今回の気になるトピックは「健康食品による健康被害と法改正の動き」について。
先日の記事では2017年度に国民生活センターに寄せられた健康被害情報を取り上げ、上位3商品・役務が「健康食品」「化粧品」「医療サービス」となっていることをお伝えしました。
「健康食品」「化粧品」に関する健康被害の発生状況は、ネット通販での購入において特に顕著な傾向が報じられています。
11月14日に消費者庁が行った、ネット通販で購入した製品事故に関する注意喚起によると、過去5年間のネット通販で購入した製品による危害・危険情報は9,248件で、その40.7%が健康食品であり、次いで化粧品が24.3%を占めていました。
また、「1か月以上の治療を必要とする傷病」又は「死亡」となる危害を受けたものは 162 件で、最多は化粧品が27.8%、次いで健康食品が16.0%を占めていました。
【事例】
無料動画サイトに「すごい効果があった」、「送料のみでサプリメントは無料だ」等の書き込みのあるダイエットサプリを見付け、クレジットカード決済で2個注文した。
発送元は覚えのない海外からで、飲んだら下痢をした。変だと思って書き込みサイトで調べたら詐欺サプリメントと書かれていた。製品に同封されていたお知らせには「返品の場合のお問合せ番号」があり指定された受付時間内に何度電話をしても「時間内にまたおかけ直しください」のガイダンスが流れるだけでつながらない。
(平成 26 年3月、30 歳代、女性)
SNSで紹介されていた24日間無料お試しのダイエットサプリメントを注文した。
製品は無料であるが送料600円かかるとあり、クレジットカード決済した。飲んだら、胃腸が張って、ガスが出て下痢をしたが、とても空腹感を覚えた。結果、1週間で5キロ体重が増量した。当該事業者を検索したら、継続購入が止まらず、代金が自動的にクレジットカード決済されるとか、国内の電話はいつも留守番電話でつながらないという書き込みがあり悪質業者と分かった。 (平成 26 年1月、40 歳代、女性)
ネット通販での購入では、事故や健康被害の発生とともに購入先に連絡しようとしても、「連絡先が分からない」、「電話がつながらない」ためにどこに連絡してよいか分からない、また、返品条件を確認せずに購入したため返品などができないといった、通販ならではの特性に起因する相談が多いのが特徴です。
この注意喚起は、経済協力開発機構(OECD)の実施する「オンライン上で販売される製品の安全性に関する国際共同啓発キャンペーン(平成30年11月12日~16日)」において、参加各国でネット通販事業者や消費者に対して発信されているもので、日本においても消費者庁と経済産業省が参加して行われています。
今回の注意喚起では、健康食品、化粧品というテーマの問題があることから、消費者庁は厚生労働省とも事前に情報共有しながら対応しており、引き続き、案件に応じて情報共有し合いながら連携していきたいとしています。
健康食品による健康被害が多発する中、平成30年6月13日に公布された食品衛生法の改正では、健康被害の発生を未然に防止する見地から、特定の食品による「健康被害情報の届出」及び、食品リコール情報の報告の義務化が盛り込まれました。
健康食品による健康被害への対応は、これまで健康被害情報の収集が制度化されておらず、必要な情報収集が困難なことから、健康被害の発生・拡大を防止するための食衛法による販売禁止や暫定流通禁止を適用するための根拠が不足していました。
そのため、食衛法の適用に至らないケースが多かったといえます。
法改正による健康被害の低減に期待したいところですが、「いわゆる「健康食品」による健康被害情報については、引き続き、通知に基づき任意の情報収集を行う」に留まっており、どこまで健康被害の発生・拡大防止効果が得られるのか、注視していきたいと思います。
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インターネット通販で購入した製品の事故に注意
-事故や健康被害が起きるかも!購入前に連絡先や返品条件を確認していますか?-
(消費者庁 平成30年11月14日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_018/
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《関連記事》
・食品による健康被害防止対策強化へ。食品衛生法、食品表示法改正
・増える健康食品、化粧品の健康被害。「皮膚障害」「消化器障害」相談が大幅増加
(国民生活センター 平成29年8月)
・健康食品の健康被害と商品名公表
(東京都 平成28年度「『危害』の消費生活相談の概要」)
・広告媒体別の健康食品に関する消費者相談の傾向とは?
(東京都 平成27年度)
・国セン、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品に注意喚起。厚労省、調査開始
(国民生活センター商品テスト 2017年7月)
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