通販事業者のトラブル相談、「特商法」「有利誤認」への相談増。「顧客対応」相談は減少(JADMA 2021年度の事業者相談件数)

2021年度に(公社)日本通信販売協会に寄せられた、通販事業者(会員、非会員)からのトラブル相談から、最近の通販事業者のトラブル相談の傾向について確認してみました。
21年度の相談件数は、前年度に比べて4.9%の増加となっています。「顧客対応」相談は減少したものの、「顧客対応以外」に関する相談、とりわけ、特商法関連の相談が増加しました。
また、別窓口で受け付けている景品表示法などの法律相談も前年度比23.6%増加しました。
法律関連相談は、その8割以上が会員企業からの相談となっています。

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(※)
(公社)日本通信販売協会 「2021年度 事業者相談件数とその概要」
(ジャドマニューズ2022年3月-4月)
https://www.jadma.or.jp/pdf/news/2022_03-04.pdf
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●2021年度 事業者相談件数
21年度に寄せられた相談件数(「顧客対応」と「顧客対応以外」の相談件数)は259件(2020年度247件)で前年度比4.9%の増加。
相談内容内訳では、「顧客対応」が78件(同99件)、「顧客対応以外」が181件(同148件)だった。
また、景品表示法、薬機法等に関する法律相談が257件(同208件)で前年度比23.6%の増加。

●顧客対応の内容(複数集計)
「顧客対応」の相談内容合計は78件(対前年比69.0%)。「規定外返品・返金等」が最多で12件(対前年比60.0%)。

(相談内容は、複数の要素が含まれるため、複数集計)

1位:「規定外返品・返金等」
12件(対前年比60.0%)。
顧客が一般的なサービスレベルを超えて返品要求を行った場合の対応方法に関するもの。
「サプリメント定期コースで3年前に終了していた直近1か月分の返品対応について、遡って1か月分以外の返品返金要求」
「不良品交換対応で、別商品が返品され、返送したところ受け取り拒否」
「返品対応条件外の商品が返品された。商品広告(商品の同梱チラシ)に返品特約表記を漏らしていたが、商品明細表には返品特約表示しているが有効か」
「顧客の住所入力不備で配達できず商品が返送された。その後顧客からキャンセル依頼があったが、配送費用を請求できるか」
といった相談。

2位:その他の難(不良)顧客対応
11件(対前年比110.0%)。
テレビで「ガスコンロ交換サービス」の注文を受けたが、施工前確認で対応できないタイプのガスコンロであることがわかった。交換対象外商品の注意表示はしていたが、「申し込みの際に言われていない。表示価格でガスコンロ交換せよ」と主張する顧客への対応。
化粧品定期購入販売の受注時の確認不足で苦情が入り、2回目分の商品引き下げとクレジット支払い停止を行ったが、「クレジットの不正利用」と言われ「訪問によるお詫びの強要」への対応。
など。

●顧客対応以外の内容(複数集計)
「顧客対応以外」の相談内容合計は181件(対前年比104.6%)。「特商法関連」が最多で67件(対前年比191.4%)。

(相談内容は、複数の要素が含まれるため、複数集計)

1位:「特商法関連」
67件(対前年比191.4%)。内、会員からが54件で約8割を占める。
令和3年の特商法改正に伴う相談が18件と最多。新設された12条6「特定申し込みを受ける際の表示」に関する確認がほとんど。
電話勧誘販売から一部適用除外される販売方法に関する相談も17件と多かった。

2位:「媒体出向関連」
21件(対前年比175.0%)。
代理店からテレビショッピング参入の勧誘を受け契約して代金を支払ったが売り上げゼロ」という相談。昨年減少から増加に転じた。

3位:「広告・表現内容等」
15件(対前年比158.5%)。
「食品の原産国表示ミスへの対応」「商品価格変更に伴う顧客対応」「高額品で支払方法制限する場合の告知方法」など。

●景表法等法律相談
257件(対前年比123.6%)。内、会員からが251件で非会員は6件にとどまる。
表示規制に関する相談内容合計は183件。内、有利誤認に関するもの139件、優良誤認に関するもの44件。景品規制に関するもの55件。
健康増進法、薬機法、食品表示法等その他の法令に関するものが19件。

有利誤認表示相談では、二重価格表示やセールやキャンペーン(期間延長、条件表示)に関するものが多数。
表示媒体別では、自社ECサイトやカタログ、チラシ、その他にテレビショッピング番組での表示も増加傾向。

毅然とした対応が求められる顧客の「過剰要求」への対応は、「その場しのぎ」ではなく事業者側で自社にマッチした対応ルールを設けることが必要です。
広告表示関連では、キャンペーンでの価格表示や取引条件の訴求方法について、近年、景表法の有利誤認表示での措置命令も多く、販促施策を企画する際には十分注意が必要です。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。