消費者庁は8月、令和5年度の予算の概算要求を発表しました。
令和4年度予算117.3億円から24.8%増の146.4億円となっています。
デジタル広告が名実ともに広告の中心へとシフトし、広告手法の複雑化・多様化も進む中、デジタル広告の不当表示への対応を強化する方針を打ち出しています。
今回は、重点取り組み事項の中から、特に事業者に関連する政策とその予算額をピックアップして紹介します。
注:( )内は令和4年度予算額
デジタル広告の監視・情報収集業務【2.2憶円(新規)】
デジタル広告の不当表示への対応強化に向けて、デジタル広告の制度整備に関する検討も踏まえつつ、デジタル広告の不当表示に厳正・適切に対応するための監視・調査体制を強化する。
消費者取引対策・表示対策等に必要な経費【6.3億円(4.0億円)】
厳格・適正な法執行・運用のために、特定商取引法や景品表示法等の法執行に必要な違反事例の調査・分析や、消費者保護、消費者被害の拡大防止、消費者利益の確保に必要な規制等の在り方を検討のため、現在の商取引等に関する実態調査などを実施する。
国民生活センター相談機能等の強化【39.4億円(30.3億円)】
悪質商法・便乗商法等の消費者トラブルへの対応や、消費生活相談のデジタル化に向けた取組、消費者行政職員や消費生活相談員を対象としたオンライン研修の充実を進め、相談機能等の強化を図る。
消費者団体訴訟制度の企画・推進に必要な経費【1億円(0.6憶円)】
消費者裁判手続特例法の改正を踏まえて、消費者団体訴訟制度のより一層の活用促進のため、制度の広報・啓発を抜本的に拡充するとともに、適格消費者団体間や関係団体等との連携強化を推進する。
取引DPFにおける消費者利益保護等推進事業【1.2億円(1.2億円)】
令和4年5月に施行された取引 DPF消費者保護法に基づく官民協議会等において、デジタルプラットフォーマーと連携しつつ、取組の把握や検討を進める。また、消費者からの申出等に対応し、必要に応じ、要請等の取組を講じる。
取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/digital_platform/
取引デジタルプラットフォーム官民協議会(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/meeting_materials/review_meeting_006/
取引デジタルプラットフォーム官民協議会準備会https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/meeting_materials/review_meeting_005/
デジタル活用による食品表示情報の充実【7千万円(新規)】
包装上の食品表示情報について、デジタルツールの活用により、消費者が知りたい情報を分かりやすく、充実させるため、その仕組みの整備に向けて、中小企業も含めた事業者の実行可能性等を把握するとともに事業者による実証的な取組を推進する。
デジタルツールを活用した食品表示の実証調査を行います(消費者庁 2021年11月10日)https://www.caa.go.jp/notice/entry/026551/
食品表示制度の検討・担保【7千万円(7千万円)】
アレルギー表示対象品目の追加に向けて、公定検査法の開発や症例の集積を進める。
国内での遺伝子組換え農産物の流通実態に即するために、遺伝子組換え食品に関する公定検査法を改良する。
消費者安全の啓発・食品表示対策に必要な経費【3.9億円(2.7憶円)】
コロナを契機とした健康志向への高まりに応じた多様な食品の展開や、フードテック食品の開発・普及等の食のイノベーションを踏まえて、消費者にとってより分かりやすい栄養成分等の表示の検討や、フードテック食品等に関する正確な情報提供のために、必要な環境整備を進める。
消費者志向経営の推進加速化事業【6千万円(2千万円)】
「消費者志向自主宣言事業者」の裾野拡大を図るとともに、優良事例の表彰等を通じて事業者に取組を高度化するインセンティブを付与するなど、消費者志向経営を一層加速化するための取組を実施する。
消費者志向経営推進組織の活動(消費者庁)https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/consumer_oriented_management/propulsion_organization/
上記活動については、「消費者志向経営の推進に関する有識者検討会」に関する記事もご参考ください。
・「消費者志向経営」が社会の基本認識に。SDGs、ESG投資との関係をより明確化(消費者庁 2020年9月)
デジタル表示担当に9名を求める
機構要求事項では、デジタル表示担当として「上席景品・表示調査官」1名、物価担当として「企画官」1名を要求。
定員要求内訳は、デジタル広告不当表示の監視強化に8名、取引DPF消費者保護法の運用体制整備、栄養成分表示制度の企画・立案に係る体制整備に各2名など計29名を要求。
令和5年度に向けた消費者庁の取り組みとして、特にデジタル広告不当表示対策に注目しています。
令和4年3月より消費者庁で開催中の景品表示法検討会においても、中長期的な検討課題として、デジタルの表示の保存義務なども議論されています。
景品表示法検討会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_004/
デジタル広告においては、広告手法の複雑化・多様化による不当表示の調査の困難さが課題となっています。どのような監視体制で取り締まり強化されるのか気になります。
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◆消費者庁 令和5年度予算・機構定員要求について(消費者庁:令和4年8月)
https://www.caa.go.jp/policies/budget/assets/caa_cms205_220831.pdf
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≪関連記事≫
・コロナ禍で加速、消費者庁のAI・IT 技術を活用した法執行(令和3年度 消費者庁予算概算要求)
・消費者団体訴訟、今後も活発化の予想。(平成30年度消費者庁予算概算要求)
・これからの食品表示におけるWeb活用の可能性
(「食品表示の全体像に関する報告書」消費者委員会 2019年8月9日)
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