の規定
栄養成分の量及び熱量の表示において、
・ナトリウム塩を添加していない食品について、食塩相当量に加えてナトリウムの量を表示しようとするときは、「食塩相当量」を「ナトリウム(食塩相当量)」等に代えて表示すべきところ、「ナトリウム2.1㎎」(商品1)、「ナトリウム82.2 ㎎」(商品4)(商品5)(商品6)と表示していた。
・たんぱく質の量にあって当該栄養成分である旨の文字を冠した一定の値又は下限値及び上限値により表示をすべきところ、「たんぱく質0.1g未満」と表示していた。
(商品4)(商品5)(商品6)
2)基準第9条(表示禁止事項)第1項第9号の規定
栄養機能食品であるにもかかわらず、食品表示基準別表第11に掲げる栄養成分以外の成分の機能を示す用語を表示。
・「細胞のアンテナ「糖鎖」の働きを正常化する」及び「糖鎖の力で細胞からきれいになる、元気になる。」(商品1)
・「脳機能を元気 ホスファチジルセリン(PS)配合 脳細胞に多く存在」(商品2)
・「脳機能を元気 ホスファチジルセリン(PS)配合 物忘れ・耳鳴り・めまい」(商品3)
・「「糖鎖」の力で細胞からきれいに、元気に!」(商品4)
3)基準第9条(表示禁止事項)第1項第10号の規定
機能性表示食品以外の食品であるにもかかわらず、機能性表示食品と紛らわしい名称を表示。
・「商品名:免研糖鎖機能性食品G」、「免研®糖鎖機能性食品G」及び「医療機関向け機能性食品」(商品2)(商品3)
・「名称/糖鎖機能性食品」(商品4)
・「糖鎖機能性食品」(商品5)(商品6)
【指示の概要】
- 製造及び販売している全ての食品について、直ちに表示の点検を行い、不適正な表示の食品については、速やかに、適正な表示に是正した上で販売すること。
- 基準で定められた遵守事項が遵守されていなかった原因の究明及び分析を徹底すること。
- 食品表示に関する責任の所在を明確にし、社内における品質表示のチェック体制の強化、拡充等の再発防止対策を実施するとともに、 対策によるチェック体制等が有効に機能していることを定期的に検証し、 必要な改善を行うこと。これにより、今後、販売する食品について、 基準に違反する表示を行わないこと。
- 役員及び従業員に対して、食品表示制度についての啓発を行い、その遵守を徹底すること。
- (1)から(4)までに基づいて講じた措置について、2022年12月19日までに消費者庁長官に報告すること。
上記、消費者庁の食品表示法に基づく「指示」において、「基準で定められた遵守事項が遵守されていなかった主たる原因として、消費者に対し正しい表示を行うという意識及び食品表示に関する認識の欠如並びに表示内容の確認及びその管理体制の不備があると考えざるを得ない」と記されています。
食品の成分表示に関する規制動向
栄養機能食品は、特定保健用食品、機能性表示食品と並んで、食品の持つ効果や機能を表示することができる食品です。他の2制度と違って、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度となっています。ただし、栄養機能食品として販売するためには様々なルールがありますので、正しい理解が必要です。
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栄養機能食品について(消費者庁)https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_nutrient_function_claims
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また、2015年に施行された新たな食品表示制度では、全ての一般用加工食品等に、原則、栄養成分表示を義務付けられ、2020年4月1日に完全施行されています。
◆新たな食品表示制度の完全施行について(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/019486/
健康食品の成分に関しては、2016年9月の日本サプリメントのトクホ制度初の表示許可取消し処分をきっかけに、定期的なチェックが行われています。消費者庁ではトクホと機能性表示食品の販売後の事後チェックとして、関与成分等が許可時の規定値を満たしているかを把握すべく、2016年度より買上調査を実施し始めました。(2016年度はトクホのみ)
2021年度の買上調査(※)では、特別用途食品2品目、特定保健用食品17品目、機能性表示食品81品目の成分に関する100品目(89社)を調べ、機能性表示食品1品目で申請等資料の記載どおりの関与成分等が含有されていませんでした。
(※)
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令和3年度 特別用途食品(特定保健食品を除く。)に係る栄養成分、特定保健用食品に係る関与成分及び機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業(買上調査)
(消費者庁 平成31年4月22日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/about_foods_with_function_claims_190422_0001.pdf
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この買上調査をめぐっては、「平成27年度機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業」報告書に係る情報公開請求訴訟が争われていましたが、2022年10月4日に東京地裁で、食品ごとの分析方法の評価結果、評価結果に対応する食品の製品名と機能性関与成分の開示を命じる判決が下されました。
消費者庁は、2022年度実施予定の検証事業から、単に評価結果を公にするのではなく、対象製品名及び機能性関与成分、当該評価結果を踏まえた届出事業者の対応も含めて公にし、機能性関与成分の分析方法の検証に関し、より透明性の高い運用を図る方向で検討していくとしています。
新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年10月20日)
平成27年度機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業報告書に係る情報公開請求訴訟について
https://www.caa.go.jp/notice/statement/arai/030716.html
《関連記事》
・PS配合糖鎖サプリの認知症予防効果。シーズコーポレーションに景表法措置命令。同梱冊子・チラシも注意(消費者庁:2021年5月14日)
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