11月24日、消費者庁は、化粧品会社「ドクターシーラボ」のグループ会社で、エステティックサロンの運営、サプリメントの販売業等を営む(株)シーズ・ラボに対し、「4D」と称するダイエットサプリメントの成分の効果に関する表示について、景品表示法違反(優良誤認)の措置命令を行いました。
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株式会社シーズ・ラボに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2021年11月24日))
https://www.caa.go.jp/notice/entry/026673/
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優良誤認は不実証広告規制(※)を用いた処分となっており、表示には、『太る原因』を遠ざける4大成分配合として、サラシア、キノコキトサン、コレウスフォルスコリ、ヒハツエキスの効果を謳っていましたが、表示の裏付けとなる「合理的な根拠」は認められませんでした。
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。
●違反概要
【対象商品】
「4D」と称する食品
【表示媒体・表示日】
自社ウェブサイト
2020年10月22日、同月30日、同年11月10日、同月19日
【違反内容】
表示内容:
「『痩せたいけれど我慢したくない!』あなたのために! クリニカルサロン 『シーズ・ラボ』独自開発」、「食事の気になるカロリーを速攻カット!!」、「脂っこい料理 甘~いスイーツ 食べ過ぎてもなかったことに!」、「糖質カット 脂質カット 脂肪燃焼 お通じすっきり」及び「フォーディー 4D ダイエットサプリ」との記載と共に、複数の料理とスイーツの画像を背景にフォークとナイフを手にして口を開いた人物の画像、本件商品及び本件商品の容器包装の画像等を表示。
あたかも、本件商品を摂取すれば、商品に含まれる成分の作用により、食事から摂取したカロリーの吸収が直ちに著しく阻害されることによって、体重増加が阻止される効果が得られるかのように示す表示をしていた。
表示例:
実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
なお、シーズ・ラボは処分を前に、2021年11月2日付けで不当表示を認める謝罪広告を日刊新聞紙2紙掲載したことから、消費者に対する誤認排除措置は命じられていません。
●表示の裏付けとなる「合理的な根拠」として認められなかった、配合成分の痩身効果
表示には、『太る原因』を遠ざける4大成分配合として、サラシア、キノコキトサン、コレウスフォルスコリ、ヒハツエキスの効果を謳っていました。
消費者庁によると、シーズ・ラボから提出された表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料は、商品に関する実験データは示されず、表示された4つの成分が含まれていること、一般論としてこれらの成分にはダイエット効果があることといった成分に関する説明でした。
しかし、これらの成分が表示された程度の分量が含まれているからといって、表示のような著しくカロリーの吸収を阻害するような効果はなく、摂取カロリーを消費カロリーが上回らなければ痩せることはないという、複数の専門家の意見を踏まえ、消費者庁は「合理的な根拠は認められない」と判断したとしています。
●食品衛生法における指定成分等含有食品としての義務表示は?
本商品の含有成分のうち、「コレウスフォルスコリ」は、食品衛生法第8条第1項に規定する、食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分として指定されている成分です。
令和2年6月1日より施行された改正食品衛生法では、注意を要する指定成分を含有する食品による“健康被害情報の届出”と、食品表示基準において容器包装への義務表示事項に指定成分に関する表示が追加されています。
《参考記事》
・フォルスコリー、オウレン、プエラリア、ブラックコホシュ、健康被害防止対策強化へ。食品衛生法、食品表示法改正
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今回、現時点では本商品による健康被害の報告はないということです。
他方、「指定成分等含有食品」について容器包装に義務化された指定成分に関する表示事項については、ウェブサイトの表示では確認できませんでした。
《指定成分等》
コレウス・フォルスコリー
ドオウレン
プエラリア・ミリフィカ
ブラックコホシュ
《指定成分に関する表示事項》
・指定成分等含有食品である旨
・食品関連事業者の連絡先
・指定成分等について食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物である旨
・体調に異変を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談すべき旨及び食品関連事業者に連絡すべき旨
◆プエラリア・ミリフィカ等、特別の注意を要する成分等を含む食品(指定成分等含有食品)等に係る食品表示基準の施行について(消費者庁 2020年6月1日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/020134/
「プエラリア」の健康被害問題を意識した注意が高まる中、指定成分を配合したサプリメントに対する景表法による処分が、過去にも行われています。
《参考記事》
・健康被害の「ケトジェンヌ」、景表法で措置命令。ダイエット方法による体質改善訴求も優良誤認認定(消費者庁 2020年3月19日)
・健康食品の不実証広告規制による措置命令続く。豊胸効果サプリGLORIAに景表法措置命令(消費者庁:平成30年7月30日)
・景品表示法(優良誤認)の不実証広告規制。表示の裏付けとなる「合理的な根拠」の判断基準とは
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