コロナ禍は、消費者庁の法執行にも影響を及ぼしているのでしょうか。
10月30日に消費者庁が公表した、2020年度上半期(20年4月~20年9月)の景品表示法の措置件数では、「国による措置命令」件数が4件に留まっていました。
下半期に処分が集中する傾向にあるとはいえ、昨年度(2019年度)の40件レベルに届くのは難しいように思えます。
処分件数が少なかった年度としては、消費者庁が発足した09年度の12件、15年度の13件という実績があります。
一方、「都道府県による措置命令」は6件となっており、昨年度15件と同様のペースで、法執行が強化されています。
埼玉県3件、東京都、岐阜県、大阪府は各1件となっており、昨年に引き続き、埼玉県の執行が活発です。
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景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要の公表
(消費者庁 令和2年9月30日現在)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/information_other_201030_1.pdf
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社会情勢を反映し、ウイルス除去効果をうたう商品や、マスク、手指洗浄ジェルなど、新型コロナウィルス関連で需要が高まっている商品に対する処分が目立っています。
措置命令事案のブログ記事はこちら:
http://compliance-ad.jp/complianceblog/category/against/
反面、特定商取引法に関しては、2020年度上半期(20年4月~20年9月)の、国による業務停止命令件数は、前年同期比5件増の17件に上っています。
過去の処分実績は、16年度、17年度が14件、18年度11件と推移していましたが、19年度に26件と急増。20年度はさらに上回るペースとなっています。
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特定商取引法等 公表資料2020年度
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/release/2020/
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20年度上半期の17件の内、14件が通信販売の処分となっています。
偽ブランド品をアマゾンに出品していた13事業者に対する一斉処分が、大きく影響しています。また、通信販売の処分の残り1件は、健康食品販売のwonderに対するネット通販定期購入契約に関する処分です。
・アマゾンで偽ブランド品販売13社に特商法業務停止命令。違法行為は氷山の一角(消費者庁 2020年4月7日)
・ネット通販定期購入に特商法での処分 (株)wonderと(株)GRACEの代表取締役に業務停止命令(2020年8月7日)
オンライン・ショッピングモール上での偽ブランド品の流通に関する問題は、その未然防止に向けた今後の施策について、検討が進んでいます。
・事業者の自主的取組に期待。デジタル・プラットフォームでの消費者トラブル解消に向けた取り組み
(「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」 論点整理)
また、定期購入契約に関する国による業務停止命令は、19年度においても電話勧誘販売や通信販売に対して4件出されており、消費者トラブル増加に伴い法改正に向けた検討が行われています。
・2019年度の通販「定期購入」契約相談が5万件超に。規制強化の議論が進む
(「悪質なお試し商法」に関する意見 消費者委員会 2020年6月26日)
2020年度の景品表示法の法執行が減少しているとはいえ、状況に応じた法規制が行われていることには変わりはなさそうです。
≪関連情報≫
・令和元年度における景品表示法 消費者取引の適正化への取組
(消費者庁 2020年6月)
・令和元年度における景品表示法の運用状況
(消費者庁 2020年6月)
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